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しおりを挟む寝支度をして鏡の前で整えられた髪にもう一度櫛を通す。
侍女は下がり、リビオ様が湯浴みをしている間、そわそわしてしまって何かしていないと落ち着かない。
結婚式の後、お姉様は灼熱の国へ結婚相手を探しに笑顔で旅立った。
浅黒くて筋肉質で半裸の男性がたくさんいるという手紙が届いたばかり。
あれからもう3ヶ月。
夜の、2人だけの時間も少し慣れてきたと思う。
「お待たせ、ルチア」
「……っ、リビオ様」
湯上がりのリビオ様が後ろからゆっくり近づいてきて、耳元でささやいた。
鏡越しに見えていたのに、毎回緊張してしまう。
「ベッドで待っていていいのに」
そう言いながらも、リビオ様は私をすくい上げるように腕の中に抱きしめて嬉しそうにベッドまで運ぶ。
細くても私より大きいし力があって安定感があるから、安心して身をまかせられた。
「リビオ様、歩けるわ」
「わかってる、でも多分この後無理をさせてしまうから」
これからのことを想像して一気に熱くなった私の顔をのぞき込み、そっとキスを落とす。
「可愛い。そんな反応されると我慢できなくなるよ」
そう言うけれど、ベッドに優しく下ろして顔中にキスしてゆったりと私の髪を撫でた。
リビオ様はすごく余裕があると思う。
優しいし穏やかで、我慢強い。
強引に求められることもなくて、逆に焦らされるようなことが多い。
私が嫌だと思ったらやめてくれる。
最初だって想像より痛くなかったし、すごく私の反応を見ているのだと思う。
だけど――。
「恥ずかしいのだけは我慢してね、ルチア」
「暗くしてくれる?」
「今夜はこのままがいいな。すぐ気にならなくなるから」
確かに触れられているうちに灯りのことなんて忘れてしまうけど、今はドキドキしてどうにかなってしまいそう。
リビオ様がゆっくりとした動作で私の寝間着のボタンを外していく。
ボタンが見えないから灯りが必要だって言われたことがあるけど、リビオ様はとても器用。
初夜にリボンをほどくだけでするりと脱げる寝衣を身につけたけれど、全身をすっぽりおおう今日の寝間着のほうが脱がす手間がかかるのにとても嬉しそうに見えた。
そんなことがわかるくらい明るい。
静かな部屋の中でお互いの呼吸も聞き取れるし、もしかしたら心音まで聞こえてしまうかも。
「リビオ様は恥ずかしくないの?」
ガウンの下は何も身に着けていないらしく、うっすらと筋肉のついた胸元が見える。
婚約した頃の柔らかさは一切ないけれど、やせすぎでもないし、ちょうどいいと思う。
「……んッ」
リビオ様が私の寝間着を開いてゆっくり肌に指をすべらせた。
ぷにぷにとやわらかかった手は細くて長くて硬くなり、繊細な動きで私を煽る。
声を抑えようとつい手を口元に持っていくと、私の手の上から指の間へ舌を差し込むようになぞった。
その先を予感させる動作に腰の辺りがむずむずしてくる。
「太っていた頃なら恥ずかしかったかも。今はルチアになら何を見られても恥ずかしくないよ。好きなだけ見ていいし、自由にさわって」
リビオ様の表情が色っぽくて、息を呑む。
私ばっかり全然慣れない。
「可愛いルチア。……キス、したいな」
そっと手を外すと、唇が重なる。
触れるだけのお互いを確かめるようなキスを何度も重ねた後で、口内へ舌がすべり込み絡み合った。
息継ぎができるようになったのは少し慣れてきたのかも。
そんなことを思っている間にリビオ様と私は素肌でお互いを抱きしめ合っていた。
「リビオ、さま」
大好き。
心の中でならたくさん言える。
「ルチア、好きだ」
身体を触れ合わせていると通じるのかな。
リビオ様の手が私の胸を包みこむ。
