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【16】刺客?
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宿に戻ってゆっくりと部屋の扉を開けると、明かりも消して2人とも寝ているようであった。
「音を立てないように……」
ゆっくりゆっくりと音を立てないように部屋の中に入る。荷物を置いて、服を着替えてベッドに横になる。どのくらいでこの街を出ようか、メレンの催眠を解くのに副作用とかあるのかなどを考えながら目をつぶっていると、昼の疲れもあったのか気が付くと眠ってしまったようだ。
ガタンッ!! という音と共に目を覚ます。
「んー? 何だ……?」
変な時間に起こされたこともあり、寝不足でぼーっとする頭を働かせながら体を起こすと、月の光に照らされたアリシアの姿がうっすらと見える。
「……どうした?」
枕もとのランプに光を灯して、部屋の中を明るくする。
「殺気を感じましたので、何者かが入ってきたかと思い拘束したのですが……。まさかメレンとは思っておりませんでした」
目線を下の方に向けると、アリシアの下でメレンがもぞもぞと動いている。
「……どういうこと?」
「分かりませんが、メレンがこれをラベオンの胸元に突き立てようとしておりました」
そう言ってアリシアはメレンに買ってあげたナイフを見せてくる。鑑定眼でメレンのことを見てみると、相変わらず催眠の文字は見えるものの、以前見たときと特に変わった所は無い。
「うーん……」
これが催眠の影響なのか、それとも催眠とはまた別の意志を持ってやったことなのか。ただ、メレンの様子はどこか変で、俺のことを注視している割には目の焦点が合っていない。それに、アリシアの下でもぞもぞと動くだけで、拘束を振りほどこうとしている意思は感じられない。
そういえば……。
魔術師ギルドでのことを思い出して、メレンの指にはめられている指輪を見てみる。
―――――――――――――――――――――――――
名前:名もなき指輪
価値:1,000ノラール
種類:指輪
付与:催眠
説明:装備者に催眠状態を付与することができる。
―――――――――――――――――――――――――
やっぱりこっちだったか。もっと早く見ておけば……。
メレンの指から指輪を外そうとしたところで手を止める。下手に素人の判断で対処しない方が良いかと考え、まずはアリシアに説明することにした。
「アリシア。実は、メレンは催眠にかかっているんだ」
「催眠ですか?」
「あぁ、前から気がついていたんだけど、――――」
俺はアリシアにメレンという名前は偽名で、本名はエリンだったということ。村を出て野宿をしているときに確認したら、状態の欄に催眠があることに気が付いたこと。その原因は恐らく指輪にあるということを伝えた。
「――――ということなんだ。黙っていて悪かった」
「そういうことだったんですね……。まぁ、ラベオンが黙っていたということは何かしら考えがあったのでしょう」
こういう時にアリシアは物分かりがよくて助かる。下手にグチグチ言われるよりかはずっと気が楽だ。
「メレ……。いえ、エリンはどうなさいますか?」
メレン呼びはやめてエリン呼びに変えるのか。じゃあ、俺もエリン呼びにするか。
「エリンは明日魔術師ギルドに連れて行って、催眠を解いてもらう予定だったんだけど……」
このままのエリンを放っておいて大丈夫かなと考えていると、
「なるほど。では、今晩は縛って拘束しておきましょう」
そう言ってアリシアは縄を取り出してエリンを縛り上げていく。エリンは相変わらず真っすぐ俺のことを見つめているが、何を考えているのか分からない。
催眠中も意識はあるのかな? 今のエリンの様子は何処かいつもと違う。まぁ、いつも不思議な感じなんだけども。
「完成です。これでもう指1本動かすことはできないでしょう」
アリシアはゆっくりと立ち上がり、手をパンパンと払った。
「う、うん。ありがとう……」
エリンは見たことない縛られ方をしている。どういう原理でそうなっているのかは分からないが、先程までもぞもぞと動いていたのが嘘かのように一切動いていない。
どこでこんな縛り方教わったんだろう……。
チラッとアリシアの方を見ると、口元だけで微笑みかけてきた。これ以上このことについて聞かない方がよさそうだ……。
「私が見張っておきますので、ラベオンは眠っていただいても大丈夫ですよ」
「本当に? 大丈夫かい?」
「お任せください。私は少しだけ眠れましたので、ラベオンは全然眠れていないでしょう?」
アリシアの言う通り全然眠れてい無い中起こされたため、頭が少しぼーっとしていた。
「それじゃあ、お言葉に甘えて眠らせてもらおうかな」
「はい。おやすみなさい」
