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10 邪宗門
10-5 三国一の軍師
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翌朝、忠三郎、三九郎、津田秀重がそれぞれ戻っていくと、武藤宗右衛門も、
「ちと、堺へ行ってまいります。明日には戻りますゆえ、ここをお頼み申し上げる」
そう言って従者を連れて城を後にした。
宗右衛門はこの戦が始まって以来、一度として戦場を離れたことがない。その彼が、わざわざ行き先を告げて出立するとは――まるで「後を追え」と言わんばかりだ。しかも物資は先日仕入れたばかり。いったい何の用があるというのか。
(宗右衛門…何を隠しておる)
ふと昨日の信長の姿が脳裏によみがえる。深紅のマントを翻しながら現れ、「大事ないか」と問うたあの声音。あれは叱責ではなく、案じる響きであった。
(疑っていたのではない…案じていたのか)
信長が自ら摂津にまで足を運んだのは、誰かを見届けるため。――そしてその「誰か」とは、武藤宗右衛門にほかなるまい。
翌日、宗右衛門は何事もなかったかのように、言葉通り戻って来た。
「どなたか、後をつけて来られるかと思いましたが、どなたもお出でではありませなんだな」
宗右衛門が笑って言う。
「知りたきことあらば、直接聞けと言うたは、その方であろう」
一益がぶっきらぼうにそう言ったので、宗右衛門が頭を下げる。
「ご無礼の段、お許しあれ」
「いや、そうではなく…」
不機嫌なのは、宗右衛門が笑ったことが原因ではない。何を隠していて、どこへ行って来たのか、おおよその検討がついたからだ。
「わしに隠し立てしておったな」
探るようにそう言うと、宗右衛門は悪びれるでもなく、静かに、はいと答えたので、一益は人払いして襖を全て閉めさせた。
「薬か」
「はい。さすがは左近殿。お察しでしたか」
いずれは気づかれると思っていたようだ。宗右衛門は平然とそう答える。
「顔色を見ていればわかる。わざわざ薬を取りに堺に行く程の大事であれば、ここは我らに任せ、少し養生して参れ。上様もお咎めにはならぬじゃろう」
ここ数か月で、宗右衛門は明らかにやつれている。平静を装って見えるが、日に日に衰え、ここ数日は階段を上るときも辛そうに見えた。
「いえ。上様からも養生せよと再三言われて参りましたが、もはや何をしても詮無きこと。この上はどうか、武人らしく戦場で死なせてくだされ」
宗右衛門が絞り出すような声で懇願する。
(そこまで悪いのか)
一益が何も言えなくなったのを見ると、宗右衛門が有岡城の見取り図を取り出して目の前に広げる。
「それがしに残された時は短く、有岡城の兵糧が尽きるのを見ることは叶わぬでしょう。いにしえより、鳥のまさに死なんとする、その鳴くや哀し。人のまさに死なんとする、その言うや善し、と申します。陣を敷いてからこれまでの間で調べ上げたこと、立ててきた戦略、全て、左近殿に託しとうござりまする。どうかお聞き届けくだされたい」
その言葉が、なにより宗右衛門自身の覚悟を語っていた。
あと半年もあれば兵糧は尽きると思われた。しかし宗右衛門の命はわずか半年ももたないと、そう言っている。
(それが分かっていたから、強引に義太夫との婚儀の話を進めたのか)
白羽の矢を立てたのが義太夫だったことはいささか不可解であるが、一益や義太夫に断る隙を与えずに話を進めたかったようだ。
(なるほど。それで、頑固者か)
床に就いたまま死を待つよりも、燃え尽きるまで戦場にいたいと、そう願い出たのだろう。そして信長は、宗右衛門の最期の願いを聞き届け、一益の傍に置いた。
「そこまで言うのであれば…聞こうではないか。武藤宗右衛門の軍略を」
一益にそう言われ、宗右衛門は嬉しそうに頷き、右手に扇子を持つ。
懐から見取り図を広げ、扇の先で一点を示した。
「兵糧が尽きてきた頃合いを見て、ここ――町屋の裏手を開け、町人や雑兵を逃がしてくだされ。人が減れば、降伏を促す好機となりましょう」
次に扇を北へ滑らせる。
「ただし、北側はご用心あれ。外から見れば急所に見えまする。されど摂津守は岸の砦を築き、渡辺勘太夫を置いております。ここは鉄壁。調略はまず叶いませぬ」
さらに指先を動かし、別の砦を叩く。
