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第11話 顔合わせ
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――これが…トマスのお兄さんで英雄…?
そして…年上にも見えなかった。随分と…若そうに見えたのだ。
私が24歳でトマスが確か26か27歳だったはずだ…。つまりその上という事になるのだが、彼はそう見えなかった。
そして、私はもっと歳の離れた人を想像していたのだ。
確か、英雄『金獅子』の在任期間は『二十年前から十年前』だったはずだ。外見を考慮すれば、彼は随分若い頃から英雄をやっていたという事になる。彼を30歳と仮定するとしても10歳から英雄をしていた事になってしまう。もしかしたら見かけによらないだけなのかも知れないが…。
「兄さん紹介するよ、妻になるメアだ!」
トマスは喜びの表情で私を紹介する。
「…初めまして、僕はトマスの兄でレオンだよ、よろしくね」
彼は幼さの残る顔に、トマスとは対照的な明るい翠目が特徴的だった。そして、にっこりと私に微笑みながらそう言った。
「お、お初にお目にかかります、わたくしはメアと申します、お義兄様」
私はイメージが違いすぎて少々呆気に取られていたが、付け焼刃の貴族知識で仕草を取りながらそう返答した。
「…これから家族になるからね、家ではあまり仰々しくなくて良いよ」
……何とも言えなかった…。彼は事前の想像とは全くかけ離れていた。英雄らしくも、そして貴族らしくもなかった。
――本物かしら? いや偽物を用意してどうするのよ…。
私は彼のあまりの普通っぷりに拍子抜けしながらも、そんな訳の分からない失礼な事を考えていた。
「それで、この子が娘のサラだ」
トマスはサラの背中を軽く押し、紹介する。
するとレオン…お義兄様は少し屈んでサラに目線を合わせ。
「初めまして、サラちゃん。僕はレオン伯父さんだよ。」
そう言いながら微笑んだ。
「あ…うっ…えっと…」
「…?」
サラはお義兄様を前にして何やらしどろもどろになっていた。
「ハハ…サラは兄さんに緊張しているようだ」
「? そうなのかい?」
「どうやら娘は兄さんに…英雄に会いたがっていたみたいでね」
「そう、なのか…」
喜びながらそう語るトマスに対して、お義兄様は何故か複雑そうな顔をしていた。
「それにしても…トマスに婚約者どころか、こんな大きな子が出来ているとはな…」
「そりゃそうだよ! 兄さんあれからもう十年だよ」
「それもそうか…」
お義兄様は少し落ち込んだ表情をしていた。
――そういえば…この十年間、お義兄様は何をしていたのだろう…。
話を聞く限り、やはりこの十年会っていないような口ぶりだ。
私には気がかりな…いや、トマスに問いただしたい事が山ほどあったのだ。
確か『金獅子』含む元・五英雄は、国の発表では全員十年前に引退して世代交代していたはずなのである。
だが、トマスは言っていた。当主である父と長子である兄は、十年前の厄災掃討戦で死亡していると…。しかも、兄が五英雄だったなどと私達は聞いてはいなかったのだ。
これは一体どういう事なのだろうか…。それについてトマスに聞いても『家についてから…』の一点張りだった。
「――うん…?? つまり、十年近く先送りにしてたって事か…?」
「えっと…ハハ、そうなんだよ」
「それで結婚式はいつにするんだ? まだ何もしてないって事だろう?」
私が色々考えている内に二人は話を続けている。
どうやら私とトマスの式について話をしているようだ。
「まあ、だから早めにしたくてね。急だけど一月後を予定してるよ」
トマスは少しバツの悪そうな顔をしながらそう答えた。
「……いや、さすがに急すぎないか? 準備は間に合うのか?」
「……その辺は一応伝手があってね。それに、大々的にはやらないつもりだから…」
「そう、か…まあ何か手伝える事があったら、何でも言ってくれ」
「ありがとう、兄さん」
――結婚式、か…。
私は二人の会話を聞きながら今後について少し考えた。
トマスは未だに誰とも結婚していなかった。私に遠慮していたのか、家を建て直していたのか、はたまた相手が見つからなかったのかは分からないが…。
そういう意味では痴情のもつれなども心配はないだろう。
ふと、娘のサラの方を見る。娘は何やらぼーっとしていた…。
サラの今後を考えれば、実の父であるトマスと結婚する方がいいと私は思っていた。
この屋敷は王都でも頑丈な城壁に加えて、兵士達が多数駐留する地区にあるから、襲撃をそう簡単に受ける事もないだろう。さらに今までできなかった贅沢もさせて上げられるだろうと…。
だが、これから貴族の一員になる…というのはやはり不安であった。
しかも、一月後とはあまりにも急すぎる。
これには日数的な問題もあるが、実は先日の魔物の襲撃の件もあり、少なからず貴族達は住民から突き上げを食らっている状態だったのだ。
私も人の事は言えないが、民衆と言うのは常に誰かに不満を言いたがるものだ…。
そんな中で式など挙げれば悪目立ちする可能性があったからだ。
「おっとすまない、もう少し話したい所だが…時間のようだ」
「そうか、もうそんな時間か…」
