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19 新婚生活② ※
しおりを挟むお腹に張りつきそうなくらい起き上がったバレンティ様の長棒が視界に入ってほんの少し怖くなる。
湖の別荘で過ごした時に見た、下を向いて揺れている様子とは勇ましさが違うもの。
「不安か?」
「……ちょっとだけ。そんなに大きいものが入るなんて信じられなくて……でも、大丈夫です。私、バレンティ様の子どもが欲しいですから」
ちょっとくらい痛くても大丈夫。
バレンティ様も痛みを想像したのか少し苦しそうな顔をしたけど、大きく息を吐いた後目元が優しくなった。
「レアル、ゆっくりするから……もし痛かったら叩いたり引っかいたりしてでも止めてくれ」
真面目な顔で私の両脚を抱え込み、熱くて柔らかな部分に長棒を押し当てた。
「はい……んっ」
返事はしたけど止めるつもりなんてない。
こすりつけられるとぬるぬるして気持ちよかった。
バレンティ様が私の両脚を折り曲げるように抱え直す。
「レアル、こっちを見ろ」
ぎゅっと目を閉じて痛みに備える私にそう言った。
そっと目を開けると、バレンティ様が心配そうに見下ろしている。
「……はい、あっ……」
返事とともにゆっくり中を押し拡げながら長棒が進んだ。
見つめ合っているとバレンティ様を好きな気持ちがあふれそうになる。
バレンティ様も今回は痛くないのかな。
今のところ、私も痛くなくて。
バレンティ様の言った通りで。
慎重に、とても優しく触れてくる。
「大丈夫か?」
「はい、まだ、大丈夫です」
ほっとしたように小さく息を吐いたバレンティ様がゆっくり腰を引いた。
前回と違って、内側がこすれた時に甘くうずく。
さっきバレンティ様の指が見つけた場所かもしれない。
大きな長棒でこすられたら私はどうなっちゃうんだろう。
「バレンティ、様……?」
不安か期待かよくわからなくて思わず両腕を伸ばすと、バレンティ様が体を倒しながら腰を前へと進めた。
「あ、あっ、あーっ……」
体の中がバレンティ様でいっぱいで、外からも包み込まれるように抱きしめられる。
内側すべてをこすられて体が勝手に震えてしまった。
どうしよう、私の体じゃないみたい。
「痛かったか?」
「ちがっ……バレンティさまっ、もっと、ギュッてして」
「ああ、すまない。優しくすると言ったのに……」
バレンティ様にきつく抱きしめられても、体が熱くておかしいのがおさまらない。
多分バレンティ様にも心音が聞こえていると思う。
なだめるような、こめかみや額にキスされているのに、お腹の中に熱がたまっていく。
静まれ、静まれ。
「……痛く、ないです。でも、なにかおかしくて。バレンティ様でいっぱいなのに、もっと……って」
でももっとってなんだろう……。
自分がなにを言っているかだんだんわからなくなっている。
「レアル」
低く吐き出すように名前を呼ばれた後、深くキスされた。
「んんっ、ん、あっ」
バレンティ様の肉厚の舌が動くたびに、長棒もぴくぴく動いているみたいで、何かわからないけどもどかしい。
「……レアル、動いていいか?」
「はい」
名残惜しげに私の唇を喰んでから、バレンティ様が顔を上げた。
ゆっくり腰を引かれると物足りないような寂しい気持ちと、ぞくぞくするような感覚がわき上がる。
前回とまったく違う感覚に私の体もバレンティ様を恋しく思っているみたい。
もっと近くにいて欲しいのに。
「……ッ、レアル、そんなふうにされると……」
バレンティ様がとても苦しそうな表情を浮かべた後、もどかしいくらいゆっくり突き込んだ。
「あっ……、なにも、してま、せ……んっ⁉︎」
バレンティ様が動くたびに頭の中がぼんやりしてもやがかかったみたい。
「可愛い……俺が腰を引くと締めつけてくる、のは、無意識、か……ッ」
「そんな、こと! してません……っ、ひ、んっ、バレンティ様⁉︎」
慎重に動いていたバレンティ様が、体を起こして探るように腰を揺らす。
二人のつながりから恥ずかしい音がするし、少しも痛くないし……ただ気持ちいい。
「ひぁっ、そこは……っ、あぅ、へんっ、へんになるっ」
バレンティ様の指が桃色の突起に触れて何度もこすった。
じんじんして、もう考えることが難しい。
気持ちいい。すごく気持ちいい。
バレンティ様はやっぱり嘘は言わなかった。
「……おかしくなったっていいっ、レアルのすべてを受け止めるからッ」
「ん、あっ、ああっ、あ、あーっ!」
バレンティ様に見つめられながら、私は目の前が白く弾けるのを感じた。
体が重い。どっと疲れが出たみたい。
軽いキスを受けて、目を閉じようとした時。
「可愛い……よかった、これから本番だ」
「ん……っ、バレンティ様?」
「ただ愛したいだけだ」
「はい……あっ」
バレンティ様からまだ子種をもらっていないみたい?