「攻めどころは、この上﨟塚砦。守将・中西新八郎は池田家の出で、摂津守とは折り合いが悪い。助命を約せば降るやもしれませぬ。かの者が説けば、配下も呼応して門を開きましょう」
宗右衛門の声は弱々しいが、言葉の一つ一つは刃のごとく冴えていた。
(よくぞここまで…)
一益は胸の内で感嘆した。
宗右衛門はさらに扇を動かし、最後の砦を示した。
「残るは鵯塚と本丸。鵯塚は容易には落ちませぬ。金堀攻めが良いと考えますが、これはあくまで机上の策。その場その場の変化こそ肝要にござりましょう」
一益は黙って頷く。尚も続く宗右衛門の話を聞きながら、
(よい軍師だ)
改めてそう思った。丹念に調べ上げた情報とそれに基づいて何度も練り直したであろう戦略。それだけならまだしも、一つ一つが一益の戦さ場での癖を加味し、好まないことを避け、心憎いまでの配慮が加えられている。幾年にも渡り、一益と滝川勢の戦闘を見て、解析してきたことの表れだ。
(まるで滝川のためにいる軍師のようではないか)
このままいけば、時代を動かす名軍師として天下に名を馳せただろう。
「上様にはお話ししたことながら、羽柴殿が兵糧攻めしている三木城、これも有岡城の次に兵糧が尽きて降伏して参りましょう。すでに大阪湾も押さえられ、本願寺はこれで孤立無援。そこで朝廷を介して和議を結ぶことで畿内は完全に織田家の元に置かれ、天下のことは定まりまする」
そこまで話すと、宗右衛門は疲れたように茶を啜り、ふぅと息を付いた。
「そなたの言う通り、この一年で天下のことは定まろう。本願寺と和睦し、五畿内に泰平が訪れたとき…」
その続きは言いたくても言えない。
その時、本当にもう、宗右衛門はこの世にいないのか。その先にある大願、日の本の統一も、共に果たすことができないのか。共に泰平の世を見ることができないのか。そう聞きたかった。
六月になり、暑い日が続いている。摂津の小屋野城では信長の使者として現れた蒲生忠三郎が、広間に通され、恭しく一礼する。
「此度の皆の働き、特に左近はまことに天晴な働きぶりと上様は大変お喜びでござりまする」
「…然様か…」
何を褒められているのか、よくわからない。この二か月ほどは目立った戦闘もなく、睨み合いが続いているだけだ。
「此度の比類なき働きにより、皆々様には上様より、鷂(はいたか)が下賜されました。…で、武藤殿は?」
この場にいる筈の武藤宗右衛門の姿が見えないので、忠三郎が首を傾げる。
「起き上がるのは難しい。上様へかようにお伝えせよ」
祝宴の日から、伏せることが多くなった宗右衛門であったが、ここ数日、長く起きていることが難しくなった。信長への定期連絡だけは欠かしていなかったようだが、それも困難になり、家臣に代筆させたようだ。筆跡を見た信長が病状を察して忠三郎を送り込んできたのだろう。
「はい…お会いすることは叶いませぬか」
忠三郎が遠慮がちに言う。信長の使者をそのまま送り返すのも躊躇われたが、無理をさせるのが分かっているだけに、会わせることはできなかった。
「上様にはその方より深くお詫び申し上げてくれぬか」
「せめて一言なりいただけると、それがしの面目も立ちまするが…」
忠三郎が食い下がる。手ぶらで帰るわけにはいかないようだ。仕方がなく、宗右衛門の部屋に行ってみることにした。
行ってみると、宗右衛門が小姓に支えられて、布団に入ったまま小袖に袖を通そうとしている。
「宗右衛門。そのような気遣いは無用。そのままでよい」
一益が止めるが、宗右衛門は聞こえていないかのように、どうにか袖を通して、襟首を正す。
「蒲生殿がお見えのようで」
忠三郎が来ると急に周りが騒がしくなる。それで気づいたようだ。
「上様から我らに鷂が下賜された。そなたを気遣ってのことであろう」
「まこと忝き処遇。かような不甲斐なき者に対して、身に余る光栄でござりまする」
「忠三郎は早、安土へ帰した。それゆえ早う横になれ」
起きているのが余程辛いと見え、苦しそうに肩で息をしている。一益が小姓の手をかり、強引に宗右衛門を寝かせると、宗右衛門がにわかに一益の腕を掴んだ。
「左近殿…花城山には未だ元服前の一子、助十郎がおりまする。どうか…」
「何も案ずるな。ようわかっておる」
志半ばにして儚く散る無念はいかばかりであろうか。さぞや口惜しい思いをしているのだろうとおもんばかると、宗右衛門は一益を見て弱弱しく笑う。
