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2章 第三騎士団
1 始まりの朝
目が覚める。
隣りでは、アシェが静かに寝息をたてて眠っていた。あれから、1週間。
少しずつここの暮らしに慣れてきてはいたが、未だ涙を流すことは多い。
アシェをベッドに寝かせ、仕事をしていると、泣きながら眠っていることに気が付いた。
さすがに見ていられなくて、一緒に眠ってやると、アシェが泣きながら眠ることは、次第に減っていった。
それ以来隣りで眠っている。
しばらく新しい部屋は空かないだろう。
ベッドは広いし、隣りで寝ていても何の問題もない。
「ヴァルドさん」
「よく眠っていたな。おはよう」
「お、はよう……」
ぼんやりと眼を開き、アシェはオレのシャツをきゅっと握った。
「起きたらね。
ヴァルドさんがいるの、すごく嬉しいんだ。夢を見てるみたい」
アシェはまだ10歳。
ずっと寂しかったのだろう。
「夢ではない。
ずっと、一緒に居てやる」
頭を撫でて胸元に抱き寄せてやる。
……まだしばらく、一緒に眠る日々が続きそうだな。
もう少し、こうしていたいところだが仕事の時間だ。
「アシェはまだゆっくり眠っていていいぞ」
「ううん。目が覚めたよ」
パッとベッドから降りて、早速着替えようとしている。クローゼットを開けた。
彼にはオレのクローゼットを半分使わせているが、まだ騎士団員用の部屋着しかない。早くこのクローゼットを埋めてやりたい。
「着替えたら食堂に行くぞ」
「はい」
何にでも、はいと返事をするのはアシェの癖だ。義母にそうするように言われていたのだろう。少しずつ気を張らなくても良いと伝えられたらいいが。
「アシェ」
着替え終えたアシェを引き寄せる。
「わ。なあに?」
「裾が捲れている」
「わわっありがとう」
軽く裾を直してやる。
騎士団の部屋着は小さいサイズでもまだ大きかったようだ。しかしいずれ身体は成長するだろう。
「朝食に行くぞ」
「はい」
少しずつ。ここが安心できる場所だと教えてやりたい。軽く背中を押して、2人で食堂へと向かった。
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