獅子の末裔

卯花月影

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12.紀州の烏

12-1. 千鳥の香炉

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 天王寺砦を守り切った信長は、本願寺攻略のため、原田直政に変わり、佐久間信盛・信栄父子と江南衆に付城を築くように命じると、安土に戻った。忠三郎も信長に従い、安土に戻ってきた。

 わずかひと月離れただけだったが、安土の地は驚くほど変貌を遂げていた。
 総奉行、丹羽長秀の指揮のもと、町は広がりを見せ、活気に満ちた姿を見せていた。
 城下町は日々成長し、生活の営みがその場に根付いている様子が感じられた。遠くにそびえる安土山、その頂には未だ工事半ばの天守が姿を現し始めている。
 その堂々たる姿は、さながら完成を待つ巨大な龍がその身を横たえているかのようで、これからの壮大な未来を予感させるものであった。

 安土城内の壮麗な館には、天下の名物が一堂に会する。信長が集めた至宝の数々が、城内の至るところに光を放ち、豪華絢爛たるその光景は、まさに権力の象徴といえる。
 名馬、名刀、名陶、絢爛たる装飾品に至るまで、あらゆる逸品が城を飾り立て、訪れる者の息を呑ませる。信長の野望の如く、これらの品々は信長の支配の正当性をも示すかのように、輝きを放ち続けている。

 それらの信長所有の名物の中にある青磁香炉、銘は千鳥。忠三郎は信長に命じられ、蔵から千鳥の香炉を取り出し、香炉灰を入れて香筋きょうじでそっとかき混ぜる。
 火をつけた炭団を入れ、少し灰に埋めると、傍に小さな練香を一粒置いた。練香は昔から伝わる合わせ香だ。

 今日の練香は志野流秘伝の調香法に基づいて作った薫物で、志野系香匠の忠三郎は四代目宗悟から直接、調香法を学んでいる。
(これで少しでも上様が心を鎮めてくださればよいが…)
 信長は今朝も苛立ちを隠そうとせず、その鋭い声は館中に響き渡っていた。
 小姓たちは怯え、何をしても機嫌を損ねるのではないかと、手元に集中しながらも内心は恐れに満ちているのが伝わってきた。

 信長の怒号は、重厚な館の壁をも突き抜け、外にまで届く。庭先にいる者たちさえ、その凄まじい気配に圧倒され、息を潜めるほどだ。まるで雷鳴のようなその声は、周囲の空気さえ震わせている。すべては本願寺攻めが思うように進まないことが原因と思われた。
 
 千鳥の香炉と呼ばれるこの香炉は、宋代に作られたと伝わるきぬた青磁の香炉で、元は堺の豪商・武野紹鴎の所有だった。それが巡り巡って信長の手に渡った。
 といっても銘の由来となった蓋と蓋についている三本足の千鳥は室町期に入って金工師の手で作られたものだ。
「おぉ、鶴。その不格好な鳥のついた香炉は何じゃ?」
 ふらりと控えの間から現れた義太夫が香炉を見る。

「おぬしにあっては天下の名物も形無しか」
 忠三郎が苦笑いする。高価な千鳥の香炉を見て、不格好な鳥とはなんとも無粋ではあるが、義太夫らしい表現だ。
「ほう、これが、天下の名物…」
 義太夫は改めて香炉を見つめ、静かに息を吐いた。話に聞くほどの価値を疑うかのように。

 しかし、目を細めてもう一度眺めると、その顔に微笑が浮かぶ。
「フム、言われてみれば、確かに……どこか愛嬌のある顔をしておる鳥じゃな」
「愛嬌…なるほど…。義太夫にも価値が分かるか」
「いかにも。わしも殿に倣い、数寄を究めることにしたのじゃ」
「義太夫が数寄とは…」
 一瞬、不釣り合いと思ったが、常の如くぺらぺらと喋らず、口を閉じていれば意外に似合うかもしれない。
「義兄上は?」
「上様に呼ばれ、広間に向かわれた」
 どうやらちょうど入れ違いになったらしい。
(本願寺の件か)
 思った通りだ。信長が朝から苛立ちを隠せないのは本願寺の一件が頭にあるからだ。そして一益が呼ばれたのであれば、今後の戦略を練るものと思われた。

 天王寺砦の一戦後、信長は佐久間信盛や江南衆を河内に残し、本願寺を取り囲むように砦を築かせ、物流を遮断して兵糧攻めに持ち込もうとしていた。
 陸はもとより、海路を使った物資輸送を阻止するために九鬼嘉隆の志摩海賊と河内海賊が海から取り囲んでいたが、この七月、毛利水軍と村上水軍の大船団が大坂湾に現れ、織田家の水軍は完膚なきまでに打ち破れた。

(やはり本願寺が相手ともなると、九鬼殿一人で戦略を立てるのは厳しいのか)
 海路を遮断して海からの物流を止め、陸で武器弾薬を調達している紀州の雑賀衆をなんとかしなければ、本願寺の息の根を止めることなどできない。
(急がねば、義兄上の秘策を聞き逃してしまう)
 こんなところで義太夫相手に戯れている場合ではない。忠三郎は大事そうに香炉を抱え、あわてて広間に向かった。