「今頃は敦賀では田に水をいれておるころ」
遠くを見るような目をしている。宗右衛門にはかつて見た故国の初夏の田園が見えているのだろうか。
「毎年、気比の宮では御田植祭りがあり、その後、家中総出で田を植え、秋の実りを皆で待っており申した」
半農半士であるのは何も足軽身分の者に限ったことではない。国衆の家臣の多くは貧しく、百姓をして生計をたてていると聞いたことがある。武藤宗右衛門も、織田家に取り立てられる前は田畑を耕していたのだろう。
「一介の浪人から身を起こし、己の持てる力で織田家の重臣となって天下に名を馳せた滝川左近殿。貴殿にあやかりたく、織田家にお仕えして以来、ずっと左近殿の背中を見て歩んで参りました。鎌倉幕府以来の坂東武者を抑え、従えることができるのは、左近殿ただ一人。それがしもいつか、左近殿とともに城介様を支え、来るべき武田攻め、そして東国にいるあまたの諸侯を従える左近殿のお姿を見たい。左近殿と供に戦国を終わらせ、戦さのなき世を見たいと願いつつ…。今となっては、もはやそれも叶わぬ夢となり、後はただ空しく朽ち果てるのみ。しかしこれも天命。語り継がれる名はなくとも、滝川家の縁戚となり、こうして左近殿と共に過ごせたことは真に我が身には過ぎたる最期でござりまする」
言い終えた後の微笑は、安らぎに満ちていた。
宗右衛門は満足そうに言うと、疲れたように目を閉じた。
(そんな先のことまで見通していたのか)
東国の取次は佐久間信盛と一益が任されており、信忠とともに武田を征したのちは、一益が東国支配を取り仕切ることになっている。宗右衛門はそれを知っていて、東国を束ねる一益を助けたいと思ってくれていたのだ。
(そなたがいてくれれば…どれほど心強いか…)
一益にとっては、織田家中で武藤宗右衛門ほど頼りになる存在はいない。東国支配を途中で三九郎に引き継いでも、宗右衛門がいてくれれば、何の心配もいらないだろう。
「それでもそなたは、逝ってしまうのか」
静かに眠る宗右衛門に、そう語りかけずにはいられない。今まさに宗右衛門の命の灯が消え去ろうとしている中にあっても、引き戻したい思いに駆られていた。
武藤宗右衛門が世を去ったのは、七月三日。とても暑い夏の日だった。一益は安土に知らせを送ったのち、宗右衛門の髻を切り、懐紙に包むと生前の願い通り荼毘に付した。
忠三郎が姿を現したのは、その日の夕方。
「随分と早いな。わしが知らせる前に、誰かが知らせておったか」
「はい。義太夫から知らせを受けておりました」
見ると忠三郎は鈍色の着物を身にまとっている。
(三九郎が言っていた平安貴族とはこういうことか)
滅多に目にするものではないが、室町・戦国においても、一部の風流人と呼ばれるものたちは弔事に鈍色の着物を着る。その悲しみが深いほど、色の濃い着物を着ると聞いたことがある。
(驚いておったな)
ふと思い出して笑うと、忠三郎が首を傾げる。
「義兄上?」
「いや…にしても、宗右衛門は、何故に義太夫を選んだのか、すっかり聞きそびれた」
一益の血縁であれば、甥の佐治新介でも、従兄弟の道家彦八郎でもよかった筈だが。
「義兄上はお分かりにならなかったと見える」
黙って聞いていた忠三郎が意外そうに笑った。
「わしが最も信頼している家人が義太夫であると、宗右衛門がそう話したと聞き及んだが」
「それは義太夫が言うたことでは?そのような、たわけたことを宗右衛門殿が本気で言うとは思えませぬ」
やはりそうなのか。義太夫からその話を聞いた時、なんとも解せない話だと首をひねったのだが。
「そなたには宗右衛門が何を考え、義太夫を己が妹の婿としたのか、分かるのか」
忠三郎が常の笑顔で、はいと答える。
「義太夫は義兄上にとっては弱みといいましょうか、泣き所でござります。義兄上は兎角、義太夫には甘く、何をしても厳しい処罰をくだすことはない。宗右衛門殿は義太夫が義兄上の足を引っ張ってばかりおるゆえ、義太夫を御するため、ご自分の妹を嫁がせたのでござりましょう」
それだ。義太夫を御するため、なのだ。なんとも言い得て妙だが、宗右衛門は滝川家を、そして一益をとてもよく観察していた。
『ずっと左近殿の背中を見て歩んで参りました』
宗右衛門はそう言っていた。誰よりも一益をよく見ていた宗右衛門は、一益が長年、義太夫に手を焼いていることに気づき、なんとか助けたいと考え、自分の妹を嫁がせたのだ。
