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4.伊勢長島
4-3. 怒りの矛先
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四月に入り、岐阜で大きな軍議が開かれた。
長い間、北勢は群雄割拠が続き、そこに信長の命を受けた滝川一益と織田彦七郎が寡兵で攻め入り、北勢四十八家と呼ばれる国人衆を瞬く間に従えたという。
六角氏と通じて抵抗を見せていた神戸、関、楠といった北勢の名家も、信長が援軍に来たことで織田家に従属。信長は一益に伊勢を任せて兵を引いた。
これにより一益は桑名・四日市といった大きな町を抑えて北伊勢を支配するに至った。それが今から四年前。
織田家ではこれを伊勢平定と呼び、伊勢の国人たちは伊勢侵攻と呼んでいる。
しかしその中にあっても長島願証寺とは互いに牽制しつつも、戦闘に及んだことはなかった。一益にとっては、願証寺は戦いたくない相手のひとつのようだ。
「数は多くとも所詮は坊主と百姓、それに北勢の小豪族の集まり。恐るるには足らん。我らの刃を抜く時は、すでに決まっておる。上様がご出馬されるのであれば、この戦は、我等の勝利で終わる。大軍をもって足元の一揆勢を早々に蹴散らし、浅井・朝倉を攻め滅ぼすがよろしいかと」
柴田勝家がそう進言する。弟を討たれた信長の心中を察しての発言と思われた。
一向衆への怒り冷めやらぬ信長は、
「そのことよ」
と短く言うと、一益を見る。
「左近、如何じゃ」
「ハッ」
信長に促されてもなお、一益は何かを考えたまま、良いとも悪いとも言わない。
(義兄上は桑名を奪い返したいとは思われぬのか)
少し遠くにいる一益の表情がよく見えないが、扇子を持つ手に力が入っていない。乗り気でないときは、大抵、ああやって扇子を閉じたまま、動かすことはない。
「権六殿の仰せは尤もなことかと。尾張・美濃・江南から大軍をもって攻めかかれば、長島など一夜のうちに一掃することができましょう」
美濃三人衆の一人、氏家卜全が勝家の意見を後押しすると、信長は再度、一益を見る。
「左近」
これ以上黙っていれば信長の勘気をこうむる。場は静まり返り、張りつめた空気の中、皆、一益が発言するのを待っている。忠三郎は見ていてハラハラしてきた。
「伊勢の海賊衆が味方についておりませぬ。今はいささか時期尚早かと」
一益がようやく口を開いた。北勢を知り尽くしている一益の、思わぬ慎重論に、その場は一斉にざわつく。
「何を恐れておいでじゃ。攻めも滝川、退きも滝川と恐れられた左近殿が、坊主・百姓風情を恐れるとは」
「それがしが上様ご出馬を願い出てから情勢が変わりつつありまする。この二か月余りで長島には海賊衆が長島に集まっておるとか。また、紀州に動きがあり、大坂の本願寺門徒も集まり、そう易々と攻略するは難しゅうなり申した。さらに、甲賀者の一部が山中に潜んで居るやもしれず、かくなるうえは、我が方も水軍を用意し、船を調達して水上を封鎖。兵糧攻めに持ち込むほかはありますまい」
あの広い大川を封鎖するとは、どれほどの船が必要になるだろうか。百や二百では足りない。織田家に属する海賊衆では大川のほんの一部しか抑えることができない。伊勢の海賊衆を味方につけるにしても、川を封鎖するほどの船を用意するのは至難の業。では大川を埋め尽くすような水軍は一体どこから連れてくるのか。
一益の話はあまりにも途方もない、荒唐無稽な話と思われた。
それを聞くと、瞬間的に信長の眉間に深い皺が刻まれる。
「何、甲賀とな?」
鋭い声でそう呟いた。目は怒りの光を帯び、一益を貫くように睨みつける。その場の空気が一瞬にして凍りついた。
