美形揃いの王族の中で珍しく不細工なわたしを、王子がその顔で本当に王族なのかと皮肉ってきたと思っていましたが、実は違ったようです。

ふまさ

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 ──三ヶ月半前。

 セシリーに婚約を申し込んだその足で、サイラスは父親の元に向かった。むろん、セシリーとの婚約を正式に認めてもらうためだ。だが、セシリーの不安は的中し、父親は決して首を縦にふろうとはしなかった。

「何故ですか? セシリー嬢は王族です。反対する理由がわかりません。早く婚約者を決めろと急かしたのは、父上ではありませんか?」

 相変わらず化け物に見える父親に、それでもサイラスは青い顔をしながら必死に食らいつく。父親は、大きくため息をついた。

「お前は呪いにかかっているからわからないかもしれないが、あの者は醜い。民も、あれが王妃だとは認めてくれんだろう」

 サイラスの片眉がぴくりと動く。

「……そうでしょうか」

 サイラスは心から疑問だった。真に民が望むのは、顔だけが美しい者などではなく、セシリーのような──。

「とにかく、あれはいかん。そうだ。姉のカミラ嬢はどうだ? あの令嬢なら大歓迎だ」

 ぎゅっ。サイラスが怒りにこぶしを握る。それでもサイラスは諦めなかった。毎日のように父親を訪ね、説得を試みた。


 ──そんなある日。

 いつものように、父親の崩れた顔をずっと直視することが出来ずにすっと目を逸らし。また意を決して目を合わせようとしたとき──父親の顔が、人間の顔に戻っていた。思い出の中にある、父親の顔と同じ。

 ぽかんと父親を見つめる。その様子に気付いた父親がどうしたと語りかけてきた。サイラスは目をごしごしと擦ってから、

「……呪いが、解けた……?」

 絞り出すように掠れた声を出した。父親は、ぱあっと「本当か?!」と目を輝かせた。

「……おそらく」

 まだ信じられないといった風のサイラスに対し、父親は歓喜した。

「これでセシリー嬢と婚約する必要もなくなったな!」

「……え? どうして……」

「どうしても何もないだろう。まだ頭が混乱しているようだな。仕方ない。とりあえず今日は、部屋に戻って休め。これからのことは、明日話そうではないか」

 混乱しているのは確かだったので、サイラスは、はい、とゆっくり席を立ち、おぼつかない足取りでその場を後にした。

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