もっと傲慢でいてください、殿下。──わたしのために。

ふまさ

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「本当は、デクスター様を蔑ろにしてきた者みなに、罰を与えたいのです」

 その日の夜更け。蝋燭の灯りのもと、デクスターの横に身体を横たえたクラリスは、ぼそっと呟いた。

「そんなことをしたら、政ができなくなってしまうだろうな」

 デクスターは苦笑するが、クラリスは半ば本気なようで。けれどそれが、デクスターはとても嬉しくて、幸せだった。絶対的に信じられる者が傍にいてくれる。それの何と心強いことか。

 デクスターが上半身を起こした。寝台が僅かに軋む。気付けばクラリスは、デクスターに口付けをされていた。

 クラリスが「……百回目です」と、呟いた。デクスターが首を傾げると、クラリスは、照れくさそうに微笑んだ。

「今ので、百回目の口付けです」

 デクスターは目を丸くした。

「数えていたの?」

「……引きました?」

 イライジャに口付けされたと泣いていたクラリスを思い出したデクスターは、まさか、とクラリスを優しく抱き締めた。

「これからは、数え切れないぐらいしてあげるから」

 だから、もう数えなくていいんだよ。

 優しく囁かれ、クラリスは、はい、と涙声で答えた。



 ──それより二年後。

 クラリスは、一人の男の子を産んだ。その後も二人の男の子と、二人の女の子を授かることになる。デクスター王は側妃を一人も迎え入れることなく、ただ一人の正妃を、生涯、愛し続けたという。


             ─おわり─
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