「貴様は未だ甲賀を抑えておらぬのか。もたもたと水軍なんぞを待っていては、憎き一揆勢を討ち滅ぼすことなど何年先になるかもわからぬわ!」
信長が一喝すると、諸将は色を失い一斉に身を縮めた。誰一人として声を発することができなくなり、皆、恐々と一益を見る。
北勢を奪われている。尾張の蟹江にいては、甲賀を抑えるのは難しいだろう。
「面目次第もござりませぬ」
一益は一人、顔色ひとつ変えずに平伏する。信長は舌打ちして
「かまわぬ!兵を揃えよ。大軍をもって蛆虫どもを蹴散らしてくれよう。出陣は五月十二日」
その場にいる全員が震え上がって、ハハッと平伏する。
(義兄上は一体、何をお考えなのであろうか)
一益の腹の内が気になる。これは屋敷に戻り、詳細な話を聞かなくてはならない。
城下の滝川屋敷に行くと相変わらずの男所帯で、伊勢から引き揚げた家人も加え、むさ苦しさを増していた。
「これはこれは鶴様」
常のごとく、滝川助九郎が迎えてくれた。
「殿も義太夫殿も、千畳敷から未だお戻りではありませぬが」
一益は散会してからも広間に残り、信長と何か話をしているようだった。しばらくは戻らない。
「誰かおるか?」
「はい。新介殿と彦八殿、それに木全殿が」
その二人はどちらも一益の甥だ。佐治新介は甲賀から来た素破だというが、道家彦八郎は尾張出身の織田家家臣。滝川家には与力として常駐している。
詰所に行ってみると、その二人と、同じく素破だという家臣の木全彦一郎が三人で博打を打っているところだった。
「おぉ、鶴殿か」
新介が声をかけてくる。
「博打は義兄上が禁じておられたのでは…」
「かまわぬ、かまわぬ。そのために助九郎を見張りに立てておる」
義太夫といい、新介といい、誰一人として統制を取ることがなく、まるで風が吹くままのこの家は野放図すぎる。
「軍議は如何であった?」
「五月には長島へ攻め入ることとなった」
それを聞くと、新介も彦八郎も手を止め、忠三郎を見る。
「殿は反対しておられたじゃろ?」
「いかにも。されど上様をはじめ、並み居る者はみな、坊主なんぞは恐るるに足らずと…」
「それは拙いのう」
道家彦八郎がそういうと、
「皆、長島が分かっておらんのじゃろ」
佐治新介が面倒くさそうに言う。
「長島が分かっておらぬとは?」
「泳いで渡れるような川ではない。たとえ泳いで渡ったとしても、狙い撃ちされるのが関の山。船がなければ長島攻略なんぞ、夢のまた夢じゃ」
まるで話すことが無意味であるかのように、冷淡ににべもないことを言う。
話していると外が騒がしくなった。
「お、これはいかん。殿のお戻りじゃ!」
三人が慌てて片付け始めた。その姿を見ながら、今の話を反芻する。
(すでに伊勢出陣の命が下った。義兄上はどうなさるおつもりか…)
一益の読み通りであれば、この戦さはそう簡単には終わらない。長い死闘になる。そんな気がした。
日がとっぷりと暮れ落ちたころ、一益と義太夫が戻ってきた。今日こそは一益の真意を問いただしたい。そう思って居間に向かうと、一益は忠三郎をちらりと見てから、
「義太夫以外、皆、下がれ」
そういって人払いした。
簡素な居間には一益と義太夫、忠三郎の三人だけが残された。灯明の明かりがやけに弱く、互いの顔がかすかに見える程度に照らされている。
「義兄上、今日という今日は義兄上のお気持ちをお聞かせくだされ」
深く息を吸い、思い切ってそう切り出すと、
「そういうと思うたゆえ、人払いした」
忠三郎が何を言い出すのか、わかっていたようだ。
「先ほどの軍議。義兄上は此度の戦さは望ましくないとお考えのようで」
