44 / 44
新しい家族編
6 アンジー争奪戦 (おまけ)
しおりを挟む*エヴァが産まれる少し前の話です。
* 今年最後の更新となります。お立ち寄りくださった皆さま、貴重な時間をさいていただき、本当にありがとうございました! 2021年が皆さまにとってよりよい一年となりますように!
******
「かあさま! だいすきなかあさまにぷれぜんとです!」
四歳になったばかりのローガンが、自分で摘んだ小さな花束を長椅子にすわるアンジーに渡した。
妻は満面の笑みを浮かべて両手で受け取り、腕を上げたローガンをそっと膝に乗せる。
あと二ヶ月もすれば新しい命が生まれるから、お腹の負担にならないように座っている時しか抱っこしてもらえないと、幼いながらわかっている。
抱っこしてもらえてずるい。
それにしても、今日も妻は美しい。
「ありがとう、ローガン。とっても素敵。とっても嬉しいわ」
あー、羨ましい!
僕だって、抱きしめたい‼︎
「……とうさま、とうさま、これどうぞ」
五歳のイーサンがじーっと僕を見つめていて、花を差し出した。
見た目も中身もアンジーにそっくりな小さな息子に気遣われてしまった。
「ありがとう、イーサン。嬉しいよ。……だけどこれは、母様のために摘んだのだろう。さぁ、一緒に行こう」
遠慮がちな長男の背中を押してアンジーに近寄る。
ちらりと僕を見上げるイーサンの顔が、幼い頃のアンジーと重なって心が温かくなった。
「さあ」
そう言うと、イーサンは恥ずかしそうにアンジーに花を差し出した。
「かあさま、どうぞ」
「ありがとう、イーサン。とってもいい匂いがするわ」
ローガンを抱いていないほうの手でイーサンを抱き寄せる。
あー!
僕の入る場所がない!
「ヴァル? ここに座って」
目線を長椅子に向ける。
いそいそと近づくと、ローガンがアンジーの膝から降りて椅子に腰を下ろした。
僕を見る表情は母親を譲らないぞと言っている。
ぐぬぬ……。
ローガンは見た目はアンジーだが、中身は僕に近いものを感じるんだ。
小さくても男には変わらない!
静かに見つめ合う僕達。
「……みんなで仲良く座りましょう」
アンジーにそう言われて、僕はローガンを膝に抱えてぴたりと妻に張りつく。
本当は甘えたいのに我慢を覚えたイーサンにはアンジーの反対側を譲った。
本当は全部僕で埋め尽くしたいんだけどね!
ローガンをガッチリ腕の中に閉じ込めたから、騒ぐかと思ったけどアンジーのお胸が触りやすくなったようでもみもみしている。
うぬぬぬ……僕のなのに。
「かあさま……さっきからおなかがうごいています。……いたくないのですか?」
イーサンがアンジーのお腹を撫でながら言った。
「痛くないわよ。……きっと、みんなの声が聞こえて、嬉しくなったのだと思うわ。早く一緒に遊びたいって思っているのかもしれないわね」
「あ……! あしのかたち! かあさま? いま、みましたか?」
「ええ、みたわ。早く出たいって思ったのかもしれないわね」
微笑ましい会話にじーんとするけど。
足の形? イーサン、布ごしによくわかったな!
さすが僕達の息子だ。
「はやくでてきてねー」
ローガンがお腹に向かって大きな声で言った。
「あとすこしよ」
みんなでお腹をそーっと撫でる。
「あかちゃん、うまれたらいっぱいぎゅーしてね、かあさま」
ローガン⁉︎
それは父様のしたいことだよ!
31
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(195件)
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
醜女の私と政略結婚した旦那様の様子がおかしい
サトウミ
恋愛
この国一番の醜女である私と結婚したイバン様。眉目秀麗で数多の女性と浮き名を流した彼は、不祥事を起こしたせいで私なんかと結婚することになってしまった。それでも真面目な彼は、必死に私を愛そうと努力してくださる。
──無駄な努力だ。
こんな色白で目と胸の大きい女を、愛せるはずがない。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
実は今週は出先のPCで(お昼休みに)、こちらの世界を1からのぞかせていただいておりまして。月曜~金曜日で、改めてすべてを拝読しました。
皆さんにお会いするのは久しぶりですが、すべてをしっかりと覚えていて。でも、それでも飽きることはなくて。
毎日よい時間をすごせました……っ。
来週は、別の世界に一週間お邪魔させていただきますね……!
お忙しい中、お立ち寄りくださって嬉しいです。・:*:・(*´ー`*人)
お砂糖たっぷりの甘々な夫婦となってまーす♪
少しでも息抜きになれば幸いです♡
ドウゾ( ・∀︎・)っ☕️
柚木ゆずさま、コメントありがとうございました🤗
はぁ~一気に読みました。
お砂糖たっぷりの可愛い夫婦
私達の世界で言うと高校一年生!
まだまだ若いカップルの初々しくも夜の本をコンプリートするほどの勉強(?)熱心な性活、何度も吹き出してしいました。
菓子職人にヤキモチ焼いてた話で、オチが……職人さんは女性なんか~い(^o^;)
ヴァル君のヤキモチは男女問わずなのですね。
一番面白かったのは、誕生日にヴァル様にリボン結んだところ。
「どこにリボンを着けようか?」
と考えてたヴァル君
「あそこしかないでしょ」と私が思う。
で、正解\(^_^)/
素敵なお話でした。ありがとうございました。
さあ、次は娘ちゃんの話を読みますね(^∇^)
一気読み(৹ᵒ̴̶̷᷄﹏ᵒ̴̶̷᷅৹)アリガトウゴザイマス♡︎♡︎
こちらもかなりお砂糖たっぷりです🍯
そうなんですよね〜、こちらの世界だと高校生😅
あちらは16歳で成人なので( ・ㅂ・)و ̑̑
夜の本はコンプリートしちゃうし、なんだかんだと2人とも熱心ですね!
リボン🎀の位置正解でしたか😂
じゃあせっかくなのでこちらを☕️☕️☕️
娘編まで✨ପ(⑅︎ˊᵕˋ⑅︎)ଓ✨
みりあむさま、お読みくださりありがとうございました〜🤗
前作から直行し、一気に読んでしまいました。
ああ、もったいない…でも楽しかったです!
前の僕の俺も良かったけど、今作は女神様…ププッ!
ヴァルくんが可愛すぎてメロメロです。
天然同士と思っていたけど、アンジーは芯がしっかりしてそう。
2人のイチャイチャは可愛らしくて微笑ましいです。
楽しいお話をありがとうございます。
さあ、明日は朝一番から続編へGo です。
なんとなんと、続けてお読みくださるとは💓
嬉しいです〜(*´艸`*) ♡
こちらのほうが、ヴァルがだいぶあほになってしまってますが大丈夫だったでしょうか😆
娘のエヴァまで✨
書いてよかったです♪
ゆっくり目を休ませてくださいませ🍀
ゆらぽってさま、こちらにもコメントありがとうございました〜🤗