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第6章 ハーフエルフの兄妹
第40話 新しい仲間たちと共に。
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第40話 新しい仲間たちと共に。
翌日出発準備を済ませた僕達6人は冒険者ギルドの受付前に集まった。
ここで臨時とはいえパーティを結成した事をギルドに登録しておく。
万が一、死者や復帰困難な重傷者が出た時に登録しておかないと私闘による損失として扱われる。
報酬の独り占めなどでパーティ内で殺人などが行われた場合に備えて誰がクエストに所属していたのかを明らかにする為だ。
そうでないと殺し合いが多発してしまう。
パーティメンバーの死亡時は死亡の状況を報告し、不審がないか審問の後で報酬が支払われる。
そこまでしなくてもと思うけど、目の前に多額の報酬があって独り占めしたくなる欲求に抗えない者もいる。
あくまで予防のための手続きだ。
「このくらいの用心は当然だろう。私もフェリシアも利益の為に私闘に巻き込まれた事がある。無論ハーフエルフというだけで見くびった輩には正当な罰を与えてやったがな」
クヌートが言うようにそういう事はよくある。
シグレさんとセシルさんが僕とミレーヌを誘ってくれたのは、信頼できる仲間じゃないと安心して背中を任せられないからだ。
色々と誓約書や普段拠点にしている宿など連絡場所などを事細かに記入して、冒険者ギルド受付嬢のマリアさんに提出。
最後に僕達が身に着けている獅子が描かれたペンダント型の冒険者ギルド許可証に、マリアさんが手をかざして魔法印を結んで登録は完了した
「パーティの登録はこれで完了ね。最後に今回登録するパーティのリーダーを決めて頂戴」
マリアさんの言葉に頷いてシグレさんを見る。
経験実力共に兼ね備えているシグレさんがリーダーに相応しい。
そう思っていたらシグレさんが意外な発言をした。
「今回のリーダーはユキナが良いと思う」
「え?えええ!?だって僕このあいだギルド登録したばかりの新人ですよ!!そんなの無理ですよ」
「いやユキナでいい。私とセシルもだがクヌートとフェリシアもユキナとミレーヌの人柄を見て結成されたパーティだ」
シグレさんはそう言うけど、僕はリーダーとして人に好かれるような性格ではないし、人の上に立てるような人間ではないと思う。
それに他のメンバーはクヌート以外全員女性だし、僕が一番年下だからやっぱりどう考えても不釣り合いだと思う。
「俺もユキナでいいと思う。シグレとセシルには悪いが二人の事を良く知らないのに背中を預けられない。ユキナはハーフエルフの俺とフェリシアを見下したりしなかった。それに俺もフェリシアもウィザードだ。いざという時は剣士がリーダーでないと困る」
剣士や戦士がリーダーになる最大の理由は自分自身がパーティを守る剣にも盾にもなれるからだ。
魔法使いは苦境の時、自分を守る事で精一杯になってしまうし打たれ弱い。
投げナイフ一本で戦闘不能になる魔法使いではいざという時にみんなを指揮できない。
「あたいもユキナでいいと思うよ。あたいもシグレもクヌート達をよく知らないしね。ユキナの経験不足はちゃんと補うからさ。やってみなよ」
そう言って僕の背中を叩くセシルさんだ。
いつかはやってみたいと思っていたけどこんなに早く任せられるとは思わなかった。
ベテランのシグレさん達がフォローしてくれるんだし自信ないけど頑張るしかない。
「ユキナ、頑張ってね♪」
ミレーヌの声援を受けた僕はマリアさんから書類を受け取り、記載事項に目を通して必要箇所にサインをする。
その間にシグレさん達5人もそれぞれ名前を書いて行く。
こうして無事にパーティ結成の儀式は終わった。
その後冒険者ギルドに併設してある喫茶店で作戦会議を開くことにする。
「それでは今回のクエストの確認を行います。今回は森でオーガを発見した村人からの依頼です」
僕何かリーダーみたいな事言ってる。
リーダーなんだから当然だけどね。
「オーガについて調べてみると筋骨隆々で武器は素手や棍棒その他人間が扱えるもの。知能は人間並みにあるのでゴブリンの時のように罠をしかけるのは難しいでしょう。特筆する事は殺した人間の心臓を食らってその人間に化ける事ができるという事です」
オーガについて冒険者ギルドの資料室で読み集めた内容を纏めてみる。
といっても全員このくらいの知識は持っているだろうから恥ずかしくはあるが。