そんな事を考えていると、お義兄様は急にそう話を切り上げる。
「それじゃあね、トマス。二人もまた今度」
そういってお義兄様は名残惜しそうにしながら、部屋から退出した。
そして…年上にも見えなかった。随分と…若そうに見えたのだ。
私が24歳でトマスが確か26か27歳だったはずだ…。つまりその上という事になるのだが、彼はそう見えなかった。
そして、私はもっと歳の離れた人を想像していたのだ。
確か、英雄『金獅子』の在任期間は『二十年前から十年前』だったはずだ。外見を考慮すれば、彼は随分若い頃から英雄をやっていたという事になる。彼を30歳と仮定するとしても10歳から英雄をしていた事になってしまう。もしかしたら見かけによらないだけなのかも知れないが…。
「兄さん紹介するよ、妻になるメアだ!」
トマスは喜びの表情で私を紹介する。
「…初めまして、僕はトマスの兄でレオンだよ、よろしくね」
彼は幼さの残る顔に、トマスとは対照的な明るい翠目が特徴的だった。そして、にっこりと私に微笑みながらそう言った。
「お、お初にお目にかかります、わたくしはメアと申します、お義兄様」
私はイメージが違いすぎて少々呆気に取られていたが、付け焼刃の貴族知識で仕草を取りながらそう返答した。
「…これから家族になるからね、家ではあまり仰々しくなくて良いよ」
……何とも言えなかった…。彼は事前の想像とは全くかけ離れていた。英雄らしくも、そして貴族らしくもなかった。
――本物かしら? いや偽物を用意してどうするのよ…。
私は彼のあまりの普通っぷりに拍子抜けしながらも、そんな訳の分からない失礼な事を考えていた。
「それで、この子が娘のサラだ」
トマスはサラの背中を軽く押し、紹介する。
するとレオン…お義兄様は少し屈んでサラに目線を合わせ。
「初めまして、サラちゃん。僕はレオン伯父さんだよ。」
そう言いながら微笑んだ。
「あ…うっ…えっと…」
「…?」
サラはお義兄様を前にして何やらしどろもどろになっていた。
「ハハ…サラは兄さんに緊張しているようだ」
「? そうなのかい?」
「どうやら娘は兄さんに…英雄に会いたがっていたみたいでね」
「そう、なのか…」
喜びながらそう語るトマスに対して、お義兄様は何故か複雑そうな顔をしていた。
「それにしても…トマスに婚約者どころか、こんな大きな子が出来ているとはな…」
「そりゃそうだよ! 兄さんあれからもう十年だよ」
「それもそうか…」
お義兄様は少し落ち込んだ表情をしていた。
――そういえば…この十年間、お義兄様は何をしていたのだろう…。
話を聞く限り、やはりこの十年会っていないような口ぶりだ。
私には気がかりな…いや、トマスに問いただしたい事が山ほどあったのだ。
確か『金獅子』含む元・五英雄は、国の発表では全員十年前に引退して世代交代していたはずなのである。
だが、トマスは言っていた。当主である父と長子である兄は、十年前の厄災掃討戦で死亡していると…。しかも、兄が五英雄だったなどと私達は聞いてはいなかったのだ。
これは一体どういう事なのだろうか…。それについてトマスに聞いても『家についてから…』の一点張りだった。
「――うん…?? つまり、十年近く先送りにしてたって事か…?」
「えっと…ハハ、そうなんだよ」
「それで結婚式はいつにするんだ? まだ何もしてないって事だろう?」
私が色々考えている内に二人は話を続けている。
どうやら私とトマスの式について話をしているようだ。
「まあ、だから早めにしたくてね。急だけど一月後を予定してるよ」
トマスは少しバツの悪そうな顔をしながらそう答えた。
「……いや、さすがに急すぎないか? 準備は間に合うのか?」
「……その辺は一応伝手があってね。それに、大々的にはやらないつもりだから…」
「そう、か…まあ何か手伝える事があったら、何でも言ってくれ」
「ありがとう、兄さん」
――結婚式、か…。
私は二人の会話を聞きながら今後について少し考えた。
トマスは未だに誰とも結婚していなかった。私に遠慮していたのか、家を建て直していたのか、はたまた相手が見つからなかったのかは分からないが…。
そういう意味では痴情のもつれなども心配はないだろう。
ふと、娘のサラの方を見る。娘は何やらぼーっとしていた…。
サラの今後を考えれば、実の父であるトマスと結婚する方がいいと私は思っていた。
この屋敷は王都でも頑丈な城壁に加えて、兵士達が多数駐留する地区にあるから、襲撃をそう簡単に受ける事もないだろう。さらに今までできなかった贅沢もさせて上げられるだろうと…。
だが、これから貴族の一員になる…というのはやはり不安であった。
しかも、一月後とはあまりにも急すぎる。
これには日数的な問題もあるが、実は先日の魔物の襲撃の件もあり、少なからず貴族達は住民から突き上げを食らっている状態だったのだ。
私も人の事は言えないが、民衆と言うのは常に誰かに不満を言いたがるものだ…。
そんな中で式など挙げれば悪目立ちする可能性があったからだ。
「おっとすまない、もう少し話したい所だが…時間のようだ」
「そうか、もうそんな時間か…」
そんな事を考えていると、お義兄様は急にそう話を切り上げる。
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