ヒロインの要請で悪役令嬢を演じます?

能登原あめ

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番外編

ヒロインだって楽しみたい! ※

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          *リリアン視点


 これって、ご褒美だよね?
 だって前世で仕事しかしてこなかったから。
 私が癒しを求めた世界のヒロインになっているんだもん!




 だもん、とか言っちゃったけど。
 今、私は妄愛編のフラグの岐路に立っている。

 ヒロイン特典なのか、感じやすくて体力が人並み以上にあるのか、ワイアット様ルートの後日談までのラブラブエロエロライフを最大限満喫している日々だけど、ファンディスクの妄愛編は一味違う。

 本編は王道な恋愛だったから、ギャップ萌えでも狙ったのか、ifってことなのか、ワイアットさまがちょっと病んでくる。
 というか、攻略対象みんな、一歩間違えると変な方向に走るんだけどね。

 今一番ギリギリのところに立っているのがグレイソン様なわけだけど、なんだかんだとフレイア様がうまくやってるから、私は近くでフォローしつつ観察させてもらってる。

 目の前で繰り広げられる愛と執着の物語……めっちゃ楽しい!
 他人事だから、ヤンデレだってそんだけ惚れられるなんて幸せだよねーって、思える……、本当。ごめん。

 私のせいでフレイア様が監禁されると困るので、嫉妬されない距離感で友情を育みつつ、これからも目が離せない……いや違った。
 目を離さないつもり。

 最近は第三王子と年上の婚約者のカップルが気になっていて、ワンコ男子覚醒なるか、注目している。
 カロリーナ様とは時折王宮内の恋愛事情を手紙でやりとりしていて、ものすごく的確なアドバイスが届くから、彼女は重課金ヘビーユーザーだったんだろうと思う。
 どこ情報、ってことまで知ってるからね。

 それで……話は戻るのだけど。
 妄愛編ね。
 ファンディスクだから、選択肢もあってないようなものなんだけど、夜会で私がバルコニーで涼んでいると、モブ男が一夜の火遊びしないかって人妻の私を誘惑してくるんだわ。
 で、誘いに乗っても乗らなくてもこの状況が起こるとベッドの上であれやこれやされていろんな液体にまみれてベッタベタになるの。
 
 でね、ストーリーはここで終わるわけ。
 だからその後マジで監禁されちゃうのかいつもの日常に戻れるのかわからない。
 だから体験してみたいけど、あとが怖い。
 だって私は生きてるし!
 正直、これからの人生のほうが長いからね!







 



 王宮での夜会で。
 フレイア様と二人、こっそりバルコニーで酒を呑んでいた。
 みんな見てないから、酔わない程度にがぶがぶと。

「……ちょっと、お花摘みにいってくるわ」

 フレイア様がトイレに立った。

「いってらっしゃ~い」

 あれ?
 これってまずい?
 今、一人じゃん。
 いや、でも。
 入り口に侍従が立ってるからむやみやたらに入ってこないだろう。

 私はワインをあおった。
 戻ってくる前にこのボトル空けちゃおうかな~なんて思いながら。

「……こんばんは、リリアン嬢。……妻がどこにいるかわかるかい?」

 おや。
 
「グレイソン様、こんばんは。……フレイア様は今さっきお花摘みに行きましたから、もうそろそろ戻る頃合いかと思います」
「……では待たせてもらっても?」

 珍しい。
 モブ男じゃないし、ワイアット様とも友達同士だし、これはフラグ立たないよね?
 立たないはずだよね?
 誰にも確認できないのが辛い!

「どうぞ。……グレイソン様もいかがですか?」
「いや、俺はいい」
「そうですか……」
「…………」

 沈黙、重っ。
 沈黙、長っ。辛っ……。

「グ、グレイソン様? そう言えば、フレイア様と新しく港にできたレストランについて話してましたの。……ゲスト同士が顔を合わせない作りで、そのまま泊まれるんだそうです。海辺だからロマンチックだし、すごく行きたそうな顔をしてました、ヨ」

 うわぁ、笑ってる!
 腹に一物ある感じの笑みだけど!

「……それは、良いことを聞いた。ありがとう、さっそく予約しよう」
 
 私もそれを聞いて微笑んだ。
 多分、引きつってないはず。
 フレイア様が幸せじゃないと、彼も幸せになれないもんね。

「リリアン、ここにいたんだ」
「ワイアット様」

 ん?
 やっちまった?
 でも、相手は既婚者だし、友達の旦那だよ?

「い、今、リリアン様を待っているんです……さっきまでもずっと一緒にいたんですけどね」
「グレイソンがいるから大丈夫だよね? じゃあ、先に失礼するよ。行こう」

 ものすごく爽やかな笑顔だけど、手を引かれて私は立ち上がった。
 そのまま腰に腕が回る。ぎゅっと。

「グレイソン様、失礼いたします。フレイア様によろしくお伝え下さいませ」

 私、どうなっちゃうの?










「妬けるな。……あいつがフレイア様一筋と分かっていても、あんな笑顔を向けることないだろう?」

 ワイアット様に貫かれたまま、口移しでワインを飲まさせる。
 
「んーっ」

 やばい、これ、ストーリーどおりなら媚薬入り!
 私がほんの少し避けたからか、首筋にワインがたれる。
 やばい。甘い。

「お酒、好きだろ? ほら……」

 ワインボトルを傾けてちょろちょろとたらし、私の胸に塗り込むようにして揉みしだく。
 ワインにしては粘度が高いような気がするから、間違いない。 

 もう一度口移しされて、私は観念した。
 ここまできたら、受けて立つ!
 妄愛エンドへの道を。

 甘くてとろりとしたそれをゴクリと飲むと、ワイアット様がにっこり微笑んだ。

「もっと飲めよ」

 私に何度も口移しで飲ませながら、ボトルの残りを今度は身体中にドバドバかける。
 実際にやられると、あと片付けとか気になるけど身体がほてってきてそれどころじゃない!
 なんかイイ!
 うわ~、動いてほしくてたまらない。

『ワイアット様……熱くて、冷たい』
「……これは、媚薬入りのワインらしい。……使うつもりはなかったが……」

 あれ?
 イベントだと最後のセリフはなかったような。
 アレンジ?
 もしかしたら、大変な目には合わないかも!

『そんなもの、使わなくても……ワイアット様に……されることは、いつも……すべて、気持ちいい、です……』

 もう、私もイベントのセリフなんて言わなくていっかな。
 まどろっこしい。

「ワイアット様……愛してます」
「俺だって、愛してる」

 素直な気持ちを伝える。
 噛みつくような荒々しいキスに私は震えた。
 それだけで、内壁がきゅんきゅんする。

 だからぎゅっと抱きついた後、ぐりぐりと奥を押しつけるように動かされて簡単にイってしまう。
 塗った効果はわからないけど、飲むのはやばい。

「……もう効果が出てるんだな。ほら、もっと乱れろよ」
「あっ……、ワイアットさまっ、また、イっちゃうっっ」
「ああ締まる。何度でもイけばいい」

 足を折り込むようにして上からガツガツと突き込まれた。

「ああっ、すご、いいっ、ワイアットさまぁ!」
「お前は俺のものだ」









 
 結果、私は監禁等々されなかった。
 ちょっとしたお互いを盛り上げるスパイス?
 ちょっとやきもちは焼いたみたいだけど、媚薬を試したかっただけなのかな。

 あのワインの効果は朝まで切れることはなくて……ものすごく満喫したけど、あと片づけを頼むのがものすごく恥ずかしかった!
 
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