そう思っているとクヌートが軽く挙手して発言を求めた。
「いくつか補足するが、オーガの知能は人間並みなので魔法を扱う者もいるぞ」
「そうなんですか?」
「ああ。俺は見た事は無いがオーガは人に化けるとき相手の知識や経験も学ぶ。なんども化ける事を繰り返すと魔法使いの心臓を食らう機会もあるのだろう。ゴブリンやオークを相手にしている感覚でいると足元をすくわれるぞ」
筋骨隆々で魔法まで使われたら手も足も出ない。
しかも化けているなら奇襲も得意だろう。
「オーガの弱点は人間に化けられる時間はほんの数時間だけだという事だ。あとどうしても普段と違う行動に出る。日課の散歩をしなくなったり夜に出歩くようになったりだ」
「ただ今回は森の中で発見されたオーガだけなので化けている可能性は低いと思います」
フェリシアが補足説明をしてくれる。
確かに村に危害が加わったという事件では無いし、森にいるだけならそこまで心配する必要は無いと思う。
でも化けていなくても強敵には違いない。
単純な戦闘力でも人間の僕では一対一では勝てないのだ。
「ただ不明なのは森でオーガが発見されただけというのが引っかかる」
「どういう事ですか?」
「オーガは賢く狡猾だ。自分の身体が目立つ事を熟知しているのに森でうろうろしているのはおかしい」
クヌートの指摘は正しいと思う。
オーガの知能が人間並みなら森を徘徊して人間に発見されたというのもおかしいし、発見した人間を殺して口封じをしなかったのも変だと思う。
考えすぎかもしれないがわざと森で発見されるように行動したのかもしれない。
でもどうして?
村を襲うつもりが無いのなら何故そんな事をするのだろう? 僕にわかるのはその程度の事だ。
もっと情報が欲しい。
でも時間がない。
こうしている間にも村がオーガに襲われているかもしれない。
「不明な事が多すぎて今は考えが纏まりません。村が襲われてからでは遅いですし出発したいと思います」
考えてもわからない時は動く事も必要だ。
今の所森でうろうろしているのは変。
人間に発見されているのに気が付かないのはおかしい。
オーガは心臓を食らうとその犠牲者に化ける事ができる。
もしかしたら魔法を使うかもしれない。
化けられるのは数時間だけ。
一番の強みはクヌートとフェリシアがオーガの変身を見抜ける事。
ウィザードが2人って凄く頼もしい。
翌日出発準備を済ませた僕達6人は冒険者ギルドの受付前に集まった。
ここで臨時とはいえパーティを結成した事をギルドに登録しておく。
万が一、死者や復帰困難な重傷者が出た時に登録しておかないと私闘による損失として扱われる。
報酬の独り占めなどでパーティ内で殺人などが行われた場合に備えて誰がクエストに所属していたのかを明らかにする為だ。
そうでないと殺し合いが多発してしまう。
パーティメンバーの死亡時は死亡の状況を報告し、不審がないか審問の後で報酬が支払われる。
そこまでしなくてもと思うけど、目の前に多額の報酬があって独り占めしたくなる欲求に抗えない者もいる。
あくまで予防のための手続きだ。
「このくらいの用心は当然だろう。私もフェリシアも利益の為に私闘に巻き込まれた事がある。無論ハーフエルフというだけで見くびった輩には正当な罰を与えてやったがな」
クヌートが言うようにそういう事はよくある。
シグレさんとセシルさんが僕とミレーヌを誘ってくれたのは、信頼できる仲間じゃないと安心して背中を任せられないからだ。
色々と誓約書や普段拠点にしている宿など連絡場所などを事細かに記入して、冒険者ギルド受付嬢のマリアさんに提出。
最後に僕達が身に着けている獅子が描かれたペンダント型の冒険者ギルド許可証に、マリアさんが手をかざして魔法印を結んで登録は完了した
「パーティの登録はこれで完了ね。最後に今回登録するパーティのリーダーを決めて頂戴」
マリアさんの言葉に頷いてシグレさんを見る。
経験実力共に兼ね備えているシグレさんがリーダーに相応しい。
そう思っていたらシグレさんが意外な発言をした。
「今回のリーダーはユキナが良いと思う」
「え?えええ!?だって僕このあいだギルド登録したばかりの新人ですよ!!そんなの無理ですよ」
「いやユキナでいい。私とセシルもだがクヌートとフェリシアもユキナとミレーヌの人柄を見て結成されたパーティだ」
シグレさんはそう言うけど、僕はリーダーとして人に好かれるような性格ではないし、人の上に立てるような人間ではないと思う。
