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エピローグのおまけ
しおりを挟む「お兄ちゃん、お兄ちゃんっ」
「……」
「もー! お兄ちゃんてばぁっ!」
進藤祐樹は、漸く妹のマナに呼ばれていたことに気がついた。
「はいっ、お兄ちゃん。アイスコーヒー」
「うん……。ありがとう、マナ」
吉野先輩と佐々木先輩が海外へ出発して1週間。
晴れて正式に恋人同士になった若菜と雅貴を心から祝えない自分に苛立ちつつ、そして落ち込みが激しくもある祐樹は、精神状態が不安定だ。
そんな兄を、妹のマナは心から心配していた。
「ねえ、お兄ちゃん?」
「なんだい、マナ」
「若菜お姉さんのこと、本気で好きだったんだね」
祐樹は、ちょっと間を開けて頷いた。
「そうだね。自分が思ってた以上に好きだったんだなって、改めて気がついたよ。一目惚れなのに。おかしいよな」
「おかしくないよ、お兄ちゃん」
「ありがとう、マナ」
マナは冷蔵庫からスイカとビールを持ってきて兄に渡した。
「マナはね、お兄ちゃんが好きだよ。だから、お兄ちゃんが結婚するまで、好きな人ができるまで。ずっとそばにいてあげる」
「ありがとう、マナ」
進藤家のサンルームに、明かりが灯る。
家族愛という名の、優しい灯りがーー。
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