前回はお腹の中が温かくなったけど、今はバレンティ様の長棒のせいでものすごく体が熱かった。
「バレンティ様を、ください」
「ああ、いくらでも……レアル、愛している」
バレンティ様の吐息とともに低い声で愛をささやかれた。
くすぐったかったのは耳なのに、どうしてお腹の奥が……。
「可愛いな。また俺を締めつけて……たくさんしぼりとる気みたいだな」
「……バレンティ様……?」
下腹部をそっと押されて、カァッと顔が熱くなった。
体の内側が勝手に動いていることを言っているみたい。
「私は何も……」
「無意識でも俺を欲しがってくれているのか。……今夜は約束通り優しくする。だが、すぐに終われそうもない」
「わかりました。最後までつき合います」
バレンティ様は何も言わずにほんの少しだけ笑った。
その後はただひたすら与えられる熱を受け止め続けて、同時にバレンティ様からたくさん愛をもらって――。
「ありがとう、レアル。……俺と結婚してくれて」
何度目かの子種をもらった後でバレンティ様が言った。
私も同じように答えたつもりだけど、言葉にならなかったかも。
ろうそくが燃え尽きて、カーテンのすきまから明るい光が差し込む頃、バレンティ様にしっかり抱きしめられて眠りに落ちた。
次の日目覚めて体が重くてびっくりした私の前に、伯爵家特製のとっても甘いフォンダンドーナツが山盛り用意された。
修道院のレシピとは違ってシナモンの香りが強く、卵がたっぷり使われているのか黄色味が強い。おいしそう!
「嬉しい……バレンティ様、こんなにたくさん食べていいんですか⁉︎」
「あぁ、もちろん。いつだってレアルのために用意するよ」
「嬉しい……大好きです、バレンティ様!」
「俺も愛している」
夫婦の営みの翌日はたくさん甘いものを食べる、そんな習慣ができた私たち夫婦。
お腹も空くし、二人で食べさせ合うのも楽しい。
「甘くて美味しいな」
「はい、とってもおいしいですね」
夫婦とはみんなそう過ごすものだと思っていた私だけど、ベルニ様が結婚する時までその誤解が解けることはなかった。
応援ありがとうございます!
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みんなの感想(26件)
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ほっこりして、楽しく幸せな気持ちになりました。
良い意味で「やり過ぎ感」が無く、スッキリしていてとても良かったです。
例えば、
兄様やセリアも自分大好きで欲望素直なだけで、性格が捻くれて裏がある人間でもなく。
ロリコン子爵の変態性を際立たせ逃げ出す合理性を持たせる為に、主人公が具体的に衝撃的な何かをされる出来事も無し。
お菓子愛が強すぎてお菓子描写がくどくなる訳でもなく。
周りの人物達もストーリー性のある面白そうな人達にしっかり描きつつ、深掘りして横道に逸れる野暮な事もなく。
無駄な物ごちゃごちゃを一掃した、洗練されたインテリアやファッションを思い起こさせます。(作者様の私生活もそうかもしれませんね(о´∀`о)
逆にゴミたらしく、とっ散らかった部屋&文章の自分に気付かされ、私も頑張ろうって前向きになりました。
素敵なお話ありがとうございました!
