美形揃いの王族の中で珍しく不細工なわたしを、王子がその顔で本当に王族なのかと皮肉ってきたと思っていましたが、実は違ったようです。

ふまさ

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「宮廷はむろんのこと、数ある王族の屋敷の中にも、我らの組織に在籍している者は、最低でも一人はいるんですよ。セシリー様の人となりも、我らの組織にはきちんと届いております。あなた同様、決して殺してはならない王族の一人としてね」

 青い顔をしながらも「……そう、なのか」と、サイラスがほっと息をつく。何より、セシリーの安全が保証されていることに安堵した。

「皆殺し、と言っているのは、一部の過激な者たちだけです。罪のない者を殺せば、それこそ憎むべき王族と同じになってしまいますから」

 それからオーエンは、ゆっくりと腰を折った。

「──サイラス殿下。どうか、この国の王となってください。そして、王族が今まで犯してきた罪を、法のもと、償わせてください」

 サイラスは、両目をはち切れんばかりに見開いた。あまりに多くの──衝撃過ぎる事実に、頭が、心が追い付かない。

「……わたしは、その器ではない」

 絞り出すように、サイラスが想いを吐露する。オーエンは、いいえ、とそれを否定した。

「あなたには、人を思いやり、人のために痛める心がある。民がいま、何より欲しているのは、そんな王なのです──ただ、あなたにはきっと覚悟がない。そのために私は、サイラス殿下に魔法をかけたのです」

 サイラスが「……どういう意味だ?」と問う。

 オーエンは「家族を罰する覚悟です」と答えた。サイラスの身体が、びくりと震えた。

「あなたの両親は、罪のない人を殺しすぎた。死刑はもう、免れないでしょう。もしあなたが両親を庇えば、誰も、あなたを王とは認めない」

 サイラスは、何も言い返すことができない。

「陛下と王妃様の顔の崩れかたは、特に酷かったそうですね。怯え方が凄まじかったと、仲間から報告を受けています。ねえ、サイラス殿下。あなたは直接、それらの光景を見たことがないのでしょう? せいぜい、使用人たちを怒鳴ったり、殴ったりするところだけではないですか? 王族は、人殺し。人身売買。性的暴行。ありとあらゆる犯罪を──」

「…………っ」

 目を、耳を塞ぎたくなる現実。オーエンの指摘は、全てにおいて的を得ていたからだ。

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