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「ただいま戻りました」
使用人から、セシリーが帰宅したと聞いた両親が、玄関ホールでわざわざ待ちかまえていた。セシリーは内心ではため息をつきながら、腰を折る。
「お前。国王主催のパーティーはどうした。やけに帰宅が早いようだが」
「まさか。何か失礼をやらかしたんじゃないでしょうね」
父親と母親が顔を歪めながら詰めよってくる。いつもは目を合わせることすら拒否するくせに、こんなときに限って、どうして放っておいてくれないのだろうか。
「サイラス殿下が、この顔を不快に感じたようでしたので。早めに失礼いたしました」
両親は、やはりそうかとこれみよがしに息を吐いた。
「ほらごらんなさい。やっぱり、この子を出席させるべきではなかったのですよ。あなた」
「仕方ないだろう。王族の年頃の娘は全て出席せよとの、陛下の命令だったのだから」
「まったく。これでカミラに悪い印象でも持たれたら、あなたのせいですからね!」
目を吊り上げる母親。セシリーが冷静に、頭をさげる。
「はい。申し訳ありません。全てわたしのせいです」
「……もういいわ。部屋に引っ込んでなさい!」
舌打ちしながら、母親が叫ぶ。まずい。両親の苛つきは、まだちっとも収まってない。セシリーはどうにか二人の怒りをおさめようと口を開こうとするが──。
「お嬢様。お部屋に行きましょう」
デイナが、そっと耳打ちする。でも。言いかけて、やめる。そう、わかっている。どうせわたしには、何もできやしないのだ。
「……失礼します」
小さく呟き、セシリーは二階の自室へと足を向けた。
屋敷に、両親の怒鳴り声が響き渡る。セシリーは頭を抱えた。
「……わたしのせいね」
「ご自分を責めるのは止めてください。お嬢様は何も悪いことなどしておりません」
デイナがはっきりと告げる。両親と姉は、機嫌が悪くなると、すぐに使用人たちに怒鳴りちらす。それだけではない。時には、暴力をふるうこともある。
どうしてわたしにあたらないの。
自分のせいで使用人たちが辛い目に合うのは、何より心が痛んだ。けれど自分が使用人たちを庇えば、さらにあの人たちの怒りは増してしまうようで。
『偽善者ぶるのもいい加減にして!』
姉に、そう怒鳴られたこともある。でも、危害を加えられたことは一度もない。例え出来損ないだとしても、王族だからだそうだ。
王族は特別であり、神にも等しい存在であると。王族たちは、本気で思っている。
(何が特別……何が神よ……っ)
どんっ。
セシリーは、机をこぶしで叩いた。
使用人から、セシリーが帰宅したと聞いた両親が、玄関ホールでわざわざ待ちかまえていた。セシリーは内心ではため息をつきながら、腰を折る。
「お前。国王主催のパーティーはどうした。やけに帰宅が早いようだが」
「まさか。何か失礼をやらかしたんじゃないでしょうね」
父親と母親が顔を歪めながら詰めよってくる。いつもは目を合わせることすら拒否するくせに、こんなときに限って、どうして放っておいてくれないのだろうか。
「サイラス殿下が、この顔を不快に感じたようでしたので。早めに失礼いたしました」
両親は、やはりそうかとこれみよがしに息を吐いた。
「ほらごらんなさい。やっぱり、この子を出席させるべきではなかったのですよ。あなた」
「仕方ないだろう。王族の年頃の娘は全て出席せよとの、陛下の命令だったのだから」
「まったく。これでカミラに悪い印象でも持たれたら、あなたのせいですからね!」
目を吊り上げる母親。セシリーが冷静に、頭をさげる。
「はい。申し訳ありません。全てわたしのせいです」
「……もういいわ。部屋に引っ込んでなさい!」
舌打ちしながら、母親が叫ぶ。まずい。両親の苛つきは、まだちっとも収まってない。セシリーはどうにか二人の怒りをおさめようと口を開こうとするが──。
「お嬢様。お部屋に行きましょう」
デイナが、そっと耳打ちする。でも。言いかけて、やめる。そう、わかっている。どうせわたしには、何もできやしないのだ。
「……失礼します」
小さく呟き、セシリーは二階の自室へと足を向けた。
屋敷に、両親の怒鳴り声が響き渡る。セシリーは頭を抱えた。
「……わたしのせいね」
「ご自分を責めるのは止めてください。お嬢様は何も悪いことなどしておりません」
デイナがはっきりと告げる。両親と姉は、機嫌が悪くなると、すぐに使用人たちに怒鳴りちらす。それだけではない。時には、暴力をふるうこともある。
どうしてわたしにあたらないの。
自分のせいで使用人たちが辛い目に合うのは、何より心が痛んだ。けれど自分が使用人たちを庇えば、さらにあの人たちの怒りは増してしまうようで。
『偽善者ぶるのもいい加減にして!』
姉に、そう怒鳴られたこともある。でも、危害を加えられたことは一度もない。例え出来損ないだとしても、王族だからだそうだ。
王族は特別であり、神にも等しい存在であると。王族たちは、本気で思っている。
(何が特別……何が神よ……っ)
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セシリーは、机をこぶしで叩いた。
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