立ち上がった先端がリビオ様の手のひらに当たる。もっと触れてほしいと思っていると、リビオ様は頭を下げて口に含んだ。
「……っ、あ」
熱くて濡れた感触に勝手に腰が浮く。
舌が先端の周りをぐるりとなぞり、甘噛みされてお腹の奥がきゅうとなった。
リビオ様がいたわるように優しく舐めて吸う。
反対側も同じように軽い痛みと優しい愛撫をくり返されると、脚の間も濡れてきたのがわかった。
リビオ様がそこに触れる前から潤んでいるのが恥ずかしい。
「ルチア、可愛い」
すっかり私の状態に気づいていたらしいリビオ様が脚のつけ根をなぞる。
私の顔を見下ろしながら、ゆっくりと指を根元まで挿れてすぐに抜いた。
ぺろっと指を舐めた後、今度は2本の指を挿し入れる。
「んっ」
恥ずかしく思う間もなく快楽に襲われる。
2本の指で急に拡げられたというのに、私の身体はそれを逃さないようきゅうっと締めつけた。
「可愛い」
「リビオさまっ、私……っ」
腕を伸ばして背中に回す。
もっと近づきたいのに遠い。
「まだだよ」
内側を探る指と、外側から親指がひだの先端にある芯を押しつぶすように触れるから。
「あァッ、んん」
甘くしびれて唇をかみしめても、声が漏れてしまう。
「ルチア、力を抜いて」
「そうっ、言われても……んっ」
リビオ様が唇を重ねて、舌を差し込もうとした。
そうされたら自然と唇が開いてしまうのは彼が大好きだから。
口内も脚のつけ根も熱くて、頭の中に水音が響く。
「可愛い、愛しているよ」
くすぶっていた熱がリビオ様の声ではじけた。
身体がびくびくと震えた後、ぴんと力の入っていた脚も身体も力が抜けて、荒い息をつく。
身体を起こしたリビオ様に脚を抱えられて彼の牡がこすりつけられた。
「リビオさま、……あ、また……ッ」
早くひとつになりたいのに、芯に向かって大きく前後に動かすから、再び熱がたまっていく。
焦らさなくていいのに、リビオ様はいつもと違う私を見るのがとても好きみたい。
「気持ちいいね」
私に言っているのか、リビオ様の感覚なのか、両方かもしれない。
「あっ、もう……あぁ――‼︎」
達した次の瞬間、リビオ様の牡が押し入ってきた。
収縮していたところに強い刺激を受けて、身体が反り返る。
ゆったりとした律動で揺さぶるから絶頂から降りてくることができないまま、私は翻弄された。
「リビオ、さまっ、あっ、あぁ」
「ルチア、嫌いって言って」
何も考えられない。
乞われるまま私は答える。
「キライ、嫌いっ」
「もっと言って」
気持ちいい。
リビオ様は緩急をつけながら揺さぶり続ける。
「……っ、あ、あぁ、リビ、オ、さま……ッ」
「……ルチア!」
私の脚をリビオ様の肩にかけて、深くつながった。
押しつけるように動いた後、低くうめき腹の奥に送り込むように子種を注がれる。
それから唇が重なった。
「んんっ、……リビオ様、だい、きらい!」
「大好きだよ、ルチア」
脚が下され、私はリビオ様を全身で抱きしめると、彼も私を包み込んだ。
お互いの心音が速い。
身体を重ねるほど2人の距離が縮まってますます大好きになっていく。
「この中を子種でいっぱいにしたい」
ぐっと下腹を押されて、リビオ様の牡の形を意識してしまった。
今も彼の牡は元気なまま。
だってまだリビオ様は1度しか達していない。
1度だけで終わったこともない。
「ルチアに愛されているってもっと感じたいんだ。いや?」
そう言われてしまったら、私は首を横に振るしかない。
好きとは言えない分、リビオ様が満足するまで応えたいと思うし私も伝えたい。
「いやじゃないよ。……んッ」
ほんの少し腰を押しつけられた時に中の牡に刺激されて声をもらす。
満面に笑顔を浮かべたリビオ様は再び言った。
「嫌いって言って」
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