すれ違わない二人の結婚生活

能登原あめ

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新しい家族編

5 僕達のその後 (終)

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「とうさま、わたし、大きくなったらとうさまとけっこんしたい!」

 今年六歳になる僕達の大切な娘は、とても明るくてニコニコしている。
 出産時に不運が重なって、ほんの少し足を引きずって歩くエヴァ。
 僕はその笑顔を守るためになんでも、しちゃうんだ。

 いや。僕だけじゃない。
 みんなそうだ。
 だけど、叱らなくてはならない時は心の中で涙が出る。
 とにかくかわいい。
 小さくて軽い体を抱き上げて目線を合わせた。

「エヴァ、大好きだよ。エヴァの気持ち、すごく嬉しい! だけどね、父様は母様のことをとてもとても愛しているから、結婚はできないんだ。ごめんね。……エヴァにはすてきな相手が見つかるように父様も協力するからね」

 僕にとってアンジーみたいな相手が娘にもできればいいけど、お嫁に行かないでずっと家にいたらいいとも思う。
 アンジーに言ったら、娘の望むようにしてあげたいって微笑んでいた。
 エヴァさえ望めば、ずっと近くで守ってあげるんだけどな!

 幼いながらも神妙な顔で頷くエヴァの頬にキスをすると、後ろで息子達がささやき合う。

「父様、相変わらずだね」
「ブレないなぁ」

 十二歳のイーサンと十一歳のローガン。
 続けて授かったやんちゃな息子達は僕達にたくさんの幸せを運んできた。
 当時はちょっと、いやだいぶ夫婦の時間が減ったし、一緒にアンジー争奪戦を繰り広げたわけだけど。

 アンジーはやっぱり女神様だから僕にも子供達にも愛情をいっぱい与えてくれるんだ。
 だから僕も息子達も安心していっぱい愛を返した。
 最近になって、子ども達も自分の世界を持つようになったから、アンジーを独り占めする時間が増えている。

「エヴァ、兄様達と遊んでおいで? 母様はどこだい?」

 息子達が娘の両側に立って、当たり前のように手を繋ぐ。
 その平和の象徴のような光景に、僕はいつだって和む。

 油断すると、涙が出そうになるんだ。
 アンジーにそっくりの息子達も、僕に似た娘もかわいくて愛しくてしかたない。
 とにかく丸ごと愛しい。
 みんな宝だ。

「……母様は部屋にいらっしゃるけど……」
「そうか。いい天気だから、今日は散歩に適しているな、うん。……そろそろりんごが食べれるかもしれないね」
「わぁ~! りんごがたべれるの?」

 嬉しそうに笑う娘と、何か言いたげな表情の息子達に笑顔を返す。

「食べれるかどうか、確かめておいで。……ほら、いってらっしゃい。楽しんでおいで。だけど、エヴァに無理させてはいけないよ」
「……はい、いってきます」

 子ども達といえども、アンジーとの時間は譲れないのだ。
 







「アンジー、ちょっといい?」

 椅子に座って何やら手仕事をする僕の愛しい大切な妻にいそいそと近づく。
 三人子供を産んで、まるで絵画に描かれる女神のような豊満な体つきも僕好みで美しい。
 アンジーは恥ずかしがるけど、今だってものすごく綺麗なんだ。
 だからついつい長い時間寝室にこもりたくなる。
 
「どうしたの? 子供達がみんな外に出て行ったけど」
「気持ちのいい天気だから、散歩のついでにりんご畑に向かったよ」

 お目付役もいるし、幼い頃みたいに川によろけて落ちたり、蜂の巣を突いたりしないだろう。
 今は二人ともエヴァを守るし、アンジーに似て、思慮深いところが育ちつつある素晴らしい息子達だ。

 毎日驚くことばかりだしアンジーとの時間は新婚当時より減ったけど、息子達を寄宿学校に入れなくてよかったと思う。
 それを上回る幸せがあるし、これからはもっと二人の時間が増えていくはずだ。

「今ね、ヴァルのハンカチに刺繍していたの。どうかな?」

 僕の名前と、これは伝説の生き物かな?

「ありがとう! すごくうれしいよ! これはドラゴン?」
「ええ……、ヴァルらしいかな、と思って」

 どのあたりが?
 ちらりと下半身を見てしまう僕に、アンジーがくすりと笑った。

「だって、いつも私達を守ってくれるから……ヴァルのおかげで私、とっても幸せだもの」
「僕も! アンジーのおかげで、いつだって幸せだよ! これからだって、未来永劫幸せにすると誓う」

 僕の妻、いつまでたっても愛しい!
 全部、全部大好きだ!









             終









******


 最後までお読みいただきありがとうごさいました。
 性格もヴァル似のエヴァが主役の『私が好きと言ったら抱きしめるあなたは、好きと言ってくれない。』がこちらのその後となっております。
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