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21 夢のような② ※

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「アルシェ……⁉︎」 

 彼の指が足のあわいを撫でると、潤みで水音が響き彼の指を濡らした。
 知らない間にオイルを使用されたのかというほどで、こんなことになるなんて何か粗相をしてしまったのかと慌ててしまう。

「ミレイユ、ゆっくり進めるから」
「でも私……こんな……」
「……もう少しだけ触れさせて。それでも嫌だったら、やめるから」
「わかったわ」

 アルシェは私に嘘をつかないから。
 恥ずかしくてぎゅっと目を閉じる。

「……ありがとう」

 伸び上がって、舌を絡める深い口づけを味わう。
 頭がぼんやりしたところで、アルシェが再び脚のあわいに触れた。

「ミレイユ」

 それから彼の指がひだを開き、上下に撫でてから濡れた指で尖りに触れる。

「あっ……」

 思いがけない強い刺激に、呼吸が止まる。
 
「強すぎましたか?」
「少し……」

 今度は触れるかどうかもどかしくなるくらい優しく撫でた。

「アルシェ……っ」

 脚のあわいがむずむずして、おかしい。
 こんなふうに感じるのは初めてで、アルシェに手を伸ばすと指先に口づけしてくれる。
 その間も尖りに触れた指は円を描くように優しく撫で続けた。

「ミレイユ、もう少しだけ……」

 彼は何度もそう言って、飽きることなく触れ続けた。 
 脚のあわいに熱がたまって、水音と私の漏らす声と、彼の励ましだけが聞こえる。

「……ア、ル、シェ……っ」

 ずっとこのままはつらくて。
 じっとりと汗をかいて、この熱をどう逃したらいいかわからない。
 混乱する私の、尖りにアルシェが口づけした。

「ああっ……、あ……」

 そのまま舌で優しく舐められて、目の前に白く靄がかかって弾けた。
 大きく息を吐き、ぐったりと力の抜けた私に嬉しそうに笑う。

「アルシェ……?」
「ミレイユ、よかった」

 もう少しだけ、そう言って再び脚のあわいに触れた。

「あ……、待っ」

 尖りに触れられるとまた熱がぶり返す。
 
「刺激が強すぎた?」

 心配そうに見つめられて首を横に振ると、指が身体の内側へとすべり込む。
 過去の痛みを思い出して脚に力が入る。

「痛む?」
「だい、じょうぶ……」

 なだめるように太ももに口づけ、脚を撫でた。
 それからアルシェがゆっくりと指を動かして私の反応を見つめる。
 意外にも違和感も痛みもないから、身体の力を抜いた。

「もう少しだけ」

 尖りに舌を這わせながら、指を動かす。

「んっ、……アルシェ、それっ……」
「痛い?」
「痛くない……」
「じゃあ、もう少しだけ」

 二本目の指を挿し入れ、内壁に触れて探りながら広げていく。
 本当に初めてなのかと疑問がわくくらい、じっくりと指を這わせて私が大きく反応したところばかり触れた。

 アルシェは努力家だから、男女の交わりの勉強も一生懸命したのかも。
 そうでなければ説明がつかない。

「ミレイユ、もう少しだけ」

 もう少し、もう少し。
 彼は何度もそう言って私を宥め、煽る。
 尖りを舌で刺激しながら指は不規則に動いた。

「アルシェ、もう……!」

 これ以上無理なのだと、解放して欲しくてたまらない。
 不意に尖りを舌で弾かれて身体が浮くような、バラバラになるような感覚に陥った。
 甘くて強い刺激に呆然とする私の中から指を抜いて、アルシェがゆっくりと起き上がる。

