すれ違わない二人の結婚生活

能登原あめ

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領地で新婚生活編

12 理想の部屋がここに 1 

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 領地には、すでに!
 完璧なおこもり部屋があった‼︎
 いや、本当は賓客用に建てられた離れなのだけど、これはまさに僕の理想!

 誰にも邪魔されず、部屋には必要なものが全て揃っているみたい!
 裏口から小さな炊事場に食事を運んでもらえれば、誰とも顔を合わさず食べることにも困らない。

 なんなら、僕が温めてアンジーに熱々の料理を出してもいいわけだし。
 そのくらいできるよ?
 やったことないけど。
 
 しかも屋外に屋根と囲いのついた温泉があるんだ!
 いつでも誰の手も借りずに入浴ができる‼︎

 一週間ほどここでのんびり二人きりで生活をしたいと言ったら、執事がわかりましたって言った後に、あなたもですか……ってつぶやきが聞こえたような気もしなくないけど、きっと幻聴かな。
 
 みんながきれいに掃除してくれた後、花まで飾ってくれたからね、ベッドにも。
 どうして今夜から移るってわかったのかな。
 そんなに僕、そわそわしてたんだろうか。

 父様達が戻るまで、ようやく二人で過ごせる!








「アンジー、目を開けていいよ?」

 屋敷で夕食を食べた後、アンジーを離れに連れてきた。
 部屋に入る時に目をつぶってもらって驚いてもらいたかったから。

「きれい……」

 いたる所にろうそくを灯してあって、ぼんやりと部屋を照らしている。
 本当にうちの使用人の完璧な仕事ぶり、すばらしい!

 侯爵家って賓客が多いからなのかな?
 本当に手慣れてる……そんなに新婚夫婦多く来たのかな?
 まぁ、いっか。

「驚いた? 今夜からしばらくここで二人きりで過ごしたい……いい、かな?」

 不安になった僕にアンジーが抱きついた。

「うん、すてき……ありがとう、ヴァル……」

 ろうそくに照らされたアンジーがきれいでかわいくて。
 何度も何度も唇を啄む。

 どうしよう。
 一緒にお風呂に入ってからって思っていたのに、早くアンジーを食べたくてたまらない。
 一週間、こもれるんだ。
 落ち着け、僕と、僕の俺!

「ヴァル……」
「アンジーっ……すき……」

 冷静に、冷静に……冷静ってなんだっけ?
 お互いの体温が上がってるのがわかるし、唇を離すことができない。
 それからアンジーの膝ががくっと落ちそうになって慌てて腰を引き寄せた。

 あ、僕の俺が、アンジーにここにいるって主張してる。
 そんな僕にアンジーがささやく。
 
「……ヴァル、大好き……」
「僕も……大好き」

 アンジーを抱え上げて大またにベッドに近づいた。

「あとで、一緒にお風呂に入ろう」
「うん……いいよ……」

 そっと下ろして、アンジーの足先に口付ける。
 全部愛おしくてたまらない。

「ヴァル!」

 今日の僕、この部屋の雰囲気に飲まれているのかもしれない。
 今夜、夜の本で学んだすべてをアンジーに……。 

 夢見るような甘美な夜が、今始まります?
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