39 / 44
新しい家族編
1 もしかして?
しおりを挟む最近のアンジーはこれまで以上に朝が弱い。
もともと朝はぼんやりしてるけど、今朝なんて抱きしめているといつもよりほんの少し熱くてじんわり汗をかく。
暑い季節を少し過ぎたところだから、そんなアンジーを抱きしめていると、
「ヴァル? 熱いでしょ? 離れていいのよ」
そう言うんだけど、僕はそれでも離れたくないんだ。
あっつあつのアンジーもかわいいから。
なんかイイ。
ベタベタしていたい。
でも。
「……アンジーが熱くて嫌なら離れるよ?」
できれば、嫌なんて言われたくないけど。
アンジーが不快だと思うなら、離れるし。
ほんのちょびっとなら。
「ん……ヴァルが嫌じゃなければ、いいの。でも、朝から汗かいちゃったね」
しばらく抱きしめてアンジーを満喫していたけれど、先に起きた僕はアメリアにアンジーのために風呂を頼み、僕はさっと水浴びした。
「アンジー。すっごくお腹が空いているの?」
ティータイムに、僕がプディングをすくって食べさせると、次のスプーンを運ぶ前に小さなビスケットをアンジーが自分で口に運ぶ。
「そうなの……なんだか、すごく。すごくお腹が空くの……ヴァルの用意してくれるものはみんなおいしいから……」
恥ずかしそうに笑うけど、いっぱい食べるアンジーはかわいい。
そういえば、最近アンジーのお胸が大きくなったような?
「はぁ……かわいい」
じっと見つめたら、アンジーが首を傾げる。
「もう……ヴァルったら。……ちょっと最近胸の辺りが苦しいの。ドレスが合わなくなったら困るから、食べ過ぎに気をつけないといけないわね」
「ぜんっぜん! 気にしなくていいから! ドレスは作り直せばイイだけだしっ。まだアンジーは成長期だと思うんだ……」
僕達まだ二十歳だしね?
アンジーは今が一番かわいくて、これからもっときれいで大人っぽく、女らしくなっていくってことだよね?
僕もがんばらなくちゃ。
「そう、かな……? 私、ヴァルの隣に立って自慢できるような奥さんになりたいから、もっと」
「だめっ!」
「……え?」
アンジーが眉を下げてちょっと困った顔をするから、僕は慌てて言った。
「アンジーはすでに僕の自慢の妻だよ! これ以上磨いたら他国の王族から結婚の申し込みが来てしまうよ!」
アンジーはすばらしい女性だからね。
想像したら悲しくなって涙目になった僕をアンジーが大きなお胸でぎゅっと抱きしめてくれた。
「そんなこと、絶対ないのに……ヴァル、大好き」
「アンジー、僕の方がずっとずっと大好きだからっ! だから、安心して好きなようにしていてほしい!」
「ヴァルも……ヴァルもそうしてくれる? そのままのヴァルが好きだから」
きゅうん。
アンジーは女神様で母性に溢れていて、僕は包み込まれるような優しさに浸った。
実際におっきなお胸はふかふかで幸せで。
それから間もなく、アンジーが眠くてだるいのも、体温が高いのも、いっぱい食べちゃうのもお腹の中に僕達の子どもがいるからだと、知った。
恥ずかしそうに、でも嬉しそうに頬を染める愛しい妻がかわいくて幸せで胸がいっぱいになる。
「アンジー、僕、全力で守るから!」
そっと優しく包み込むように抱きしめた。
「うん……もっと抱きしめても大丈夫よ」
ぎゅって抱きついてくるアンジーも、僕もいつもより心音が早い。
僕もとうとう父親になるんだ。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
醜女の私と政略結婚した旦那様の様子がおかしい
サトウミ
恋愛
この国一番の醜女である私と結婚したイバン様。眉目秀麗で数多の女性と浮き名を流した彼は、不祥事を起こしたせいで私なんかと結婚することになってしまった。それでも真面目な彼は、必死に私を愛そうと努力してくださる。
──無駄な努力だ。
こんな色白で目と胸の大きい女を、愛せるはずがない。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる