宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ

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5話 雇われ治療師

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 冒険者ギルドの雇われ治療師になってから数日。
 私は、冒険者ギルドで仕事をしていた。
 王国の宮廷に比べたら、仕事は大変かもしれないけれど、ストレスもなく楽しく働けている。

「おう、小さいのにすごいな」
「嬢ちゃん、これ食って背伸ばしな」

 それに、既に顔なじみの冒険者も出来始め、みんな声をかけてくれるようになった。

「嬢ちゃん、こんなに良い腕なのになんで冒険者ギルドなんかに来たんだ? 貴族様お抱えの治療師にでもなれば、こんな荒くれ者たちを見なくて済んだのに」
「なんだとお前、俺たちのどこが荒くれ者だって言うんだ」
「そう言うところだな」

 冒険者たちは、私に優しく話しかけてくれる。
 それに対して、お酒片手に怒っている人もいた。

「そ、それは......」

「あー、良いんだ、嬢ちゃんにも事情ってもんがあるんだろう」

 王国の宮廷で働いていたとは言えずに困っていると、冒険者は何かを察したようにそう言った。
 その目は、どこが涙ぐんでいるようだった。

 あの人、絶対に何か勘違いしています。

「そうだそうだ。過去なんか忘れて、パーっとやろうぜ」
「お前はいつも酒飲んでるだろ」
「そうだったっけな、はははは」

 冒険者たちは仲よさそうに、ふざけ合っている。



「た、大変だっ!」

 冒険者ギルドの中に、大勢の冒険者たちが入って来た。
 みんなどこか慌てている様子で、あたふたとしている。

「何事だっ!」

 ガヤガヤと騒がしくなっていると、冒険者ギルドの奥からギルドマスターのアランさんが出てきた。

「私もまだ状況がわかりません......何がなんだか」

「大変だアランさんっ! ルークたちのパーティがドラゴンに遭遇しちまったんだ!」

「何だと......」

「ド、ドラゴンですか」

 ドラゴン。
 聞いたことがあります。
 圧倒的な力を持っている存在で、遭遇したらまず助からないと言われています。

「ドラゴンだと! 今すぐに冒険者たちを集めなければ、大変なことになるぞ。メアリー、すぐに用意をしろ」

「あわわわ」

「落ち着け二人とも」

 ドラゴンと聞いてアランさんと私は、慌ててしまいました。

「ルークたちはドラゴンには遭遇したが、なんとか逃げることには成功したらしい」

「それなら良かったです」

「だが、ルークたちのパーティは壊滅状態で生きてるのもやっとの状況だって話だ。周囲にいた冒険者たちに助けられて、今冒険者ギルドに向かっているらしい」

「くそ、不味い状況だな」

 ルークさんと言う人たちのパーティは、何とか逃げられたみたいです。
 それでも厳しい状況には変わりはないようです。

 そこへ、また大勢の人が入って来た。
 冒険者ギルドの入り方では、多くの人が大慌てで出入りしている。

「どけどけー、けが人だー!」

 数人の冒険者パーティが担ぎ込まれて来た。
 周囲にもけが人をしている人が大勢いる。

 担ぎ込まれて来た人たちは、一目で重症だと分かる。
 血が沢山出ていて、生きているのもやっとと言う状態だ。

「治療師の嬢ちゃんだけが頼りだ。冒険者都市中にいる治療師が来るようには要請はしたが、いつ来るかは分からない」

 わ、私は。私の回復魔法で目の前の人たちを救うことは出来るのでしょうか——。
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