すれ違わない二人の結婚生活

能登原あめ

文字の大きさ
16 / 44
領地で新婚生活編

14 二人でピクニック 1

しおりを挟む


 ピクニックに選んだのは屋敷から馬車で半刻ほどの場所にある湖。
 川でジョンにばったり会うのも、三人で過ごすことになるのも嫌だから、領民にも人気のある湖へ。

 ただし、僕が選んだ場所は侯爵家以外は入って来れない場所だから、のんびりゆっくり、過ごせるはず。
 帰りも迎えに来てもらうまで、本当に二人きりで過ごせるんだ!

 荷物を置いて、湖のほとりを少し散歩してから水遊び!
 アンジーと座って足だけ浸かれるような場所を探すつもり。
 
「素敵な場所……湖の底が見えるくらい透明なのね。……私も泳げたらよかったのに」

 どき。
 もしかして、水の中でイチャイチャできるかも……?

「……僕が教えようか?」

 二人きりだから、全部脱いだって大丈夫なんだ。

「うーん……。今日はのんびりしたいからまた今度でもいい? ここで誰の目も気にせずにヴァルにくっついていたいの」
「うん、もちろん! 僕もそうしたい‼︎」

 あー、かわいい。
 みんなの目がなかったら僕に甘えたいってこと?
 いっぱい甘えて欲しい。
 アンジーのこと、たくさん甘やかしたいって思ってた!

「あ、ヴァル! 見て。あの辺り、座れそうよ?」

 まるで恋人たちのために用意されたような大きな石がある。
 二人がくっついて座れるくらいの大きさで、膝下が水に浸かる程度かな。

 計算されているみたい。
 いや、これって、多分……!
 昔々、父様が母様のために準備したのかも!
 あとで確認しよう。
 
「気をつけて、アンジー」

 靴を脱いでズボンの裾をめくり、先に石に乗った。
 アンジーが靴を脱いだ後、スカートの裾に手を入れて靴下を外す。

 靴下が落ちてこないように、がーたーべるとっていうの?
 遠い異国で開発されたらしい。
 その留め金を外すみたいなのだけど、その姿が色っぽい!
 どきどきしちゃう。
 あとでつけるところを見せてくれないかな。

「恥ずかしいから、見ないで?」
「……ごめん! 可愛すぎるから、目が離せない!」

 恥じらう顔も見ないではいられないよ!
 もう一度ごめんってカタチばかり謝ってアンジーに手を差し出した。

「ありがとう、ヴァル」

 アンジーが隣に座り、そっと足を下ろす。
 小さくて白い足が水の中で揺らぐ。

 あれ?
 アンジーって、湖の妖精だったのかな?
 
「冷たくて、気持ちいい……」
「うん、気持ちいいね。それに……アンジーと二人でここにいることが、夢みたいだ」
「ふふっ……。夢じゃない、よ……?」

 甘えて抱きつくアンジーがかわいい。
 僕の妻、こんなに可愛くてどうしよう。
 幸せだ。幸せだなぁ。

 たわいもないことを話しながら時々口づけて、二人きりの時間を満喫した。
しおりを挟む
感想 195

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

醜女の私と政略結婚した旦那様の様子がおかしい

サトウミ
恋愛
この国一番の醜女である私と結婚したイバン様。眉目秀麗で数多の女性と浮き名を流した彼は、不祥事を起こしたせいで私なんかと結婚することになってしまった。それでも真面目な彼は、必死に私を愛そうと努力してくださる。 ──無駄な努力だ。 こんな色白で目と胸の大きい女を、愛せるはずがない。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...