傷物令嬢って私のことですか?

ルーキッドアン

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「ガルシュ辺境伯」の名は直ぐに見つかった。
王家より信頼厚い当主サイモンの射貫く様な瞳が印象的な絵姿であった。
そして備考欄には未だに残念で堪らない事だが
セシリアの逝去した年月日だけが記されていた。

当主サイモンに続いて嫡男ランディ、次男ネイサン、そして末っ子のブライオニー。
二人の息子は麗しい、逞しい絵姿があったが一人娘のブライオニーは名前と生年月日のみ記載があり、絵姿は無かった。


「ブライオニー...」思わず声が出ていた。
どの様な令嬢なのだろう。何故、絵姿がないのであろう。
とっくに社交界デビューしている歳であるのに絵姿が無いとは...サイモン殿はデビュタントをさせていないのか...で、有るならば何か事情が有るのか。


兎も角、自分の出身門下の誰かとセシリア様の血筋とを繋げられないだろうか。
親戚筋の未婚者は...と顔ぶれを思い出しながら指がランディの絵姿の上を滑る。
王都にいる令息より美しい青年だと思った。
学生時代、冗談半分で男装したセシリア様に似ている。
「ランディ...良いわ...」
学園時代のときめきが蘇るようであった。
しかし常識が否と頬を打つ。
嫡男は無理、絶対に。
既に辺境伯領で領地の運営も行っている非才の嫡男だと言うではないか。
次男だって辺境の砦では大切な後継者であろう。
常に戦と隣り合わせの地にあってサイモン殿は何故、後添えを迎えてもっと子を成さなかったのかしら...
でもセシリア様の後だなんて誰だって霞むわよね...

マリアンヌは独り言ちながら「女の子ならばね」と絵姿の無いブライオニーの名を指の先でなぞった。
再び思う...どんな令嬢なのだろう。
セシリア様に似ているならば尚素敵だわ。
ガルシュ家唯一の息女を王都に呼ぶべく手を打つことにした。



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