「邪魔立てする者が多すぎる。力任せに攻め入るのは望ましくはない。まずは江南からの執拗な干渉を断ち、伊勢の国人どもを従わせることが先決じゃ。それにはもう少し時が必要となる」
江南からの執拗な干渉とは甲賀に潜む六角親子のことだろうか。もしや祖父・快幹のことではないだろうか。
「神戸家、関家のことは…」
「そなたが伊勢のことまで案じることはない」
忠三郎の言葉を静かに聞き流すように見せかけながらも、その一瞬の間にふと目を伏せた。その瞳はどこか冷たく映るが、よくよく見ると、その瞳の奥には、ほんのわずかな心配の色が浮かんでいるのがわかる。
一益の返答は相変わらず簡潔で、感情を抑え込んだような響きを持っているが、その声の調子には、ほんの一瞬だけ揺らぎが感じられた。
「そうは参りませぬ。両家は我が縁戚。我らが目を光らせ、叔父御を見張らねばなりますまい」
忠三郎が気負ってそういうと、一益は何かに気づいたらしく
「権六辺りに何か言われたのであろう。されど、その必要はない。聞き流しておけ」
勝家とは全く逆のことを言う。
「殿の仰せの通り。鶴、そう何でも背負い込むな」
義太夫までが軽く流そうとする。
(義兄上はわしを侮っておられるのか)
どうも自分は対等にみられていない気がする。一益が何も話してくれないのも、忠三郎には荷が重いと、そう思っているからではないだろうか。
「我が手の者が甲賀衆を従わせるために動いておる。伊勢のことも同様。それゆえ、しばし待て」
一益がなだめるように言うが、そういわれると妙な焦燥感に襲われる。
「いつまでも童扱いでござりますな」
不満げにそういうと、義太夫が笑う。
「そう背伸びばかりするでない。殿はおぬしのことを案じておるのじゃ」
そんなことは義太夫に言われるまでもなく分かっている。
一益は、常と変わらぬ風を装いつつ、その実、心の奥底では忠三郎の置かれた状況を案じている。短い言葉に気遣いが込められているのは伝わってくる。
「背伸びではない。戦さを前に、つまらぬ気遣いは無用にしていただきたい。これは我が家に関わる重要なこと。それをいつまでも隠し立てされるのであれば、最早、義兄上を頼らず、自ら動き、調べるしかのうなりまする」
これは火に油であったと、義太夫が一益を見る。一益はしばらくの時、黙って目を閉じていたが、
「上様は弟の仇討ちをと焦り、そして鶴。そなたは青地駿河守の仇を取りたいだけではないか」
責めるでもなく、咎めるでもなく、そういった。忠三郎を責めるのではなく、ゆっくりと忠三郎自身が気づけるように促すような態度だ。
(仇を取りたいだけ…)
言われて初めて気づいた。この言い知れない苛立ちも、焦りも、叔父を奪われた怒りや悲しみから沸き上がったものだ。
(叔父上の無念を晴らしたいと…そう思っていた)
陰に日向に忠三郎を助け、よき理解者だった叔父、青地駿河守。その叔父を失って以来、空虚な思いを抱え、持て余していた行き場のない感情をどこかにぶつけたかっただけなのかもしれない。
(義兄上はそれが分かっていたから…)
忠三郎を諫めようとしていたのだろう。その姿は、まるで嵐の後に訪れる静けさのようで、そこには不思議な安心感と静かな理解が広がっているのを感じた。
「長島で我らを待ち構えておる者どもは、虫けらではなく人である。人である以上、上様が弟の仇を取らんと攻め寄せることは十分に承知しておろう。敵の情を知らざる者は不仁の至り成り。にも拘わらず、誰もが皆、坊主・百姓風情と敵を侮り、敵情を知ろうともせず、なんの策も講じず敵を下すことができると思い込み、怒りにかられた上様をお諫めする者すらもおらぬ。これでは戦う前から負けは見えておる」
一益の言うことがわからない。長島の門徒たちが戦さ慣れしていない僧侶や百姓であることはよくわかっている筈。武器も十分に備えているとは思えない。一益はなぜ、そこまで慎重なのだろう。
