ヒロインの攻略対象は私? 男装の麗人にマッチョな騎士が迫ってくる!

能登原あめ

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3 噛み合ってない! ※微

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 逃げられないように大きな手であごを掴まれて、のぞき込むようなキス。
 重ねるだけじゃなくて濃ゆ~いやつ。

「サムはやめておけ。他に女がいる」
「え⁉︎」
「知らなかったのか……リンが傷つくのは見たくない」
「んう、んんっ」

 サムに彼女がいるって知らなかった!
 言ってくれたらよかったのに。
 しかし1ミリも傷つかん。

 それにしても、なんでこんなに長くキスしてくるの⁇
 
 ベロが! ベロが生き物みたい!
 あっつい、ぬるぬるしてエロくて頭がパンクしそう。

「……深い関係だなんて知らなかった」

 深いって何?
 薄目を開けるとケンさんめっちゃ見てる!

「サムとは昔からの、付き合いで……お互いよく、知ってるから、です」

 父の大親友の子で、何度か遊んで気が合うってわかった後、お互いの両親が立ち会って、困った時は助け合う約束をした。
 
 女の子って打ち明けたのもその時。
 学園で気を抜いている時……着替えとか水かけられそうになったとか、サムはさりげなく守ってくれた。

 すごくいい奴。
 深いって言えば深い関係なのかなぁ。
  
「ふぅん? 全部忘れてしまえ」
「えぇッ⁉︎     イヤです」

 親友だし。
  
「……妬けるな」

 くるりと体の向きを変えられてすっぽり包まれると、小さい女の子になったみたい。
 
 今のケンさんの雰囲気、クマはクマでもはちみつ抱えて哲学的なこと言い出す黄色いアイツみたいだぞ?

 多分、いつもの不機嫌オーラ出してないし殺気もないから、へんな安心感がある!
 
「俺たち、恋人だろう? 忘れてしまえ」

 んん?
 なんか話が噛み合ってないかも!

「ケンさん! あの、先に話を……」
「あとにしてくれ。先にヤッたほうがいいだろ? 早く突っ込んでほしいみたいだし、イキたいって言ってたのはリンだ」

 待って、待って!
 なんかおかしい。
 そんなこと言ったかなぁ⁉︎

 んん? さっきのあれ?
 サムと手合わせしようとして言ったやつ~~!
 意味全然違ーう。

「ケンさん……ッ」

 うなじから髪をかき上げるように大きな手が頭を支える。
 ぞくぞくして、震えたのに気づいたケンさんがもう一度キスした。
 
「ん……」
「可愛い」

 キスしながら腰に添えていた手が背中を撫でる。
 手合わせする時は厳しくて、打ち込まれると重くて手が痺れるし、容赦ない。
 
 気合を入れるようにバチンと背中を叩かれた時なんて、痛くてしばらくジンジンしてた。

 でも今は、大きなクマさんが壊れ物を扱うみたいに優しく触ってきて、ギャップにキュンとする。

 相手はケンさんだよ?
 いつも厳しい兄弟子が私にキスして、欲情している。
 私を相手に……。
 ん?
 
 ケンさんってこれまでずっと彼女がいるって聞いたことない。
 私のこと男って思ってる可能性は……?
 待って、待って、まさかお尻を狙われている⁉︎
 
「ケンさんッ、私……お、女です」

 無理矢理唇を離してそれだけ言うと、めちゃくちゃ甘い顔で笑った。

「知ってる。お前は可愛い」
「はぁう……⁉︎」

 なんか変な声出た!
 普段ゴリラみたいな顔で剣を振り回しているケンさんが。
 
 鍛錬の後も渋い顔のことが多かったし、私がサムと喋っていると騒がしいって感じでよくにらまれた。嫌われてると思っていたくらいで――。

「なんだその声……可愛すぎるだろ」 
 
 甘い! 
 はちみつ1瓶飲んだんじゃない?
 ギャップが大きすぎて、目の前に知らない人がいる!
 実は双子? 双子って言われたら信じる。

「可愛くなんて、ないです」
「いや、可愛い。美人で可愛い」
 
 褒めすぎぃ! こんなの照れちゃうから。
 今だって男装してるのに、素でそんなこと言っちゃうケンさんのほうが可愛いんじゃない?

 いやいや、目の前の大男が可愛いってなんだ。
 いつもお腹を空かせたファンタジーな世界に住むクマと重なる!
 いやいや、それってどうなの⁉︎
 
「せっかく恋人になれたんだ。歩きながら、この後は甘やかすって決めてた」
「え⁉︎」
「驚きすぎだ。恋人を甘やかさないで、誰に優しくするんだ」

 ケンさんが別人!
 笑ってるし!
 これ、誰……?

「えっと、子どもに……?」

 ケンさん、時々子どもたちに泣かれているし。
 迫力あるし、ぷるぷる震えながら子どもたちが挑むのはよく見かける。
 
 強いし気迫がすごいもんね、憧れている子どもたちも多いからもう少し優しく相手してもいいかも!

「……子ども、ほしいのか? まいったな。俺は順番通り段階を踏みたいと思ってた。だが、リンが望むならやぶさかではない」

 え?
 なんか噛み合ってないよ?
 お腹に硬いものがあたってる――!
 携帯食のバナナであってほしい!

「ほかの男なんて、忘れさせてやる」

 ほかの男なんて、いないんだけどぉ⁉︎
 キスしながら手際よく脱がされた。

 なんで?
 なんで?
 
 胸に巻いたサラシをくるくる巻きとり、すくいあげるように覆う。

「ちょうどいい大きさだな。……もう勃ってる」

 指先で弄ぶように、先端に触れるから体が反応して勝手に動く。
 
「んっ♡」
「ここ、好きか?」
「わかんない、です」

 キュってつままれて、また声が出た。

「あ……♡」
「恋人だろ? 普段通りに話せ……好きなとこ、全部見つけてやる。だから3分待て。シャワー浴びてくる」

 今のケンさんなら、友だちに話すみたいに会話しやすい。です、ます疲れるもん。
 
「私も浴びたい……っていうか、ケンさん、ほんとにするの? 私初めてだから、その」

 一応貴族だし、結婚する時処女なのが当たり前の世界。
 今やめないと、戻れない気がする!
 
 いいのか、私。
 今取り返しのつかないこと、しようとしてるぞ?
 
「する、したい。結婚もしたい……サムには尻を使わせていたんだろ?」
「え?」
「そういう令嬢がいるとは聞いたことがある」

 処女を守るため?
 私がサムとお尻で……?

「ええぇ――⁉︎ ない、ない! サムとはそういう関係じゃないッ」

 ケンさんの眉間にしわがよって、めちゃくちゃ怖い顔で考え込んでいる。

「……リン、結婚しよう。18だろ? 先に籍だけでも入れよう」

 ドドン!
 そんな効果音が聞こえた気がする。
 ケンさんはびっくりする私を抱き上げた。
 
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