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第6章 ハーフエルフの兄妹

☆第39話 シグレとセシルの日常。

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 ☆第39話 シグレとセシルの日常。
 
 この話はシグレ視点です。
 
 
 私とセシルは何故か気が合う。
 この日は雨。
 セシルが珍しく一日中宿にいる珍しい日。
 雨の日は流石にセシルも大人しく、先ほど一階の酒場で一緒に飲んだあと、宿の部屋で私達は暇を持て余している状態だ
 
 「ん…シグレ何か思いつめている顔してどうしたの?」
 
 「いやこれまでの事を思い出していた」
 
 隣のベッドで暇そうにごろごろと寝がえりをうっているセシルを見ていると少し可哀そうな気もする。
 
 セシルは天気が良ければ街を散策し、賭場に通い酒場で酒を飲み、意気投合した相手と寝るというふしだら極まりない生活をしている。
 ある意味究極の人生謳歌だがその理由を私は知っている。
 
 セシルは貧民街で捨て子として盗賊ギルドに拾われ物心ついた時には身体を売らされていた。
 セシルがどうやってその生活から脱出できたのか。
 それは聞かないが血なまぐさい事があっただろうとは思っている。
 その生活の中でいつ死ぬかわからないなら生ある事を悦び楽しもうというセシルの人生哲学が培われたらしい。
 
 私はそれなりに女性として魅力的な身体をしているし、セシルも大変魅力的だ。
 だからこそふしだらな生活を送っていても、身体目当ての男には困らないのだろう。
 
 私とセシルが組んだのは冒険者ギルドで登録を済ませた直後だ。
 登録を済ませた直後、「そこのお姉さ~ん。あたしと組まない?」
 と誘われた。
 
 私は剣士で腕には自信があったが一人で動くには限度があったし、腕のいいスカウトは欲しかったので二つ返事で受け入れた。
 それから私たちは主に街中で腕を磨き銅から青銅、そして現在の鉄にまで冒険者としての評価を上げた。
 
 その過程で私もセシルも悪党相手とはいえ人間の殺害にも関与したし、人に誇れない裏の汚れ仕事も引き受けた。
 私とセシルにとって正道を歩むユキナとミレーヌは微笑ましくもあり輝いても見える。
 
 私には故郷に結婚を約束させられた20歳も年上の男性がおり、その男性に嫁ぐ事を強要された。
 愛とか恋とか貴族だった私に選択する権利は無いし、誰かの子供を産む事も当たり前だと教育されてきた。
 望まぬ男性との性行為も当時の私なら受け入れた筈だ。
 
 それは貴族の婦女子に生まれた当然の務め。
 高貴な生まれに自由恋愛などという甘い夢は無い。
 勿論平民や貧民も生活苦から身売り同然で嫁がされることもある。

 だからユキナとミレーヌのようにお互いを愛し合う関係というのは極めて珍しい。
 
 「ユキナとミレーヌは不思議な子だ」

 「そだね。ハーフエルフと打ち解けられる子も珍しいし、信頼されてるかもね」
 
 「あの二人には生き残って大成してほしいものだ」
 
 「特にユキナ君はでしょ?」
 
 「ああ…あの子は特にな。ユキナは死んだ弟とよく似ている」
 
 外見だけでなく正義感の強いところなどそっくりだ。
 だが弟はそのせいで死んだ。
 戦場で退却する味方をかばって戦死してしまった。
 
 家督相続人だった弟が戦死したので、本来身軽だった私は家督相続人にされてしまった。
 そこで好きでもない20歳も歳上の相手と結婚させられそうになったのだ。
 それはとてもおぞましいと思う。
 
 だから夜逃げ同然に家を飛び出した。
 今頃実家は養女を迎え、その子とその男は結婚させられているだろう。
 
 自分から望んだとはいえ、私は故郷と家族を失った。
 私は家族として弟を愛していた。
 その弟の死を賛美し、将来自分が生む子供が戦死したら誉だと思う故郷。
 
 そんな故郷の風習を認められなかった。
 弟の死で元々疎遠だった家族と地位への未練が無くなった私は、広い世界をこの目で見たかったので冒険者になったのだ。
 
 私はおかしいのだろうか?
 あのまま家の為に望まぬ結婚をして子を産めばよかったのか。
 弟は出陣前に私に言った。
 自分が戦死したら姉さんを縛り付ける事になると。
 弟は自分が死んだら私が家督相続人にされる事がわかっていたのだ。
 
 「セシルが羨ましい」
 
 「いきなり何言ってるのさ」
 
 ベッドから降りて汗を流すのと暇つぶしに風呂へ行くのだろう。
 部屋着の替えを用意しているセシルの背中を見ていてそんな言葉が出る。
 生まれながら地位や権力と無縁の人生を歩んでこれたセシルのほうが幸せではないか?
 