忠三郎が納得していないのを見て、一益はさらに続ける。
「百戦百勝は善の善なるものにあらざるなり。鶴。いたずらに戦さで方を付けようなどとはゆめゆめ思うてはならぬ。あらゆる手を尽くし、戦させずに勝利を得ることこそ肝要と心得よ」
「されどこれは彦七殿の弔い合戦。上様だとて、このまま汚名を雪がずしておられましょうか」
信長が黙っている筈がない。
「凡そ用兵の法は、国を全うするを上と為し、国を破るはこれに次ぐ。敵を傷つけることなく従わせるのが上策。戦さをして打ち破るのは、これに劣るものじゃ」
一益はどこまでも戦さを避けよと言って譲らない。忠三郎は苛立ち、
「義兄上。長島を許しておいては織田家の威信に関わるとは思われぬか。これは上様の…」
信長の思いを代弁している、と言おうとして、果たしてそうだろうかと疑問に思った。
(いや…違う…)
忠三郎が、叔父の無念の思いを、そして自分自身の持て余したままの怒りの矛先を探しているだけなのかもしれない。
「気づいたか?」
忠三郎の過ちや迷いを咎めることなく、ただ静かに、そして穏やかに言葉をかける。
「いかなる戦さにも大儀などはない。上様は彦七殿一人の命を嘆き、弔いと称して何人の命を奪うおつもりか。復讐とは増大するもの。たとえ七十七倍もの復讐を遂げたとしても終わるものではない。青地駿河守の思いを無にしたくないと言うのであれば、これ以上、戦禍を広げるべきではない。むしろ死を賭して戦さを止めるほどの覚悟をもつべきである」
その諭し方はまるで冬の夜に降り注ぐ雪のように、ひっそりと降り積もり、やがてすべてを包み込み、柔らかく穏やかに心を満たしていく。
しかし、それは忠三郎の思いとは全く異なる。いまさら、戦さをせずに事を治めることなどできるだろうか。
「愚かな者は怒りをぶちまける。されど知恵のある者はそれを内におさめる。君主たるものは一時の怒りに任せて兵を動かしてはならぬ。怒りは敵に付け入る隙を与えるもの。石を切り出す者は石で傷つき、木を割る者は木で危険にさらされる。長島を攻めるというは、皆が思うておるほど容易いことではない。上様が躍起になればなるほど、敵も必死に抵抗し、いたずらに兵の命が損なわれ、我が方も多大な損害を受けることとなる。復讐は連鎖する。復讐は復讐を呼び、最後に長島に残るのは、焼き払われ、灰燼に帰した地と無残な屍の山となろう」
「では義兄上は…長島攻め自体を考え直すべきと、そうお考えか」
「そなたは己が骨折らず、育てもせず、生まれながらに得た日野の町と民を惜しんでおる。ましてわしは長年労苦して手にした伊勢の地を惜しまずにいられようか。あの長島の地には右も左もわきまえもしない二万以上の民と、数多くの家畜とがいるではないか」
信長が長島の門徒を許すとは思えない。しかし一益は、これ以上、伊勢に戦禍が広がることを避けたいと、そう考えている。
(佐助は、仇討ちを望んではいなかった)
むしろ戦うことを戒め、戦さを避け、国を守れと、そう言っていた。
佐助は祖父に討たれることも覚悟していただろう。それなのになぜ、仇討ちを望まなかったのだろうか。そして、自分はなぜ、そんな佐助の切実な思いすらも忘れ、戦うことを求め、戦いに惹きつけられてしまうのだろう。
「それが義兄上が真に望んでおられること。よう分かりました」
これが、佐助に怒りも恨みも一時のものと教えた一益の本音と思われた。
(では、この思いは、どうしたらいいのか)
怒りも憎しみも、そう簡単に消えるものではない。一益はそんな忠三郎の胸の内を察したように、
「すでに陣振れもでておる。もはや戦は避けられまい。此度の戦さはこれまでにない、難しい戦さとなろう」