(不可思議なことと思うておれば…)
義太夫は、一益が一番信頼しているのが義太夫だからだと、玉姫がそう言っていたと話した。そんな与太話を鵜呑みにして自慢げに報告してくる義太夫にも呆れたが、話を聞いた時に、何か裏があると思っていた。しかし、まさか、義太夫の婚儀の話が、宗右衛門の心憎いばかりの配慮とは。
いや、そればかりではない。他にも、腑に落ちないことがあった。
「そうか…そうであったか…」
今、ようやく気づいた。宗右衛門が信長に願い出て、無理をおして戦場に留まったわけが。
宗右衛門はこの戦さの最中もずっと病の身をおして、一益を助けるために、敵の動きを調べ、戦略を練り、それを教えた。更には、
(上様からの|鷂の下賜…)
信長からのお褒めの言葉。何をもって褒められたか、全くの謎だった。
(宗右衛門か…あやつが上様にわしの働きを伝えていたから)
摂津に来てからの一連の行動は全て、一益のためだった。
(あやつは最期の最期まで、このわしを助けるために戦場にとどまったのか)
宗右衛門が命を削ってまで一益のために働いていたことに、今の今まで気づかなかったとは。
「迂闊であった」
気づくと知らぬ間に辺りはすっかり暗くなり、空には星が瞬いている。
「義兄上、あれを…」
忠三郎が何かに気づいて声をあげる。見ると、草むらで小さく光るものがいくつもある。
「蛍か」
鳴く声も聞こえぬものの悲しきは
忍びに燃ゆる蛍なりけり
「声なき光で人の心をうつ蛍。不思議なことに死してなお、光り続けるとか」
「死してなお、光続ける…」
宗右衛門を思わせる儚い光に、しばしのとき、目を奪われる。
「にしても…かような場所に蛍とは…?」
忠三郎が傍らの町野長門守を顧みて、二人で首をひねっている。
「確かに鶴の言う通りじゃ。昨日までは…違うていたような…」
水辺でもないのに、そこここで蛍が乱舞している。
蛍の光に照らされた二人を見て、一益がふと気づき、
「長門守、助太郎は如何いたした?」
助太郎の姿が見えない。忠三郎は、一益に言われて初めて気づいた様子で、
「道中、共に来ていた筈じゃが…。長門?」
「なにやら滝川ご家中の方々とともに、ここへ来る途中の河原に行くというて、義太夫殿に駆り出されて行きましたが、将監様は存じておられることと思うておりました」
「義太夫が?」
また何をはじめたのかと怪しんでいると、忠三郎が草むらを見て人影に気づく。
「そなた彦次郎であろう。何をしておる」
暗闇でよく見えないが、木全彦次郎のようだ。彦次郎は手に何かを持っている。やがて、そこから淡く光るものが広がった。
「これは…」
彦次郎が捕まえてきた蛍だ。
草むらの闇に、ぽつり、ぽつりと淡い光が灯る。
それは次第にひろがり、やがて幾筋もの光となって宵の闇を漂った。
(さては義太夫が…)
忠三郎もそれに気づいた様子で、可笑しそうに笑う。
「なんとも義太夫らしい。義太夫は義兄上が悲しんでおられる姿を見て、お慰めしようと懸命に蛍を捕まえておるようで。したが、そろそろ止めなければ蛍だらけになりましょう」
義太夫の笑い声が、夜風にまじって遠くかすれた。
おぼつかない手つきで、せっせと蛍を捕まえている姿が目に浮かび、可笑しさがこみあげてくる。
「義太夫らしい」
的外れな時が多々あるものの、義太夫はいつも、多くを語らない一益の心の内を察してくれる。案外、宗右衛門は本気で義太夫を、一益が一番信頼している家臣と言ったのかもしれない。
「宗右衛門の言うこと、最もかもしれぬな。そこまで我らを見抜いていたのだとすると、まことに侮れぬ奴よ」
一益が珍しく声をあげて笑うので、忠三郎が驚いて顔をあげる。
「滝川家に繋がる者はみな、曲者でござりますゆえ」
暗がりで、蛍の光に微かに照らし出される一益の目に光るものが見えた。忠三郎はそれとは気づかぬように、さりげなく視線をそらして蛍の明かりに目をやった。
蛍の光が淡く揺れ、草むらを漂う。
ひとつ、またひとつと宙に浮かび、闇に消え入りそうでありながら、なお瞬き続けていた。
その儚さは、宗右衛門の生きざまを映しているかのようであった。
「声もなく、ただ光を放つ…。これほどに人の心を打つものか」
一益は蛍の群れを見つめながら、かすかに口にした。
それは死してなお、静かに人の胸に残る光であった。
風が一筋、草を渡る。
