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新しい家族編
0 僕の幸せな誕生日 *
しおりを挟む結婚記念日の前日は僕の誕生日。
少し前から僕は仕事を前倒ししている。
当日不測の事態に陥るのは嫌だからね。
いつだって、アンジーと過ごせる時間は特別だから。
ついこの間のアンジーの誕生日には、リボンを巻いて僕に一番嬉しいプレゼントをくれた。
ということは……僕も、お返しにリボンを巻いてアンジーに好きにして、ってやったほうがいいのかな。
うん。きっとそうだ。
そうに違いない。
よし、そうしよう!
どこにリボンを巻いたらいいか……頭とか? 腰とか?
男だし、きっと控えめにしたほうがいいね!
「アンジー、僕嬉しいよ!」
世界にたった一つだけしかない、僕のためだけに作られた名前が刺繍されたハンカチ、一年分。
一年分っていうのは、名前以外に季節に合わせた草花が刺繍されていて男の僕が持ってもおかしくないデザイン。
さすが、アンジー。
アンジーの愛を感じる。
アンジーの愛しか感じない。
「僕、最高に幸せだよ。大好きだ……次は僕にお礼をさせて。……ちょっと目を瞑っていて? 絶対開けちゃダメだよっ!」
「うん。わかったわ」
くすりと笑ってアンジーが目を閉じる。
僕達がいるのはベッドの上。
アンジーに背を向け準備する。
「アンジー、目を開けて」
「まぁ……! ヴァルったら……ふふっ……」
あれ?
おかしいな。
僕はアンジーにされてものすごく嬉しかったんだけど……。
「ヴァル様にリボン巻いちゃったの? 私がほどいていい?」
僕のアンジーって、夜になると色っぽい!
昼間はふわふわでおっとりして優しくてかわいいのに。
「……いいよ」
元気いっぱいの僕の俺に、ちょっとかわいらしく細い空色のリボンを巻いたんだ。
「ヴァル様、おしゃれしたのね……」
そっと両手で包んで話しかけるから、僕の俺が跳ねて頷いたみたいになった。
笑顔のアンジーがすっとリボンを引いて、そこに口づけする。
「今夜はヴァルの生まれた大切な日だから……全部私に任せて」
僕はベッドに仰向けに倒され、アンジーの思うままに翻弄される。
最愛の妻の口と手で欲を吐き出し、アンジーの女神様が元気なままの僕の俺を温かく、かつ優しく包み込んだ。
「アンジー! アッ、いいっ!」
僕の上でおいしそうなお胸が揺れて、ますます興奮する。
「……ヴァルっ、いっぱい、気持ちよくなって……」
なんて最高な妻なんだろう!
だけど僕だけ寝てるの、無理!
身体を起こしてアンジーを抱きしめる。
好き。
「んっ、ヴァル!」
「アンジー。ありがとうっ。……最高の誕生日だったよ! さぁ、日付けが変わったから今度は僕がアンジーにお礼するね」
柔らかい身体をぎゅっと抱きしめて、僕の俺はまだまだ元気いっぱいだ。
「僕がどんなにアンジーが好きか、教えてあげる」
「……もう知ってるわ」
「どうかな? だって毎日どんどん好きになるからね」
「私だって同じ」
ぽすんと、アンジーを仰向けに倒し、両脚を同じ方向に倒して腰を持った。
「ヴァル……?」
「明日はゆっくり寝ていていいからね」
アンジーの誕生日同様、記念日なんだし記録石も準備してある。
記念日だもん。
初めてのこと、たくさんしてもいいと思うんだ。
アンジーが嫌がらなければ。
「あっ……な、に? あ、あっ、ヴァルっ!」
「んっ、気持ち、いいね、アンジー!」
アンジーの女神様がいつもよりキツく締めつけてきて、僕の俺が興奮している!
まずい。
色々やってみたほうがいいかもしれない。
一つ大人になった新しい僕をアンジーに見てもらわなくては!
アンジー、かわいい。
大好き。
いつもと違うことを試しているうちに、夜が明けた。
夜が明けてしまったんだ!
そして。
真夜中の本、コンプリーートォ‼︎
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