これがその後、四年に渡る長島願証寺との戦さの幕開けだった。
長い間、北勢は群雄割拠が続き、そこに信長の命を受けた滝川一益と織田彦七郎が寡兵で攻め入り、北勢四十八家と呼ばれる国人衆を瞬く間に従えたという。
六角氏と通じて抵抗を見せていた神戸、関、楠といった北勢の名家も、信長が援軍に来たことで織田家に従属。信長は一益に伊勢を任せて兵を引いた。
これにより一益は桑名・四日市といった大きな町を抑えて北伊勢を支配するに至った。それが今から四年前。
織田家ではこれを伊勢平定と呼び、伊勢の国人たちは伊勢侵攻と呼んでいる。
しかしその中にあっても長島願証寺とは互いに牽制しつつも、戦闘に及んだことはなかった。一益にとっては、願証寺は戦いたくない相手のひとつのようだ。
「数は多くとも所詮は坊主と百姓、それに北勢の小豪族の集まり。恐るるには足らん。我らの刃を抜く時は、すでに決まっておる。上様がご出馬されるのであれば、この戦は、我等の勝利で終わる。大軍をもって足元の一揆勢を早々に蹴散らし、浅井・朝倉を攻め滅ぼすがよろしいかと」
柴田勝家がそう進言する。弟を討たれた信長の心中を察しての発言と思われた。
一向衆への怒り冷めやらぬ信長は、
「そのことよ」
と短く言うと、一益を見る。
「左近、如何じゃ」
「ハッ」
信長に促されてもなお、一益は何かを考えたまま、良いとも悪いとも言わない。
(義兄上は桑名を奪い返したいとは思われぬのか)
少し遠くにいる一益の表情がよく見えないが、扇子を持つ手に力が入っていない。乗り気でないときは、大抵、ああやって扇子を閉じたまま、動かすことはない。
「権六殿の仰せは尤もなことかと。尾張・美濃・江南から大軍をもって攻めかかれば、長島など一夜のうちに一掃することができましょう」
美濃三人衆の一人、氏家卜全が勝家の意見を後押しすると、信長は再度、一益を見る。
「左近」
これ以上黙っていれば信長の勘気をこうむる。場は静まり返り、張りつめた空気の中、皆、一益が発言するのを待っている。忠三郎は見ていてハラハラしてきた。
「伊勢の海賊衆が味方についておりませぬ。今はいささか時期尚早かと」
一益がようやく口を開いた。北勢を知り尽くしている一益の、思わぬ慎重論に、その場は一斉にざわつく。
「何を恐れておいでじゃ。攻めも滝川、退きも滝川と恐れられた左近殿が、坊主・百姓風情を恐れるとは」
「それがしが上様ご出馬を願い出てから情勢が変わりつつありまする。この二か月余りで長島には海賊衆が長島に集まっておるとか。また、紀州に動きがあり、大坂の本願寺門徒も集まり、そう易々と攻略するは難しゅうなり申した。さらに、甲賀者の一部が山中に潜んで居るやもしれず、かくなるうえは、我が方も水軍を用意し、船を調達して水上を封鎖。兵糧攻めに持ち込むほかはありますまい」
あの広い大川を封鎖するとは、どれほどの船が必要になるだろうか。百や二百では足りない。織田家に属する海賊衆では大川のほんの一部しか抑えることができない。伊勢の海賊衆を味方につけるにしても、川を封鎖するほどの船を用意するのは至難の業。では大川を埋め尽くすような水軍は一体どこから連れてくるのか。
一益の話はあまりにも途方もない、荒唐無稽な話と思われた。
それを聞くと、瞬間的に信長の眉間に深い皺が刻まれる。
「何、甲賀とな?」
鋭い声でそう呟いた。目は怒りの光を帯び、一益を貫くように睨みつける。その場の空気が一瞬にして凍りついた。
「貴様は未だ甲賀を抑えておらぬのか。もたもたと水軍なんぞを待っていては、憎き一揆勢を討ち滅ぼすことなど何年先になるかもわからぬわ!」