——そして、一益はそっと目を閉じる。
「まこと、そなたこそ、三国一の軍師よ」
その声は風に溶け、蛍の光の中へ消えていった。
「ちと、堺へ行ってまいります。明日には戻りますゆえ、ここをお頼み申し上げる」
そう言って従者を連れて城を後にした。
宗右衛門はこの戦が始まって以来、一度として戦場を離れたことがない。その彼が、わざわざ行き先を告げて出立するとは――まるで「後を追え」と言わんばかりだ。しかも物資は先日仕入れたばかり。いったい何の用があるというのか。
(宗右衛門…何を隠しておる)
ふと昨日の信長の姿が脳裏によみがえる。深紅のマントを翻しながら現れ、「大事ないか」と問うたあの声音。あれは叱責ではなく、案じる響きであった。
(疑っていたのではない…案じていたのか)
信長が自ら摂津にまで足を運んだのは、誰かを見届けるため。――そしてその「誰か」とは、武藤宗右衛門にほかなるまい。
翌日、宗右衛門は何事もなかったかのように、言葉通り戻って来た。
「どなたか、後をつけて来られるかと思いましたが、どなたもお出でではありませなんだな」
宗右衛門が笑って言う。
「知りたきことあらば、直接聞けと言うたは、その方であろう」
一益がぶっきらぼうにそう言ったので、宗右衛門が頭を下げる。
「ご無礼の段、お許しあれ」
「いや、そうではなく…」
不機嫌なのは、宗右衛門が笑ったことが原因ではない。何を隠していて、どこへ行って来たのか、おおよその検討がついたからだ。
「わしに隠し立てしておったな」
探るようにそう言うと、宗右衛門は悪びれるでもなく、静かに、はいと答えたので、一益は人払いして襖を全て閉めさせた。
「薬か」
「はい。さすがは左近殿。お察しでしたか」
いずれは気づかれると思っていたようだ。宗右衛門は平然とそう答える。
「顔色を見ていればわかる。わざわざ薬を取りに堺に行く程の大事であれば、ここは我らに任せ、少し養生して参れ。上様もお咎めにはならぬじゃろう」
ここ数か月で、宗右衛門は明らかにやつれている。平静を装って見えるが、日に日に衰え、ここ数日は階段を上るときも辛そうに見えた。
「いえ。上様からも養生せよと再三言われて参りましたが、もはや何をしても詮無きこと。この上はどうか、武人らしく戦場で死なせてくだされ」
宗右衛門が絞り出すような声で懇願する。
(そこまで悪いのか)
一益が何も言えなくなったのを見ると、宗右衛門が有岡城の見取り図を取り出して目の前に広げる。
「それがしに残された時は短く、有岡城の兵糧が尽きるのを見ることは叶わぬでしょう。いにしえより、鳥のまさに死なんとする、その鳴くや哀し。人のまさに死なんとする、その言うや善し、と申します。陣を敷いてからこれまでの間で調べ上げたこと、立ててきた戦略、全て、左近殿に託しとうござりまする。どうかお聞き届けくだされたい」
その言葉が、なにより宗右衛門自身の覚悟を語っていた。
あと半年もあれば兵糧は尽きると思われた。しかし宗右衛門の命はわずか半年ももたないと、そう言っている。
(それが分かっていたから、強引に義太夫との婚儀の話を進めたのか)
白羽の矢を立てたのが義太夫だったことはいささか不可解であるが、一益や義太夫に断る隙を与えずに話を進めたかったようだ。
(なるほど。それで、頑固者か)
床に就いたまま死を待つよりも、燃え尽きるまで戦場にいたいと、そう願い出たのだろう。そして信長は、宗右衛門の最期の願いを聞き届け、一益の傍に置いた。
「そこまで言うのであれば…聞こうではないか。武藤宗右衛門の軍略を」
一益にそう言われ、宗右衛門は嬉しそうに頷き、右手に扇子を持つ。
懐から見取り図を広げ、扇の先で一点を示した。
「兵糧が尽きてきた頃合いを見て、ここ――町屋の裏手を開け、町人や雑兵を逃がしてくだされ。人が減れば、降伏を促す好機となりましょう」
次に扇を北へ滑らせる。
「ただし、北側はご用心あれ。外から見れば急所に見えまする。されど摂津守は岸の砦を築き、渡辺勘太夫を置いております。ここは鉄壁。調略はまず叶いませぬ」
さらに指先を動かし、別の砦を叩く。
「攻めどころは、この上﨟塚砦。守将・中西新八郎は池田家の出で、摂津守とは折り合いが悪い。助命を約せば降るやもしれませぬ。かの者が説けば、配下も呼応して門を開きましょう」
宗右衛門の声は弱々しいが、言葉の一つ一つは刃のごとく冴えていた。
