【完結】素直になれない意地っ張り令嬢、ツンデレ極めたら愛され令嬢になりまして。

Rohdea

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21. ラブシーン!?

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 そんなナタナエルの姿にわたしはギョッとする。

(待って!  なんで連れてくるのよーーーー!?)

 その辺に放置ではいけなかったの!?
 あと、その満面の笑みは何!?  どうしてそんなに嬉しそうなの!?
 わたしにはさっぱり分からないけれど、戦いの血が騒ぐ……とかそういう?

「ナ、ナタナエル……」
「うん、どうしたの?  アニエス」
「えっと……」

 器用に三人の男をズルズル引き摺りながら戻って来ては、にこにこ笑顔を浮かべているナタナエル。
 その無邪気な笑顔はやっぱりどこかののほほん夫人を彷彿とさせる。
 やっぱり“最強”は似るものなのかもしれない。
 それにしても……

(ほ、本当にすぐだった……)

 戻って来るのが早すぎる。
 これ、絶対に秒殺で彼らを仕留めて戻って来たでしょ。
 あと、どさくさで屋敷をまた破壊したわよね?
 それなのにナタナエルは怪我一つないどころか、汗すらかいていないんだけど!?

「つ、強い……のね?」
「アニエス!」
「ひっ!?」

 わたしが、どうにか声を振り絞ってそう口にすると、ナタナエルはこれ以上はないだろうっていうくらい嬉しそうでキラッキラの輝いた笑顔を見せた。

(───ま、眩しい……!)

 あまりの笑顔の眩しさに悲鳴が出た。

「ああ、ようやく聞けた……“強い”…………アニエスに言われるのが一番嬉しい!」
「……ナタナエル」
「よかった……引き摺って来た甲斐があったよ!」
「え?」

 わたしが聞き返すとナタナエルはヘラッと笑う。

「危ないしアニエスには下がっていてもらいたいからさ、俺が闘うところは見せられないけど、成果だけは見せたかったんだ!」
「成果……」

 そう。
 これはナタナエルの成果なのね?

(……って、なんでよーーーー!?)

「え?  もちろん、アニエスに“かっこいい”そう思ってもらいたいからだよ!!」

 ナタナエルのその満面の笑みと言葉にわたしの胸がドキッとする。

「ナ、ナタナエル……」
「アニエス!」
「……」
「……?」

(ど、どうしたらいいの!?  こ、言葉が続かない!!)

 そのままわたしたちが無言で見つめ合っていると、またしても間にロランが入って来る。
 彼は私たちを見ながら呆れた声で呟いた。

「甘っ!  満面の笑顔で人を引き摺ってくる人間とラブシーン……心から感心します」
「ラ……?」
「──ロラン!」

(ラブシーンですって!?)

 その言葉にボンッとまた、わたしの顔が赤くなる。

「ラ、ラララララ……ラブ!?  ナタナエルと!?」

 そして盛大に混乱する。

「ロラン!  何を言っているんだ!  そんなこと言ったらアニエスがますます可愛く照れちゃうだろう!  余計なことを言うな!」
「て、照れ……?  …………も、申し訳ございません。えっと会話や空気はめちゃくちゃ甘いのにあまりにもラブシーンとは程遠い光景で脳がおかしくなってしまい……」
「脳?  そんなことより───いいか?  こういう時のアニエスは言葉に出来ないくらいめちゃくちゃ可愛いんだよ!」

 ナタナエルがキリッとした表情で意味不明な言葉を堂々と発している。
 そんなナタナエルの謎の勢いにロランも圧倒されていた。

「さ……左様でございましたか」
「ああ。分かればいい」

(ラブシーン……ラブシーン……ナタナエルとわたしのラブシーン?)

 二人の会話を聞きながらも、わたしの頭の中はラブシーンのことでいっぱい。
 それって傍から見たら、わたしとナタナエルがこここここここ恋人?  のように見えるってことなのよね!?

 そんなの────無理!
 胸のドキドキが止まらない。破裂する!

「───とりあえず、主。そいつらも拘束しちゃいましょうよ」
「ん?  そうだね。確かに邪魔かも」

 よいしょっとナタナエルが三人を手放すとそのままロランに渡す。
 荷物……ではなく人間よね?
 あまりにも軽いその光景に自分の目を疑いたくなってしまう。

「主、各所で屍になっている使用人たちはどうします?」
「放っておいていいんじゃない?  彼らは元々、戦闘要員じゃないんだし。しばらく目は覚まさないと思うしね」

 どうやら護衛だけでは人が足らず、使用人総出でナタナエルを止めようとしたらしい。
 だから今、全然人がいないのね?
 今更ながらそう気付く。

(そして全員、見事にナタナエルに返り討ちにあった……と)

 囚われのお姫様(♂︎)、残念ながら全然深窓のお姫様ではなかったわ。
 暴れ姫よ、暴れ姫!

「アニエス様、主は昔から相手の急所を見極めて一撃で攻撃するのが得意なんですよ」
「急所?  だから、ナタナエルはあっさり仕留めて来れた……ということ?」
「そういうことです」

 ふーん、と思いながらナタナエルを見ているとまた目が合った。
 胸がドキンッ大きく跳ねてしまい、わたしは慌てる。
 意識しているのがバレたくない!

「ナ、ナタナエル!  あのドゴォォンという音はなに?  や、屋敷を破壊していたの?」
「ん?  ああ、さっきのは襲ってきた彼らが壁に激突した時の音だけど」
「けど?」
「その前は、ここから逃げようと思って───でもあまりにも広くて迷子になっちゃったからさ……色々、面倒だったし?  邪魔だったから目の前の壁は破壊しながら出口を探していたんだ」

(やっぱり……)

 ……ロランに案内してもらえば良かったのでは?
 そう言いかけたけど、スパイだった彼がソレンヌ嬢の前で下手な真似をする訳にはいかなかったかと思い直した。

(あの時の──もういい!  やれ!  は、スパイ解除の言葉だったのね?)

「それで、ナタナエル……ソレンヌ様やこの拘束した人たちはどうするの?」
「え?  もちろんアニエスに手を出そうとしたからね、無罪放免というわけにはいかない」
「……」

(自分だって酷い目に合っていたはずなのに……)

 それなのにナタナエルは真っ先にわたしのことを心配し口にする。
 そういうところ…………ずるい。

「な、なら、どうするの?」

 わたしの問いかけにナタナエルは、うーんと少し考えてから、にっ!  といい笑顔を見せた。

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