信長が一喝すると、諸将は色を失い一斉に身を縮めた。誰一人として声を発することができなくなり、皆、恐々と一益を見る。
北勢を奪われている。尾張の蟹江にいては、甲賀を抑えるのは難しいだろう。
「面目次第もござりませぬ」
一益は一人、顔色ひとつ変えずに平伏する。信長は舌打ちして
「かまわぬ!兵を揃えよ。大軍をもって蛆虫どもを蹴散らしてくれよう。出陣は五月十二日」
その場にいる全員が震え上がって、ハハッと平伏する。
(義兄上は一体、何をお考えなのであろうか)
一益の腹の内が気になる。これは屋敷に戻り、詳細な話を聞かなくてはならない。
城下の滝川屋敷に行くと相変わらずの男所帯で、伊勢から引き揚げた家人も加え、むさ苦しさを増していた。
「これはこれは鶴様」
常のごとく、滝川助九郎が迎えてくれた。
「殿も義太夫殿も、千畳敷から未だお戻りではありませぬが」
一益は散会してからも広間に残り、信長と何か話をしているようだった。しばらくは戻らない。
「誰かおるか?」
「はい。新介殿と彦八殿、それに木全殿が」
その二人はどちらも一益の甥だ。佐治新介は甲賀から来た素破だというが、道家彦八郎は尾張出身の織田家家臣。滝川家には与力として常駐している。
詰所に行ってみると、その二人と、同じく素破だという家臣の木全彦一郎が三人で博打を打っているところだった。
「おぉ、鶴殿か」
新介が声をかけてくる。
「博打は義兄上が禁じておられたのでは…」
「かまわぬ、かまわぬ。そのために助九郎を見張りに立てておる」
義太夫といい、新介といい、誰一人として統制を取ることがなく、まるで風が吹くままのこの家は野放図すぎる。
「軍議は如何であった?」
「五月には長島へ攻め入ることとなった」
それを聞くと、新介も彦八郎も手を止め、忠三郎を見る。
「殿は反対しておられたじゃろ?」
「いかにも。されど上様をはじめ、並み居る者はみな、坊主なんぞは恐るるに足らずと…」
「それは拙いのう」
道家彦八郎がそういうと、
「皆、長島が分かっておらんのじゃろ」
佐治新介が面倒くさそうに言う。
「長島が分かっておらぬとは?」
「泳いで渡れるような川ではない。たとえ泳いで渡ったとしても、狙い撃ちされるのが関の山。船がなければ長島攻略なんぞ、夢のまた夢じゃ」
まるで話すことが無意味であるかのように、冷淡ににべもないことを言う。
話していると外が騒がしくなった。
「お、これはいかん。殿のお戻りじゃ!」
三人が慌てて片付け始めた。その姿を見ながら、今の話を反芻する。
(すでに伊勢出陣の命が下った。義兄上はどうなさるおつもりか…)
一益の読み通りであれば、この戦さはそう簡単には終わらない。長い死闘になる。そんな気がした。
日がとっぷりと暮れ落ちたころ、一益と義太夫が戻ってきた。今日こそは一益の真意を問いただしたい。そう思って居間に向かうと、一益は忠三郎をちらりと見てから、
「義太夫以外、皆、下がれ」
そういって人払いした。
簡素な居間には一益と義太夫、忠三郎の三人だけが残された。灯明の明かりがやけに弱く、互いの顔がかすかに見える程度に照らされている。
「義兄上、今日という今日は義兄上のお気持ちをお聞かせくだされ」
深く息を吸い、思い切ってそう切り出すと、
「そういうと思うたゆえ、人払いした」
忠三郎が何を言い出すのか、わかっていたようだ。
「先ほどの軍議。義兄上は此度の戦さは望ましくないとお考えのようで」
「邪魔立てする者が多すぎる。力任せに攻め入るのは望ましくはない。まずは江南からの執拗な干渉を断ち、伊勢の国人どもを従わせることが先決じゃ。それにはもう少し時が必要となる」
江南からの執拗な干渉とは甲賀に潜む六角親子のことだろうか。もしや祖父・快幹のことではないだろうか。