俺はアリシアにエリンを任せることにして、ベッドに潜り込んだ。命を狙われていたというのに、自分でも驚くほど目をつぶると一瞬にして意識を失った。
「音を立てないように……」
ゆっくりゆっくりと音を立てないように部屋の中に入る。荷物を置いて、服を着替えてベッドに横になる。どのくらいでこの街を出ようか、メレンの催眠を解くのに副作用とかあるのかなどを考えながら目をつぶっていると、昼の疲れもあったのか気が付くと眠ってしまったようだ。
ガタンッ!! という音と共に目を覚ます。
「んー? 何だ……?」
変な時間に起こされたこともあり、寝不足でぼーっとする頭を働かせながら体を起こすと、月の光に照らされたアリシアの姿がうっすらと見える。
「……どうした?」
枕もとのランプに光を灯して、部屋の中を明るくする。
「殺気を感じましたので、何者かが入ってきたかと思い拘束したのですが……。まさかメレンとは思っておりませんでした」
目線を下の方に向けると、アリシアの下でメレンがもぞもぞと動いている。
「……どういうこと?」
「分かりませんが、メレンがこれをラベオンの胸元に突き立てようとしておりました」
そう言ってアリシアはメレンに買ってあげたナイフを見せてくる。鑑定眼でメレンのことを見てみると、相変わらず催眠の文字は見えるものの、以前見たときと特に変わった所は無い。
「うーん……」
これが催眠の影響なのか、それとも催眠とはまた別の意志を持ってやったことなのか。ただ、メレンの様子はどこか変で、俺のことを注視している割には目の焦点が合っていない。それに、アリシアの下でもぞもぞと動くだけで、拘束を振りほどこうとしている意思は感じられない。
そういえば……。
魔術師ギルドでのことを思い出して、メレンの指にはめられている指輪を見てみる。
―――――――――――――――――――――――――
名前:名もなき指輪
価値:1,000ノラール
種類:指輪
付与:催眠
説明:装備者に催眠状態を付与することができる。
―――――――――――――――――――――――――
やっぱりこっちだったか。もっと早く見ておけば……。
メレンの指から指輪を外そうとしたところで手を止める。下手に素人の判断で対処しない方が良いかと考え、まずはアリシアに説明することにした。
「アリシア。実は、メレンは催眠にかかっているんだ」
「催眠ですか?」
「あぁ、前から気がついていたんだけど、――――」
俺はアリシアにメレンという名前は偽名で、本名はエリンだったということ。村を出て野宿をしているときに確認したら、状態の欄に催眠があることに気が付いたこと。その原因は恐らく指輪にあるということを伝えた。
「――――ということなんだ。黙っていて悪かった」
「そういうことだったんですね……。まぁ、ラベオンが黙っていたということは何かしら考えがあったのでしょう」
こういう時にアリシアは物分かりがよくて助かる。下手にグチグチ言われるよりかはずっと気が楽だ。
「メレ……。いえ、エリンはどうなさいますか?」
メレン呼びはやめてエリン呼びに変えるのか。じゃあ、俺もエリン呼びにするか。
「エリンは明日魔術師ギルドに連れて行って、催眠を解いてもらう予定だったんだけど……」
このままのエリンを放っておいて大丈夫かなと考えていると、
「なるほど。では、今晩は縛って拘束しておきましょう」
そう言ってアリシアは縄を取り出してエリンを縛り上げていく。エリンは相変わらず真っすぐ俺のことを見つめているが、何を考えているのか分からない。
催眠中も意識はあるのかな? 今のエリンの様子は何処かいつもと違う。まぁ、いつも不思議な感じなんだけども。
「完成です。これでもう指1本動かすことはできないでしょう」
アリシアはゆっくりと立ち上がり、手をパンパンと払った。
「う、うん。ありがとう……」
エリンは見たことない縛られ方をしている。どういう原理でそうなっているのかは分からないが、先程までもぞもぞと動いていたのが嘘かのように一切動いていない。
どこでこんな縛り方教わったんだろう……。
チラッとアリシアの方を見ると、口元だけで微笑みかけてきた。これ以上このことについて聞かない方がよさそうだ……。
「私が見張っておきますので、ラベオンは眠っていただいても大丈夫ですよ」
「本当に? 大丈夫かい?」
「お任せください。私は少しだけ眠れましたので、ラベオンは全然眠れていないでしょう?」
アリシアの言う通り全然眠れてい無い中起こされたため、頭が少しぼーっとしていた。
「それじゃあ、お言葉に甘えて眠らせてもらおうかな」
「はい。おやすみなさい」
俺はアリシアにエリンを任せることにして、ベッドに潜り込んだ。命を狙われていたというのに、自分でも驚くほど目をつぶると一瞬にして意識を失った。
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