(よくぞここまで…)
一益は胸の内で感嘆した。
宗右衛門はさらに扇を動かし、最後の砦を示した。
「残るは鵯塚と本丸。鵯塚は容易には落ちませぬ。金堀攻めが良いと考えますが、これはあくまで机上の策。その場その場の変化こそ肝要にござりましょう」
一益は黙って頷く。尚も続く宗右衛門の話を聞きながら、
(よい軍師だ)
改めてそう思った。丹念に調べ上げた情報とそれに基づいて何度も練り直したであろう戦略。それだけならまだしも、一つ一つが一益の戦さ場での癖を加味し、好まないことを避け、心憎いまでの配慮が加えられている。幾年にも渡り、一益と滝川勢の戦闘を見て、解析してきたことの表れだ。
(まるで滝川のためにいる軍師のようではないか)
このままいけば、時代を動かす名軍師として天下に名を馳せただろう。
「上様にはお話ししたことながら、羽柴殿が兵糧攻めしている三木城、これも有岡城の次に兵糧が尽きて降伏して参りましょう。すでに大阪湾も押さえられ、本願寺はこれで孤立無援。そこで朝廷を介して和議を結ぶことで畿内は完全に織田家の元に置かれ、天下のことは定まりまする」
そこまで話すと、宗右衛門は疲れたように茶を啜り、ふぅと息を付いた。
「そなたの言う通り、この一年で天下のことは定まろう。本願寺と和睦し、五畿内に泰平が訪れたとき…」
その続きは言いたくても言えない。
その時、本当にもう、宗右衛門はこの世にいないのか。その先にある大願、日の本の統一も、共に果たすことができないのか。共に泰平の世を見ることができないのか。そう聞きたかった。
六月になり、暑い日が続いている。摂津の小屋野城では信長の使者として現れた蒲生忠三郎が、広間に通され、恭しく一礼する。
「此度の皆の働き、特に左近はまことに天晴な働きぶりと上様は大変お喜びでござりまする」
「…然様か…」
何を褒められているのか、よくわからない。この二か月ほどは目立った戦闘もなく、睨み合いが続いているだけだ。
「此度の比類なき働きにより、皆々様には上様より、鷂(はいたか)が下賜されました。…で、武藤殿は?」
この場にいる筈の武藤宗右衛門の姿が見えないので、忠三郎が首を傾げる。
「起き上がるのは難しい。上様へかようにお伝えせよ」
祝宴の日から、伏せることが多くなった宗右衛門であったが、ここ数日、長く起きていることが難しくなった。信長への定期連絡だけは欠かしていなかったようだが、それも困難になり、家臣に代筆させたようだ。筆跡を見た信長が病状を察して忠三郎を送り込んできたのだろう。
「はい…お会いすることは叶いませぬか」
忠三郎が遠慮がちに言う。信長の使者をそのまま送り返すのも躊躇われたが、無理をさせるのが分かっているだけに、会わせることはできなかった。
「上様にはその方より深くお詫び申し上げてくれぬか」
「せめて一言なりいただけると、それがしの面目も立ちまするが…」
忠三郎が食い下がる。手ぶらで帰るわけにはいかないようだ。仕方がなく、宗右衛門の部屋に行ってみることにした。
行ってみると、宗右衛門が小姓に支えられて、布団に入ったまま小袖に袖を通そうとしている。
「宗右衛門。そのような気遣いは無用。そのままでよい」
一益が止めるが、宗右衛門は聞こえていないかのように、どうにか袖を通して、襟首を正す。
「蒲生殿がお見えのようで」
忠三郎が来ると急に周りが騒がしくなる。それで気づいたようだ。
「上様から我らに鷂が下賜された。そなたを気遣ってのことであろう」
「まこと忝き処遇。かような不甲斐なき者に対して、身に余る光栄でござりまする」
「忠三郎は早、安土へ帰した。それゆえ早う横になれ」
起きているのが余程辛いと見え、苦しそうに肩で息をしている。一益が小姓の手をかり、強引に宗右衛門を寝かせると、宗右衛門がにわかに一益の腕を掴んだ。
「左近殿…花城山には未だ元服前の一子、助十郎がおりまする。どうか…」
「何も案ずるな。ようわかっておる」
志半ばにして儚く散る無念はいかばかりであろうか。さぞや口惜しい思いをしているのだろうとおもんばかると、宗右衛門は一益を見て弱弱しく笑う。
「今頃は敦賀では田に水をいれておるころ」
遠くを見るような目をしている。宗右衛門にはかつて見た故国の初夏の田園が見えているのだろうか。
「毎年、気比の宮では御田植祭りがあり、その後、家中総出で田を植え、秋の実りを皆で待っており申した」