 広間には信長と一益以外は、誰もいなかった。人払いしているところを見ると、やはり本願寺攻めの話をしているようだ。
 忠三郎が空薫そらだきした香炉を部屋の隅に置くと、信長が気づき、ちらりとこちらを見る。信長の静かな眼差しの下、香炉からかすかな香りが部屋に広がる。
「左近、分かるか、この香炉」
「は…三つ足の千鳥とは、まさに雑賀の…」
 一益の口から雑賀という言葉がでたので、信長が何故、この香炉を運ばせたのかが分かった。
八咫烏やたがらす
 太古の昔、神武天皇を紀州から大和へ案内した鳥が、三つ足の烏、通称・八咫烏やたがらすだ。前回の天王寺砦の戦いで織田勢を苦しめた紀州・雑賀党の鈴木家は、八咫烏やたがらすの末裔と伝わり、家紋としている。

「憎き雑賀の奸賊ども。一人も漏らさず燻り出し、血祭にあげよ」
 信長の冷酷な声が広間を突き刺すように響き渡った。その一言一言は、まるで鋭利な刃のように空気を切り裂き、背筋を凍らせる。その眼差しは氷のように冷たく、慈悲のかけらも見当たらない。広間は一瞬の静寂に包まれ、命令の重さが場を圧倒していく。

 忠三郎は余計な口を挟まないように口を堅く閉じながら、一益がなんと返事をするのか様子を伺った。一益は常と変わらず、顔色一つ変えずに香炉を見ていたが、やがて重々しく口を開いた。
「上様、この戦、力のみでは決して勝てません。ここでこそ、知略をもってのぞむとき。敵は決して正面からの一撃に屈せぬ者、策をもって崩すしかございません」
 信長は一益に目を向ける。さきほどの冷徹な眼差しは、今や思慮深い光を帯びている。黙して一益の言葉を聞き入れ、しばしの沈黙が訪れる。

「申してみよ、如何なる策がある?」
 一益は頭を垂れ、さらに一歩前へ進み出る。その眼差しは鋭く、信長の意を察しながらも、自らの考えを強く伝えんとする決意がみなぎっている。
「雑賀の中には一向衆とは無縁の者もおりまする。して、雑賀を率いる鈴木孫一。この者は門徒という話でござりますが、時勢を読むのに長けた者。鈴木孫一を説き、我が方に引き入れれば、雑賀党は分裂すること間違えなし」
 一益の語る言葉は、風を裂くように静けさの中へと吸い込まれ、重々しい場の空気をさらに引き締める。
 遊撃戦を得意とし、砲術に優れた雑賀党を敵に回して戦うことは避けたいようだ。

(あぁ、なるほど…)
 傭兵集団である雑賀党。その性質は伊賀・甲賀の素破にとてもよく似ている。常に生き残りをかけて戦っているので、時勢を読むのに長けており、少人数での戦いや、火術を得意とするところも同じだ。
「その孫一とやらが、容易く寝返ると申すか」
「はい。そのためにはまず、海戦に勝ち、海からの兵糧調達を断ち切る必要がござります。雑賀は一枚岩ではありませぬ。この戦さには勝ち目がないと思わせることができれば、自然と雑賀は我が方に落ちるものと存じ上げまする」

 信長はぎろりと一益を見下ろした。その目は鋭利な刃のように冷たく、すべてを見通そうとするかのようだ。忠三郎は息をつめ二人の会話に耳を傾ける。
「九鬼の阿武船が火を駆けられ、ことごとく燃え尽きたと聞き及ぶ。燃えぬ船でなければ勝ち目はない」
「そのことであれば案ずるには及びませぬ。九鬼大隅守がすでに大湊にて燃えぬ船を建造中で」
 信長の前にひれ伏すことを拒むように、一益の背筋はまっすぐに伸びていた。
 その声は低く、だがどこか誇り高く響く。それは単なる助言ではなく、信長の勝利を確信し、自らもその勝ち戦を手助けせんとする強い意志の表れなのだろうか。

 辺りには練香の醸された香りが満ちてきた。目に見えぬ手が大地を撫でるかのごとく、空気を清め、重く張り詰めた場の緊張を徐々にほどいていく。人の心に染み入るように、穏やかな香りはやがて胸の奥にまで届き、微かな安らぎを与える。
「烏はいざという時のために各処に餌を隠し、蓄え置く習性があるとか。紀州の山奥に潜む烏どもも、取り囲まれ、蓄え置いた餌が尽きれば音を上げ、上様の膝元にひれ伏すほか道はございません」
 信長の鋭い視線が、一益の表情をじっと見据える。その一瞬の間にも、一益は微動だにせず、己の知略に揺るぎない自信を抱いている様子が伺えた。

