すれ違わない二人の結婚生活

能登原あめ

文字の大きさ
36 / 44
義兄の結婚編

4 結婚式

しおりを挟む


「おめでとう!」
「お幸せに」
「ありがとうございます」

 花嫁も花婿もキラキラしている。
 幸せそうな二人を見ていたら、自分たちの式をうっすら思い出した。

 うっすらというのには、理由があるんだ!

 だって、あの日のアンジーが最高にかわいくて、女神様以上に美しくてきれいで、夢みたいで、僕の背中に羽根が生えていたら空を飛んだと思えるほど!

 もしも魔法使いだったら、二人で手をつないでそのまま空のデートを楽しんだはず。
 いや、式の最中にそれはダメか。
 
 とにかく胸が震えるほど嬉しかったんだ。
 ずっとずっと好きだった女の子が僕のお嫁さんになったんだよ!

 これからは人前だからって遠慮しないでいいんだって、僕の妻だって周りに自慢しまくっていいんだって……とにかく幸せで舞い上がった。
 
 夜の本で勉強したことをすべて実践してもいい許可が、多分おりるんだって、そんなことも考えていて。
 アンジーがいいって言ってくれたら……そして、実際アンジーは僕になんでも許してくれたんだ。

 アンジーは女神様以上に女神らしく、あらゆる天上人の中の一番かも?
 いや、これは……!

 もしかして、アンジーはこの世界の神の愛し子かもしれない⁉︎
 そう考えたら、ぼくはもっともっと彼女を大切にしないといけないなぁ!
 
 そんなことを考えながら、僕は結婚式をみていた。
 あの時、記録石があったら、何度も何度も幸せな瞬間を繰り返し見ただろうけど。
 いや、今が一番幸せなのだから、この瞬間こそ、アンジーを目に焼きつけなくては!

 それからは、妻の素晴らしい采配で滞りなく進むお披露目パーティを彼女に寄り添って楽しんだ。

 素晴らしい。
 僕の妻、完璧すぎる!
 今すぐ褒め称えたいけど、恥ずかしがるから夜まで我慢するんだ。

 僕がみつめすぎたのか、アンジーと目が合うたびに恥ずかしそうに顔を赤らめる。

 なぜだろう?
 
 アンジーに夢中になりすぎて、ワインでもこぼしたかな?
 いや大丈夫だ、パンくずは払った。
 髪でも崩れているのか?
 近くに控えていたアメリアにそっと尋ねる。

「僕、何かおかしいか?」
「……いえ。…………恐れながら申し上げますと、若旦那様が若奥様をとても大事にされている様子が、傍目にもわかり、微笑ましく思われているのでしょう。若奥様はそれが少々おはもじなのか、と」

 僕がアンジーのこと、大好きだって周りに溢れちゃってるのかな?
 おはもじ、って恥ずかしいってこと⁉︎

「……最愛の妻だからね」

 今日の主役は義兄夫婦だから、目立つのもよくない。
 あともう少しおとなしくしていよう。





「今日の結婚式、素敵だったわ」
「ウン、ソウダネ……。アンジーの采配、完っ璧だったよ!」

 心の中で謝るよ、ごめん。
 アンジーばかり見ていたから、あんまり記憶に残ってないなぁ!
しおりを挟む
感想 195

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

醜女の私と政略結婚した旦那様の様子がおかしい

サトウミ
恋愛
この国一番の醜女である私と結婚したイバン様。眉目秀麗で数多の女性と浮き名を流した彼は、不祥事を起こしたせいで私なんかと結婚することになってしまった。それでも真面目な彼は、必死に私を愛そうと努力してくださる。 ──無駄な努力だ。 こんな色白で目と胸の大きい女を、愛せるはずがない。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...