半農半士であるのは何も足軽身分の者に限ったことではない。国衆の家臣の多くは貧しく、百姓をして生計をたてていると聞いたことがある。武藤宗右衛門も、織田家に取り立てられる前は田畑を耕していたのだろう。
「一介の浪人から身を起こし、己の持てる力で織田家の重臣となって天下に名を馳せた滝川左近殿。貴殿にあやかりたく、織田家にお仕えして以来、ずっと左近殿の背中を見て歩んで参りました。鎌倉幕府以来の坂東武者を抑え、従えることができるのは、左近殿ただ一人。それがしもいつか、左近殿とともに城介様を支え、来るべき武田攻め、そして東国にいるあまたの諸侯を従える左近殿のお姿を見たい。左近殿と供に戦国を終わらせ、戦さのなき世を見たいと願いつつ…。今となっては、もはやそれも叶わぬ夢となり、後はただ空しく朽ち果てるのみ。しかしこれも天命。語り継がれる名はなくとも、滝川家の縁戚となり、こうして左近殿と共に過ごせたことは真に我が身には過ぎたる最期でござりまする」
言い終えた後の微笑は、安らぎに満ちていた。
宗右衛門は満足そうに言うと、疲れたように目を閉じた。
(そんな先のことまで見通していたのか)
東国の取次は佐久間信盛と一益が任されており、信忠とともに武田を征したのちは、一益が東国支配を取り仕切ることになっている。宗右衛門はそれを知っていて、東国を束ねる一益を助けたいと思ってくれていたのだ。
(そなたがいてくれれば…どれほど心強いか…)
一益にとっては、織田家中で武藤宗右衛門ほど頼りになる存在はいない。東国支配を途中で三九郎に引き継いでも、宗右衛門がいてくれれば、何の心配もいらないだろう。
「それでもそなたは、逝ってしまうのか」
静かに眠る宗右衛門に、そう語りかけずにはいられない。今まさに宗右衛門の命の灯が消え去ろうとしている中にあっても、引き戻したい思いに駆られていた。
武藤宗右衛門が世を去ったのは、七月三日。とても暑い夏の日だった。一益は安土に知らせを送ったのち、宗右衛門の髻を切り、懐紙に包むと生前の願い通り荼毘に付した。
忠三郎が姿を現したのは、その日の夕方。
「随分と早いな。わしが知らせる前に、誰かが知らせておったか」
「はい。義太夫から知らせを受けておりました」
見ると忠三郎は鈍色の着物を身にまとっている。
(三九郎が言っていた平安貴族とはこういうことか)
滅多に目にするものではないが、室町・戦国においても、一部の風流人と呼ばれるものたちは弔事に鈍色の着物を着る。その悲しみが深いほど、色の濃い着物を着ると聞いたことがある。
(驚いておったな)
ふと思い出して笑うと、忠三郎が首を傾げる。
「義兄上?」
「いや…にしても、宗右衛門は、何故に義太夫を選んだのか、すっかり聞きそびれた」
一益の血縁であれば、甥の佐治新介でも、従兄弟の道家彦八郎でもよかった筈だが。
「義兄上はお分かりにならなかったと見える」
黙って聞いていた忠三郎が意外そうに笑った。
「わしが最も信頼している家人が義太夫であると、宗右衛門がそう話したと聞き及んだが」
「それは義太夫が言うたことでは?そのような、たわけたことを宗右衛門殿が本気で言うとは思えませぬ」
やはりそうなのか。義太夫からその話を聞いた時、なんとも解せない話だと首をひねったのだが。
「そなたには宗右衛門が何を考え、義太夫を己が妹の婿としたのか、分かるのか」
忠三郎が常の笑顔で、はいと答える。
「義太夫は義兄上にとっては弱みといいましょうか、泣き所でござります。義兄上は兎角、義太夫には甘く、何をしても厳しい処罰をくだすことはない。宗右衛門殿は義太夫が義兄上の足を引っ張ってばかりおるゆえ、義太夫を御するため、ご自分の妹を嫁がせたのでござりましょう」
それだ。義太夫を御するため、なのだ。なんとも言い得て妙だが、宗右衛門は滝川家を、そして一益をとてもよく観察していた。
『ずっと左近殿の背中を見て歩んで参りました』
宗右衛門はそう言っていた。誰よりも一益をよく見ていた宗右衛門は、一益が長年、義太夫に手を焼いていることに気づき、なんとか助けたいと考え、自分の妹を嫁がせたのだ。
(不可思議なことと思うておれば…)
義太夫は、一益が一番信頼しているのが義太夫だからだと、玉姫がそう言っていたと話した。そんな与太話を鵜呑みにして自慢げに報告してくる義太夫にも呆れたが、話を聞いた時に、何か裏があると思っていた。しかし、まさか、義太夫の婚儀の話が、宗右衛門の心憎いばかりの配慮とは。