それに他のメンバーはクヌート以外全員女性だし、僕が一番年下だからやっぱりどう考えても不釣り合いだと思う。
「俺もユキナでいいと思う。シグレとセシルには悪いが二人の事を良く知らないのに背中を預けられない。ユキナはハーフエルフの俺とフェリシアを見下したりしなかった。それに俺もフェリシアもウィザードだ。いざという時は剣士がリーダーでないと困る」
剣士や戦士がリーダーになる最大の理由は自分自身がパーティを守る剣にも盾にもなれるからだ。
魔法使いは苦境の時、自分を守る事で精一杯になってしまうし打たれ弱い。
投げナイフ一本で戦闘不能になる魔法使いではいざという時にみんなを指揮できない。
「あたいもユキナでいいと思うよ。あたいもシグレもクヌート達をよく知らないしね。ユキナの経験不足はちゃんと補うからさ。やってみなよ」
そう言って僕の背中を叩くセシルさんだ。
いつかはやってみたいと思っていたけどこんなに早く任せられるとは思わなかった。
ベテランのシグレさん達がフォローしてくれるんだし自信ないけど頑張るしかない。
「ユキナ、頑張ってね♪」
ミレーヌの声援を受けた僕はマリアさんから書類を受け取り、記載事項に目を通して必要箇所にサインをする。
その間にシグレさん達5人もそれぞれ名前を書いて行く。
こうして無事にパーティ結成の儀式は終わった。
その後冒険者ギルドに併設してある喫茶店で作戦会議を開くことにする。
「それでは今回のクエストの確認を行います。今回は森でオーガを発見した村人からの依頼です」
僕何かリーダーみたいな事言ってる。
リーダーなんだから当然だけどね。
「オーガについて調べてみると筋骨隆々で武器は素手や棍棒その他人間が扱えるもの。知能は人間並みにあるのでゴブリンの時のように罠をしかけるのは難しいでしょう。特筆する事は殺した人間の心臓を食らってその人間に化ける事ができるという事です」
オーガについて冒険者ギルドの資料室で読み集めた内容を纏めてみる。
といっても全員このくらいの知識は持っているだろうから恥ずかしくはあるが。
そう思っているとクヌートが軽く挙手して発言を求めた。
「いくつか補足するが、オーガの知能は人間並みなので魔法を扱う者もいるぞ」
「そうなんですか?」
「ああ。俺は見た事は無いがオーガは人に化けるとき相手の知識や経験も学ぶ。なんども化ける事を繰り返すと魔法使いの心臓を食らう機会もあるのだろう。ゴブリンやオークを相手にしている感覚でいると足元をすくわれるぞ」
筋骨隆々で魔法まで使われたら手も足も出ない。
しかも化けているなら奇襲も得意だろう。
「オーガの弱点は人間に化けられる時間はほんの数時間だけだという事だ。あとどうしても普段と違う行動に出る。日課の散歩をしなくなったり夜に出歩くようになったりだ」
「ただ今回は森の中で発見されたオーガだけなので化けている可能性は低いと思います」
フェリシアが補足説明をしてくれる。
確かに村に危害が加わったという事件では無いし、森にいるだけならそこまで心配する必要は無いと思う。
でも化けていなくても強敵には違いない。
単純な戦闘力でも人間の僕では一対一では勝てないのだ。
「ただ不明なのは森でオーガが発見されただけというのが引っかかる」
「どういう事ですか?」
「オーガは賢く狡猾だ。自分の身体が目立つ事を熟知しているのに森でうろうろしているのはおかしい」
クヌートの指摘は正しいと思う。
オーガの知能が人間並みなら森を徘徊して人間に発見されたというのもおかしいし、発見した人間を殺して口封じをしなかったのも変だと思う。
考えすぎかもしれないがわざと森で発見されるように行動したのかもしれない。
でもどうして?
村を襲うつもりが無いのなら何故そんな事をするのだろう? 僕にわかるのはその程度の事だ。
もっと情報が欲しい。
でも時間がない。
こうしている間にも村がオーガに襲われているかもしれない。
「不明な事が多すぎて今は考えが纏まりません。村が襲われてからでは遅いですし出発したいと思います」
考えてもわからない時は動く事も必要だ。
今の所森でうろうろしているのは変。
人間に発見されているのに気が付かないのはおかしい。
オーガは心臓を食らうとその犠牲者に化ける事ができる。
もしかしたら魔法を使うかもしれない。
化けられるのは数時間だけ。
一番の強みはクヌートとフェリシアがオーガの変身を見抜ける事。
ウィザードが2人って凄く頼もしい。
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