「神戸家、関家のことは…」
「そなたが伊勢のことまで案じることはない」
忠三郎の言葉を静かに聞き流すように見せかけながらも、その一瞬の間にふと目を伏せた。その瞳はどこか冷たく映るが、よくよく見ると、その瞳の奥には、ほんのわずかな心配の色が浮かんでいるのがわかる。
一益の返答は相変わらず簡潔で、感情を抑え込んだような響きを持っているが、その声の調子には、ほんの一瞬だけ揺らぎが感じられた。
「そうは参りませぬ。両家は我が縁戚。我らが目を光らせ、叔父御を見張らねばなりますまい」
忠三郎が気負ってそういうと、一益は何かに気づいたらしく
「権六辺りに何か言われたのであろう。されど、その必要はない。聞き流しておけ」
勝家とは全く逆のことを言う。
「殿の仰せの通り。鶴、そう何でも背負い込むな」
義太夫までが軽く流そうとする。
(義兄上はわしを侮っておられるのか)
どうも自分は対等にみられていない気がする。一益が何も話してくれないのも、忠三郎には荷が重いと、そう思っているからではないだろうか。
「我が手の者が甲賀衆を従わせるために動いておる。伊勢のことも同様。それゆえ、しばし待て」
一益がなだめるように言うが、そういわれると妙な焦燥感に襲われる。
「いつまでも童扱いでござりますな」
不満げにそういうと、義太夫が笑う。
「そう背伸びばかりするでない。殿はおぬしのことを案じておるのじゃ」
そんなことは義太夫に言われるまでもなく分かっている。
一益は、常と変わらぬ風を装いつつ、その実、心の奥底では忠三郎の置かれた状況を案じている。短い言葉に気遣いが込められているのは伝わってくる。
「背伸びではない。戦さを前に、つまらぬ気遣いは無用にしていただきたい。これは我が家に関わる重要なこと。それをいつまでも隠し立てされるのであれば、最早、義兄上を頼らず、自ら動き、調べるしかのうなりまする」
これは火に油であったと、義太夫が一益を見る。一益はしばらくの時、黙って目を閉じていたが、
「上様は弟の仇討ちをと焦り、そして鶴。そなたは青地駿河守の仇を取りたいだけではないか」
責めるでもなく、咎めるでもなく、そういった。忠三郎を責めるのではなく、ゆっくりと忠三郎自身が気づけるように促すような態度だ。
(仇を取りたいだけ…)
言われて初めて気づいた。この言い知れない苛立ちも、焦りも、叔父を奪われた怒りや悲しみから沸き上がったものだ。
(叔父上の無念を晴らしたいと…そう思っていた)
陰に日向に忠三郎を助け、よき理解者だった叔父、青地駿河守。その叔父を失って以来、空虚な思いを抱え、持て余していた行き場のない感情をどこかにぶつけたかっただけなのかもしれない。
(義兄上はそれが分かっていたから…)
忠三郎を諫めようとしていたのだろう。その姿は、まるで嵐の後に訪れる静けさのようで、そこには不思議な安心感と静かな理解が広がっているのを感じた。
「長島で我らを待ち構えておる者どもは、虫けらではなく人である。人である以上、上様が弟の仇を取らんと攻め寄せることは十分に承知しておろう。敵の情を知らざる者は不仁の至り成り。にも拘わらず、誰もが皆、坊主・百姓風情と敵を侮り、敵情を知ろうともせず、なんの策も講じず敵を下すことができると思い込み、怒りにかられた上様をお諫めする者すらもおらぬ。これでは戦う前から負けは見えておる」
一益の言うことがわからない。長島の門徒たちが戦さ慣れしていない僧侶や百姓であることはよくわかっている筈。武器も十分に備えているとは思えない。一益はなぜ、そこまで慎重なのだろう。
忠三郎が納得していないのを見て、一益はさらに続ける。