「ミレイユ様、いいですか?」
「……言葉が」
「……ごめんなさい、興奮してこれまでの話し方に戻ってしまった」

 余裕があるように見えたアルシェが、そう言って笑うと年相応にみえる。

「うん、いいわ」

 そう答えた後、彼はまだ寝衣をまとったままで、何も身につけていない私との差に愕然とした。
 そんな私の表情を見て、彼が一気に脱ぎすてた。

「アルシェは、きれいね」

 細身だけれど薄く筋肉のついた身体は均整がとれていて私とはまるで違う。

「……ミレイユのほうがきれい」

 私の身体は彼の前にすべてさらけ出してしまった。
 それでも。

「あまり見ないで……恥ずかしいわ」
「……はい」

 困ったような顔をして頷く彼が愛おしい。
 
「アルシェ、好きよ」
「……ミレイユ、大好き」

 彼の昂まりを脚のあわいに押しつけられる。
 目を閉じようとした私だけど、アルシェの真剣な表情に魅入られた。
 
 先端が入り、内側を押し拡げる。
 訪れるであろう痛みに備えた私だけど、アルシェが腰を前後させながらゆっくりと慎重に身体を重ねたからか、少しも痛くない。
 全く痛くなかった。

「アルシェ……」
「ミレイユ様、愛してます」

 私の身体をきつく抱きしめて、アルシェが荒く息を吐く。
 身体の中でアルシェの昂まりがぴくぴくと動くけれど、彼はそのまま私を抱きしめ続けた。

「……痛く、ないですか?」
「……大丈夫。全然、痛くない……」

 ほっとしたように顔を上げて微笑む。
 こんなに気遣ってもらえて、胸がいっぱいになった。
 
「アルシェ、口づけしてくれる……?」
「もちろんです」

 彼を受け入れたまま唇を重ねると、多幸感に溺れそう。
 今なら、動かれても痛くないかもしれない。  
 だけど、アルシェの苦しそうな表情を見て彼のほうが痛いのかもしれないと思い当たる。
 初めてだと言っていたから――。

「アルシェ……? 痛い?」

 困ったように笑うから、彼の頬に触れる。

「逆です。……気持ち良すぎて、動いたらすぐに終わってしまいそうです……」
「……それっていけないこと? それでもいいよ」

 私の手のひらに口づけしてから言う。

「……時間をかけて、楽しみたくて……」
「そうなの? やってみて」

 ゆっくり腰をひくから、内側をすべて擦られてぞくぞくした。
 感じたことのない感覚に、私は息を漏らす。
 二度ほど深く押し入ったところで、アルシェが私の奥深くで子種を放出した。

「…………」
「…………」

 アルシェは最初から最後まで優しくて、痛みなんて少しも感じなかった。
 もっと彼を感じていたいと思うのは、お互いの気持ちが通じているからかも。

「ごめんなさい……もっと、したかったのに」  

 私は彼の背中を撫でながら、またしようねってささやく。
 恥ずかしいけど、あまりにもアルシェが落ち込んで見えたから……。

「本当に? よかった……次は頑張ります」
「うん……アルシェと結婚してよかった」
「僕も……幸せです」

 彼が腰をひくから終わりなのだと思ったけれど、小刻みに揺らすから困惑する。

「アルシェ……?」
「回復したのでもう少しだけ……いや?」
「……いやじゃないわ」

 二回続けてできるなんて思わなくて、驚く私をゆったりとした動きで揺さぶる。
 不規則な動きにじわじわと熱がたまっていく。

「気持ち、いい……」

 思わず漏らした私の言葉に反応するように、彼の昂まりが大きくなる。

「んっ……! あっ……」

 不意に身体を起こされて、彼を受け入れたまま抱きしめられた。
 身体がぴたりと密着して、背中を撫でられるのも口づけられるのもまるで恋人同士みたい。

「急に起こしてごめんなさい。……あのままだと無理をさせてしまいそうだったから……」

 それでもいいと思っている私がいて。
 アルシェは私を痛めつけるようなことはしないから……そう考えて、首に腕を回してきつく抱きしめた。

「アルシェ、好きにしていいよ」
「…………ミレーヌ様!」

 背中を撫でていた手が臀部を掴み、ぎゅうっと隙間なく昂まりに押しつけてくる。
 それによって尖りが刺激されて熱が集まった。

「あっ……」

 声をあげたのは私なのか、アルシェなのか。
 すぐに深く口づけされて、すべてをアルシェに委ねる。

「夢をみているみたいだ」

 あなたが僕の腕の中にいるから、とアルシェがささやく。
 お互いが想い合っているとこんなに幸せで満たされる行為だなんて思わなかった。

「私も……でも夢じゃないのね」
「ミレイユ」

 アルシェの愛をたくさん注がれて、私は彼の愛の深さを知った。
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