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※攻め視点
フワフワと柔らかそうな羽を羽ばたかせて飛ぶ青年が、青い空の中できらりと輝いて見えた。
風に飛ばされないように一生懸命、愛らしい羽を動かしている。
「可愛い……」
可愛い。可愛くてしょうがない。まるでタンポポの綿毛みたいだ。
目を細めて彼を見上げていると、ふいに声を掛けられた。
「アルディート、あれって有翼族のアイレか?」
「ああ、そうだよ。なんだ、知ってるのか?」
「まぁな……可哀そうだけど、きっとあいつはあと10年も生きられないだろうなぁ」
のんびりと男が言い放った言葉。
その内容に慌てて彼を振り返る。
「は? なに言ってるんだ……? 有翼族は寿命が長いだろ。あいつはまだ100歳にも満たない。あと500年は生きるはずだ」
「アルディードこそ、なに言ってるんだよ。それは番を得ている有翼族だけだろ? 有翼族は寂しがりやだからな。番なしの一人ぼっちじゃあ、あっという間に心が凍えて死んじゃうんだよ」
焦りを顔に乗せて詰め寄る俺に、そいつは『当たり前だろう』と事もなさげに言って、ふんと鼻を鳴らした。
普段ならその態度にむっと腹を立てただろう。だけどそんなことも気にしていられないくらい、俺は動揺していた。
ずっと一緒に居られると思っていた友。
ふわふわと空を飛ぶ可愛い綿毛のような彼は、今まで一度もそんなこと言わなかったじゃないか。
なのに。
『一人ぼっちじゃあ、あっという間に心が凍えて死んじゃうんだよ』
生まれてはじめて、俺は全身の血が引いていく音が聞こえた。
フワフワと柔らかそうな羽を羽ばたかせて飛ぶ青年が、青い空の中できらりと輝いて見えた。
風に飛ばされないように一生懸命、愛らしい羽を動かしている。
「可愛い……」
可愛い。可愛くてしょうがない。まるでタンポポの綿毛みたいだ。
目を細めて彼を見上げていると、ふいに声を掛けられた。
「アルディート、あれって有翼族のアイレか?」
「ああ、そうだよ。なんだ、知ってるのか?」
「まぁな……可哀そうだけど、きっとあいつはあと10年も生きられないだろうなぁ」
のんびりと男が言い放った言葉。
その内容に慌てて彼を振り返る。
「は? なに言ってるんだ……? 有翼族は寿命が長いだろ。あいつはまだ100歳にも満たない。あと500年は生きるはずだ」
「アルディードこそ、なに言ってるんだよ。それは番を得ている有翼族だけだろ? 有翼族は寂しがりやだからな。番なしの一人ぼっちじゃあ、あっという間に心が凍えて死んじゃうんだよ」
焦りを顔に乗せて詰め寄る俺に、そいつは『当たり前だろう』と事もなさげに言って、ふんと鼻を鳴らした。
普段ならその態度にむっと腹を立てただろう。だけどそんなことも気にしていられないくらい、俺は動揺していた。
ずっと一緒に居られると思っていた友。
ふわふわと空を飛ぶ可愛い綿毛のような彼は、今まで一度もそんなこと言わなかったじゃないか。
なのに。
『一人ぼっちじゃあ、あっという間に心が凍えて死んじゃうんだよ』
生まれてはじめて、俺は全身の血が引いていく音が聞こえた。
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