もっと傲慢でいてください、殿下。──わたしのために。

ふまさ

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 それからクラリスは、宰相たちにいくつかの質問をされた。影からの報告と照らし合わせているだろうそれらの問いは、数時間を要した。けれど疲れはまったく感じず、むしろクラリスの心は、踊っていた。

 その後の会議にクラリスが呼ばれることはなかったが、リンドバーグ公爵は、全てに出席していた。漏れ聞く内容から、事は順調に進んでいるようだったが、学園でのイライジャの様子に、何ら変化はなく。

 クラリスは緩む口元を隠すのに必死だった。イライジャがそれを知る日は、いつだろう。

 明日かしら。それとも明後日?

 そしてついに、その日は来た。

 顔を見るだけでも不快だ。そう言って、リンドバーグ公爵も、コルホネン公爵も、その場に顔を出すことはなかった。本来、クラリスにも出席の義務はなかったし、両親にも止められたが、行かないわけにはいかなかった。

 全てはこの日のために、生きてきたのだから。


 謁見の間で、兵によって床に押し付けられたイライジャが喚き散らす。本当に、イライジャはお終いなんだわ。実感し、涙が溢れた。

 そして。父親から事前に知らされていた通り、国王はみなの前で、こう宣言した。

「次期国王は、私の側妃の息子、デクスターとする。異論のある者は前に出よ」

 ──ああ。ようやっと。

「きみには是非とも、デクスターの婚約者となってほしいのだ」

 国王の言葉に、心が震えた。これは夢じゃないかと、本気で疑った。デクスターの顔が、まともに見れない。すぐ傍にいるのに。

「今後のことについて、話しがしたい。少し時間をもらえるだろうか」

 四年ぶりに聞いた愛しい声音に、クラリスの胸が熱くなる。と、同時に怖くなった。

 いま他人行儀な理由は、承知している。それでもクラリスは、不安だった。他に愛する人ができた。側妃に迎えたい。そう言われる覚悟もしながら、前を歩くデクスターに付いていく。

(……叶うなら、抱き締めてもらいたい)

 背を見詰め、願う。贅沢だろうか。デクスターを次期国王とまわりが認めてくれただけで充分だと。そう思うべきなのか。

「クラリス」

 名を呼ばれた。びくっと肩が揺れる。まだわからない。続く言葉が謝罪なら、きっと──。

「──おいで、クラリス」

 想いが溢れた。その声色だけで、わかってしまったから。


「……デクスター様っ」

 

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