(他の方々の感想の絵文字達の凄さにも驚いちゃいました(*≧∀≦*)
わ〜素敵なコメント嬉しいです♪
(୨୧•͈ᴗ•͈)◞︎ᵗʱᵃᵑᵏઽ*♡︎
とっ散らかっているなんてとんでもない、画面前で小躍りしてますよ!
兄やセリアみたいな性格の主役も実は好きです。読み込んでくださってありがとうございます✧︎*。
蜂蜜ひみつさまのステキ作者像が壊れそうなので何を話したら(๑˃▿︎˂๑)))
最近はストレスかかる話より甘めの話かコメディでサクッと読めるものを好んで書いているのでそんなふうに見えるのかもしれません⁉︎
皆さまアスキーアート上手に使いこなしていますよね!
蜂蜜ひみつさま、コメントありがとうございました🤗
個人的にはお兄様、嫌いじゃないな。
ナルシストだし人の心がなさそうな守銭奴だけど。
当主を若くして継いで母と妹を養いつつ、屋敷の維持(使用人の給料含む)なんて大変な事だと思う。そりゃ最低限に人員削減するでしょうよ。むしろ、それを悪く考えていそうな妹ちゃんは良くも悪くも子供なんだなと。
なにせ姉も言ってたように、貴族女性が貴族らしく振る舞うためにかかるお金なんて文官の給料で賄えるとも思えない。しかも×3人、それ抱えてたら金にシビアには当然なるかと。
姉がサクッと結婚して家を出たのは兄への負担軽減も少しは考えたんだろうなと思うし、奔放だけど外で貢がせてる母を放置したのも、社交デビューやら持参金やら莫大な出費が待ってる妹の出奔でホッとする気持ちも、納得できる。
少なくとも出奔時に邪魔せず行かせてくれたのは優しさだと思う。ロリコンに売り払う事もできたはずだから。
結婚相手も、若い誠実そうな相手ではあるだけに、幸せになれるように考えはしたんだろうなとは感じる。金持ちの爺さんでも、金持ちの後妻でもないんだから。
お洒落で貴族であることを謳歌したいんだろう兄からしたら、貴族に産まれたのに修道院で一生を終える妹は不憫だと感じるだろうし、取り返しがつかなくなる前に厳選した結婚相手を用意して駆けつけてくれるのは、だいぶ愛情だと思うけどな?
かみ合ってないだけで。
少なくとも主人公にとって悪い兄じゃないだろうに、ザマァされた感じになってるこの兄が少し気の毒でした。
同じく兄のこと嫌いになれません〜
(๑˃▿︎˂๑)))
誰の視点で読むかで印象変わるかもしれませんね!
妹は10歳で修道院に入ったので世間にうとくピュアなまま育ちましたし、
兄は遺産があっても文官の給料で家族が住む屋敷を維持ってきついでしょうね。
兄なりに妹のこと思ってますし。
馬車馬のごとく働かされる未来の兄ですが、夫婦仲はいいかもしれませんしその辺りの想像はおまかせで💦
この話を書いた時に、読む方の兄に対する反応がどうなるかなーとわからなかったので、貴重な意見をいただけて嬉しいです!
八さま、コメントありがとうございました🤗
>夫婦の営みの翌日はたくさん甘いものを食べる
なんて最高なんでしょう☺
甘い時間の後にさらに甘いお菓子🍮🥨🍨🍩🍪を食べるなんて
しかも大好きな人と味わえるなんて
とても素敵な瞬間だと思いますイィナァ꒰* ˘ ᵕ ˘*꒱✾
想像するだけで読んでいるこちらとしてもとても幸せな気持ちになりました
ᕱ_ᕱ"
(。•ᴗ•。){完結おつかれさま♡
O🍺O
いろんな意味で甘々夫婦となりました!
(ノ≧︎ڡ≦︎)♡
カロリーを消費?した後なので、思うままに食べるんじゃないかと🍩
料理人たちはしばらく忙しくお菓子を作ると思います♪
バレてるってちょっと恥ずかしいですね
( ´艸`*)♡
青空さま、コメントありがとうございました🤗