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領地で新婚生活編
13 理想の部屋がここに 2 *
しおりを挟むかわいい。
僕が触れると、アンジーが震える。
口づけすると、甘いため息をつく。
愛おしい。
僕のものだって、隅々に印をつけたくなるんだ。
王都では晩餐会や茶会なんかがあったからずっと遠慮していたけど。
「僕のものだって、印をつけていい?」
「……しるし? どうやって?」
アンジーの目を見ながら、彼女の手首の内側に強く吸いつく。
「っ……!」
ほんの少しだけぴくんと震えたけれど、アンジーは僕にされるがままで、僕を見つめる。
赤く色づいているのを見て、確実に痕を残そうと何度も吸いついてから口を離した。
「……これ?」
戸惑った顔をしたアンジーだけど、小さな声で言う。
「なんだか、嬉しいかも……これを見ると、私はヴァルのものなんだって思えるもの」
どうしよう。
そんなにかわいいこと言われたら、止まれなくなりそう。
「でも……ここだと、見えてしまうかも……」
「みんな、虫刺されだと思うよ」
「そう、かな……?」
「あとはドレスから見えないところにつけてもいい?」
「……うん……いいよ。……私もヴァルにつけてみたい」
アンジーが僕に?
「いいよ……僕はアンジーのものだから」
「……どこにつけたらいいの?」
僕の胸に触れながら、戸惑う彼女に口づける。
「心臓の上、とか? 僕は、アンジーのために生きているから」
「私だってヴァルのために生きてる」
アンジーが胸の上に口づけてから、吸いついた。
「……もっと強く吸ってみて」
ちくんとわずかな痛みが走り、赤く色づいた。
それを満足そうにみて、にっこり笑うから僕はもう我慢できなくなって彼女の全身に唇を這わせる。
「かわいい。僕のアンジー。……ずっと、ずっと、大切にする」
全部かわいい。
全部すき。
アンジーの嫌いなところは、いまだに見つからない。
わざわざ探す気にもならないけれど。
「……っ、……んっ、……ヴァルっ、すきっ……」
うつ伏せになったアンジーの背中にいくつも印をつけながら、そっと彼女の腰を持ち上げる。
「ヴァル……?」
「ん……? アンジー、愛してる……」
甘くとろけた彼女の脚の間に指を差し込み僕を待ちきれないと、腰が揺れるのを待ってから僕の俺を蜜口に押し当てた。
「……っ、あっ……!」
ゆっくりと腰を進めて彼女と身体が重なる。
吐き出したい欲求に耐え、ふくらみに手を添えたり、二人のつながりに手を這わせたりして、なんとか気をそらした。
そうして穏やかに揺するうちに、アンジーの身体が絶頂を迎えた。
ちょっと、浅いからかな?
この体位なら耐えられるはずだ、僕の俺。
それから再び彼女を揺さぶる。
緩急、緩急ね。
深く、浅く、浅く。深く、浅く、浅く。
ズン、チャッチャ、ズン、チャッチャ。
三拍子⁉︎
ワルツ? いや、ワルツのリズムで愛を伝えるのは、ダンスホールだけだ!
もっと、自由に‼︎
いつもとは違う僕の動きに戸惑ったような声が上がる。
「ヴァル? え……? あぁっ……もう、ダメっ……からだ……へん、だからぁ……あぁっっ……!」
僕の天使がいつも以上に乱れる。
どうしよう、もっと知りたい。
なぜだろう、いじめたくなってきた。
かわいすぎて、たまらない。
「もう、ちょっと、だけっ……みたことの、ない、アンジーを、みせてっ……」
思い切り揺さぶって、もう一度彼女を絶頂に押し上げ、吐精した。
それからぎゅっと抱きしめ荒く息を吐く。
こういうことか。
夜の本の真髄とは。
僕の俺、かんばった、がんばったよ!
「……ヴァルの、いじわるっ……」
「ごめん、アンジーがかわいすぎて、我慢できなかった……」
「……うん……」
僕の胸に、顔をぴったり押しつけて小さく息を吐くアンジーがたまらなく愛しい。
やっぱり、経験を積むって大事!
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