いや、そればかりではない。他にも、腑に落ちないことがあった。
「そうか…そうであったか…」
今、ようやく気づいた。宗右衛門が信長に願い出て、無理をおして戦場に留まったわけが。
宗右衛門はこの戦さの最中もずっと病の身をおして、一益を助けるために、敵の動きを調べ、戦略を練り、それを教えた。更には、
(上様からの|鷂の下賜…)
信長からのお褒めの言葉。何をもって褒められたか、全くの謎だった。
(宗右衛門か…あやつが上様にわしの働きを伝えていたから)
摂津に来てからの一連の行動は全て、一益のためだった。
(あやつは最期の最期まで、このわしを助けるために戦場にとどまったのか)
宗右衛門が命を削ってまで一益のために働いていたことに、今の今まで気づかなかったとは。
「迂闊であった」
気づくと知らぬ間に辺りはすっかり暗くなり、空には星が瞬いている。
「義兄上、あれを…」
忠三郎が何かに気づいて声をあげる。見ると、草むらで小さく光るものがいくつもある。
「蛍か」
鳴く声も聞こえぬものの悲しきは
忍びに燃ゆる蛍なりけり
「声なき光で人の心をうつ蛍。不思議なことに死してなお、光り続けるとか」
「死してなお、光続ける…」
宗右衛門を思わせる儚い光に、しばしのとき、目を奪われる。
「にしても…かような場所に蛍とは…?」
忠三郎が傍らの町野長門守を顧みて、二人で首をひねっている。
「確かに鶴の言う通りじゃ。昨日までは…違うていたような…」
水辺でもないのに、そこここで蛍が乱舞している。
蛍の光に照らされた二人を見て、一益がふと気づき、
「長門守、助太郎は如何いたした?」
助太郎の姿が見えない。忠三郎は、一益に言われて初めて気づいた様子で、
「道中、共に来ていた筈じゃが…。長門?」
「なにやら滝川ご家中の方々とともに、ここへ来る途中の河原に行くというて、義太夫殿に駆り出されて行きましたが、将監様は存じておられることと思うておりました」
「義太夫が?」
また何をはじめたのかと怪しんでいると、忠三郎が草むらを見て人影に気づく。
「そなた彦次郎であろう。何をしておる」
暗闇でよく見えないが、木全彦次郎のようだ。彦次郎は手に何かを持っている。やがて、そこから淡く光るものが広がった。
「これは…」
彦次郎が捕まえてきた蛍だ。
草むらの闇に、ぽつり、ぽつりと淡い光が灯る。
それは次第にひろがり、やがて幾筋もの光となって宵の闇を漂った。
(さては義太夫が…)
忠三郎もそれに気づいた様子で、可笑しそうに笑う。
「なんとも義太夫らしい。義太夫は義兄上が悲しんでおられる姿を見て、お慰めしようと懸命に蛍を捕まえておるようで。したが、そろそろ止めなければ蛍だらけになりましょう」
義太夫の笑い声が、夜風にまじって遠くかすれた。
おぼつかない手つきで、せっせと蛍を捕まえている姿が目に浮かび、可笑しさがこみあげてくる。
「義太夫らしい」
的外れな時が多々あるものの、義太夫はいつも、多くを語らない一益の心の内を察してくれる。案外、宗右衛門は本気で義太夫を、一益が一番信頼している家臣と言ったのかもしれない。
「宗右衛門の言うこと、最もかもしれぬな。そこまで我らを見抜いていたのだとすると、まことに侮れぬ奴よ」
一益が珍しく声をあげて笑うので、忠三郎が驚いて顔をあげる。
「滝川家に繋がる者はみな、曲者でござりますゆえ」
暗がりで、蛍の光に微かに照らし出される一益の目に光るものが見えた。忠三郎はそれとは気づかぬように、さりげなく視線をそらして蛍の明かりに目をやった。
蛍の光が淡く揺れ、草むらを漂う。
ひとつ、またひとつと宙に浮かび、闇に消え入りそうでありながら、なお瞬き続けていた。
その儚さは、宗右衛門の生きざまを映しているかのようであった。
「声もなく、ただ光を放つ…。これほどに人の心を打つものか」
一益は蛍の群れを見つめながら、かすかに口にした。
それは死してなお、静かに人の胸に残る光であった。
風が一筋、草を渡る。
——そして、一益はそっと目を閉じる。
「まこと、そなたこそ、三国一の軍師よ」
その声は風に溶け、蛍の光の中へ消えていった。
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