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「──あの!」
オーブリーが意を決したように声を上げると、その場にいた者たちが、いまその存在にはじめて気付いたかのように、オーブリーに視線を集めた。目立たぬように気配を消し、広い廊下の隅を歩いていたとはいえ、オーブリーはなんだか酷く惨めな気持ちに襲われた。
ミラベルの傍にいる女子生徒が、アーノルドの名前を呼び「あの人、ミラベル様の元婚約者です!」と、叫んだ。アーノルドはオーブリーから視線を逸らすことなく、この男が、と眉を寄せた。
「きみが、ミラベル嬢を深く傷付けたと噂の元婚約者か」
「……元婚約者なのは本当です。それよりも、あなたの元婚約者のことを教えてほしいのです。もしや、それは──」
傷付けた、とは認めないオーブリーに思うところはあったものの、アーノルドは冷静に答えた。
「その顔を見る限り、察してはいるみたいだけど……わたしの元婚約者は、いま、きみが付き合っているマルヴィナだよ」
察してはいた。いたが、はっきり告げられたことが、オーブリーはショックだった。
「……精神がどうにかなりそうだったっていうのは、本当ですか」
「本当だよ。付き合ってまだひと月も経っていないから、わからないのかな。それとも、マルヴィナは猫を被っていたりする? きみに捨てられたら、後がないものね」
オーブリーは数秒間沈黙したあと「…………え?」と、口を半開きにした。
オーブリーが意を決したように声を上げると、その場にいた者たちが、いまその存在にはじめて気付いたかのように、オーブリーに視線を集めた。目立たぬように気配を消し、広い廊下の隅を歩いていたとはいえ、オーブリーはなんだか酷く惨めな気持ちに襲われた。
ミラベルの傍にいる女子生徒が、アーノルドの名前を呼び「あの人、ミラベル様の元婚約者です!」と、叫んだ。アーノルドはオーブリーから視線を逸らすことなく、この男が、と眉を寄せた。
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