「勝てるか、左近」
 信長の問いが低く響く。その声は、確信と冷徹な計算を孕み、戦さの行方を既に見透かしているかのようだった。
 一益は一瞬の躊躇もなく、まっすぐに信長を見据え、力強く応じた。
「はい。勝利はすでに上様の手の中かと」
 信長は微かに口角を上げ、ふと広間のさらに先、庭の向こうに広がる空を仰ぐ。その表情には、未来の勝利を既に手にしたかのような確信が、わずかに宿っていた。
 

 全山が石垣で囲まれた安土山。この石垣はかつての六角家の居城であった観音寺城や百済寺から運び込まれたものだ。その安土山の麓、町の反対側には琵琶湖の内湖が広がる。高層の天主が完成すれば、この湖に美しい姿を映し出すだろう。
 湖のほとり、静寂の水面に柔らかな夕日が映る。数羽の千鳥が細やかな足取りで、餌を求めて優雅に戯れている。その小さな姿は、自然の詩を紡ぐかのように、柔らかな砂をつつきながら、命の営みを謳いあげていた。

 近江の海 夕波千鳥汝が鳴けば こころもしのに いにしへ思ほゆ

(万葉集 第三巻二六六)

 古の頃より、千鳥の姿やその哀切な鳴き声を詠み込んだ歌は数多い。彼らの物悲しい声は、過ぎ去りし日々の思い出を呼び覚ますかのように、詠人の内なる情を揺さぶり続けてきた。千鳥の鳴き声は、静まり返った大地に響き渡り、孤独や哀愁を纏った詩情を醸し出す。詩人たちはその声に耳を傾け、心の奥深くに潜む感情を言葉に託し、永遠の詩を紡いできたのだ。

 忠三郎は鳥の姿を追いながら、先ほどの信長と一益の会話を思い起こす。あの様子では遠からず、本願寺攻めの号令がかかりそうだ。
(雑賀の鉄砲隊)
 前回の天王寺砦の戦いでは、信長をはじめ、何人かの将が被弾している。流れ弾とも思えない。狙い定めて撃ったのであれば、相当な腕前だ。
(されど、義兄上は雑賀を降す算段があるような口ぶりであった)
 一益は次にどんな手を打つつもりだろう。

「如何した。水練でも始める所存か?」
 静かなひとときを打ち破るかのような声が聞こえた。こんな戯けたことをいう者は一人しかいない。
 振り返ると行商人に身をやつした義太夫と助九郎が立っていた。
「何処へ行く?もしや紀州か?」
 義太夫と助九郎が顔を見合わせる。図星のようだ。
「隠密行動じゃ。そう易々と行き先を言うわけにもいかぬが…ちょいと日野の鍛冶屋に寄り道してから行かねばならぬ」
 一益がまた新たな武器を作らせているようだ。

「わしは日野の領主じゃ。何を作らせておるかくらいは教えてもらおう」
「フム。うまくいけば、おぬしの鉄砲隊にも分けてやれとの仰せゆえ、教えてやる」
 義太夫は得意そうに笑うと、忠三郎の隣に来て肩を並べる。
「竹束が火縄銃の弾丸を防ぐことは存じておろう?」
 竹束は竹で作った柵だ。これまでの柵は火縄銃を想定していなかったため木柵であり、弾丸が貫通していた。火縄銃が広く伝わってからは、もっぱら竹束が柵として用いられている。

「まさか、竹束を貫通する銃を作らせたと?」
「弾じゃ。竹を貫通せぬのは弾丸が丸いからじゃと、殿はそう仰せになる。なんというても弾が丸いと書くゆえのう。それゆえ、弾の一端を少し尖らせたものを作らせ、こいつを撃つ銃を作らせておる。帰するところ、弾丸ならぬ、弾尖じゃ!」
 どうしたらここまで戯けたことを思いつくのか。後ろに控える助九郎は、またはじまったと言わんばかりにため息をついている。
「されど、これが思うようにいかぬのであれば…」
 義太夫は一瞬、言い淀んだが、
「火をかけ、竹ごと燃やすしかあるまい」
 雑賀を、だろう。
(また火攻めか)
 最終的にはそれしかない。弾丸を防ぐとはいえ、竹は燃えやすい。銃撃に備えて竹束を増やせば増やすほど、火攻めの好条件が揃っていく。

「そう暗い顔をするな。まずは烏連中と話をしてみる。ことを起こすのはそののちじゃ」
 義太夫がカハハと笑うと、傍で聞いていた助九郎が義太夫の袖をひく。
「義太夫殿、よりにもよって烏連中とは。これから行く先が紀州の雑賀と言うておるようなものではありませぬか」
「然様か?これはいかん。わしとしたことが…然様か。烏と言えばやはり雑賀と、誰しも気づくのか」
 どちらも同じくらい、危うい。聞いてもいないのに紀州の雑賀のと、この二人にかかると、隠密も隠密ではなくなる。
 いずれにせよ雑賀との交渉が破綻すれば、次なる戦さの舞台は紀州の地に移ることとなるだろう。風は不穏に吹き、運命の糸が再び絡み合う瞬間が迫っている。
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