 「あたいから見れば、食べる物も寝る場所にも不自由しなかったシグレの方が羨ましいね」
 
 セシルは貧民街で生まれた浮浪児で、子供の頃から盗みと乞食と身体を売る事で生きて来た。
 セシルを自由だと思うのは私の勝手だが、人生を選べなかったという点ではセシルの方が過酷だっただろう。
 
 「さって。明日の出発まで間があるし、あたいは今夜の男でも見繕うかね」 
 
 「この雨でか?男を連れ込むのは勘弁してくれよ?」
 
 そう言って私とセシルは笑いあう。
 
 「冗談だよ。シグレは本当に甘えん坊なんだからさ」
 
 なぜかセシルは私を妹あつかいする。
 まったく。
 年を覚えていないセシルとどちらが年上かなど今更確かめようがないのに。
 セシルから見れば今の私はまだまだ世間知らずの小娘に見えるのだろう。
 
 そう言ってセシルは私の首の後ろに手を回して自分からキスをしてくる。
 私にそういう趣味はないがセシルは時々こういう行為を求める。
 自由闊達な生活を送るくせに、たまに寂しく空しくなるのだとセシルは言った。
 
 舌を絡ませあい唾液を混ぜてお互いを求める。
 セシルは男も女も愛する淫らな女だ。
 だからこうして相手をしてやる事もある。
 
 「シグレ…好きよ。愛している」
 
 セシルが本気かどうかはわからない。
 今更自分が清く正しく生きられると思う程、セシルは子供ではない。
 私はセシルの何度目かわからない告白に笑みを浮かべるだけで返事をしない。
 
 それでいい。
 私はセシルの身体をベッドに押し倒して下着を脱がし、セシルの成熟した女体にふれる。
 赤子のようにセシルの乳首を口に含み吸っていく。
 
 「ん……シグレ。いまはあたいだけを愛して」
 
 セシルの懇願する言葉。
 その言葉に私は応え行為を激しくしていく。
 私はセシルの背中を優しく撫でてキスを繰り返す。
 身体を重ねている時のセシルは純真な少女のような顔をしている。
 
 もし生まれが良ければセシルは良妻賢母になっていたのかもしれない。
 誰かの子を生み育て老いて死ぬ。
 そんな幸せがセシルにもあったのかもしれない。
 
 セシルの太ももに私は自分の濡れたヴァギナを押し付け身体を上下させる。
 セシルの太ももに擦られた私のヴァギナとクリトリスから快楽が沸き起こってくる。

 「ああっ♡あああっ♡シグレっ♡シグレっ♡」
 
 「セシルは貪欲だな」

 セシルと身体を重ねている時は何も考えない。
 セシルも私のお尻を掴みヴァギナを私のクリトリスに押し付ける。
 セシルの濡れたヴァギナが私のヴァギナに押し付けられ、私たちは貝合わせの体勢でお互いのヴァギナを擦り合わせ愛液を混じり合わせた。
 
 歪んだ性行為。
 いやこれはセシルの自慰だ。
 私は自慰の道具に徹する。
 セシルの心の病は深いのだろう。
 
 「シグレ♡シグレ♡あたいの事好き?」
 
 「好きだセシル。だから安心して私に身を任せろ」
 
 何度自問自答しても答えは見つからない。
 だから今日も一日中セシルと一緒に乱れよう。
 私がセシルの隣にいつまでも一緒にいられる保証はないのだから。
 
 雨の中。
 
 セシルの心の涙を流すような雨が降る。
 今日はセシルの自慰行為に付き合おう。
 私の相棒の心の傷が少しでも和らぐなら。
 
 こんなセシルを受け入れて、セシルだけを愛してくれる男性と巡り合い、セシルに幸せな未来が来ることを私は願っている。
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