「百戦百勝は善の善なるものにあらざるなり。鶴。いたずらに戦さで方を付けようなどとはゆめゆめ思うてはならぬ。あらゆる手を尽くし、戦させずに勝利を得ることこそ肝要と心得よ」
「されどこれは彦七殿の弔い合戦。上様だとて、このまま汚名を雪がずしておられましょうか」
信長が黙っている筈がない。
「凡そ用兵の法は、国を全うするを上と為し、国を破るはこれに次ぐ。敵を傷つけることなく従わせるのが上策。戦さをして打ち破るのは、これに劣るものじゃ」
一益はどこまでも戦さを避けよと言って譲らない。忠三郎は苛立ち、
「義兄上。長島を許しておいては織田家の威信に関わるとは思われぬか。これは上様の…」
信長の思いを代弁している、と言おうとして、果たしてそうだろうかと疑問に思った。
(いや…違う…)
忠三郎が、叔父の無念の思いを、そして自分自身の持て余したままの怒りの矛先を探しているだけなのかもしれない。
「気づいたか?」
忠三郎の過ちや迷いを咎めることなく、ただ静かに、そして穏やかに言葉をかける。
「いかなる戦さにも大儀などはない。上様は彦七殿一人の命を嘆き、弔いと称して何人の命を奪うおつもりか。復讐とは増大するもの。たとえ七十七倍もの復讐を遂げたとしても終わるものではない。青地駿河守の思いを無にしたくないと言うのであれば、これ以上、戦禍を広げるべきではない。むしろ死を賭して戦さを止めるほどの覚悟をもつべきである」
その諭し方はまるで冬の夜に降り注ぐ雪のように、ひっそりと降り積もり、やがてすべてを包み込み、柔らかく穏やかに心を満たしていく。
しかし、それは忠三郎の思いとは全く異なる。いまさら、戦さをせずに事を治めることなどできるだろうか。
「愚かな者は怒りをぶちまける。されど知恵のある者はそれを内におさめる。君主たるものは一時の怒りに任せて兵を動かしてはならぬ。怒りは敵に付け入る隙を与えるもの。石を切り出す者は石で傷つき、木を割る者は木で危険にさらされる。長島を攻めるというは、皆が思うておるほど容易いことではない。上様が躍起になればなるほど、敵も必死に抵抗し、いたずらに兵の命が損なわれ、我が方も多大な損害を受けることとなる。復讐は連鎖する。復讐は復讐を呼び、最後に長島に残るのは、焼き払われ、灰燼に帰した地と無残な屍の山となろう」
「では義兄上は…長島攻め自体を考え直すべきと、そうお考えか」
「そなたは己が骨折らず、育てもせず、生まれながらに得た日野の町と民を惜しんでおる。ましてわしは長年労苦して手にした伊勢の地を惜しまずにいられようか。あの長島の地には右も左もわきまえもしない二万以上の民と、数多くの家畜とがいるではないか」
信長が長島の門徒を許すとは思えない。しかし一益は、これ以上、伊勢に戦禍が広がることを避けたいと、そう考えている。
(佐助は、仇討ちを望んではいなかった)
むしろ戦うことを戒め、戦さを避け、国を守れと、そう言っていた。
佐助は祖父に討たれることも覚悟していただろう。それなのになぜ、仇討ちを望まなかったのだろうか。そして、自分はなぜ、そんな佐助の切実な思いすらも忘れ、戦うことを求め、戦いに惹きつけられてしまうのだろう。
「それが義兄上が真に望んでおられること。よう分かりました」
これが、佐助に怒りも恨みも一時のものと教えた一益の本音と思われた。
(では、この思いは、どうしたらいいのか)
怒りも憎しみも、そう簡単に消えるものではない。一益はそんな忠三郎の胸の内を察したように、
「すでに陣振れもでておる。もはや戦は避けられまい。此度の戦さはこれまでにない、難しい戦さとなろう」
これがその後、四年に渡る長島願証寺との戦さの幕開けだった。
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