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おじさん♡落ち着きましょう
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ブレンダリー♡
私は間違えていたのです!
『リリィ』という器に『視作生』が居るのでは無いのだ。
『視作生』という慈愛に満ちた器に、私の愛しい『リリィ』が招かれおいでのだったの…
視作生が仰いました。
「リリィちゃんは、貴女が好きだったんだね」
…リリィは、男性型のΩでした。
可愛い視作生と、同じでいらしたわ。
けれど、そんな事!
私は考えもしなかった。
視作生は、さらに仰いました。
「ただの好きじゃない。貴女に恋をしていたんだ」
だから、私を守ったの!
なんと愚かな事をなすったのだ。
リリィ、リリィ…
私の愛しいひと。
私はあなた恋しさのあまり、まなこを曇らせてしまっておりました。
セバスティアンが視作生を見つけ、番いとなった事実について…
西欧の見解はこうでした。
『西欧のリリィ』が東洋の島国に現れた。
そして視作生がおいでになると『リリィの帰還』が叶ったと言い切った。
なんとも、身勝手な言い分です。
視作生は最初から、彼でした。
『リリィ』であろう、筈も無い。
セバスティアンはただ偶然に、視作生と出逢うたのだ。
彼は幸運であっただけ。
リリィは、視作生が西欧に渡ってからその身に潜んだのだろう。
視作生はとても開けた器です。
リリィは彼の内が気に入っておられる様だ。
視作生はこうも仰いました。
「何でリリィちゃんと僕が合体しているのかは、分からない。別に良いけどね」
あなたという人は、本当に構わない人ね!
私でしたらば、ちっとも良くないと憤慨しますわ。
視作生、あなたには敢えて申しませんが…
魂のカケラに過ぎないリリィが、力を得たのには理由がある。
リリィは過去に失ったその御身の欠片を、再び集め得たのだ。
それにより、徐々に魂が明確になったものと思われる。
リリィの死後、その亡骸は分配された。
女王が形見の恩恵は、西欧の各国に等しく正しく分けられたのだ。
そして国を揺るがす大事にのみ、利用されてきました。
例えば…
リリィの遺骨の欠片で、ルーランス王ヴィクトール様は命長らえた。
彼の方はルーランス公国が為に、御身を酷使なさっておいででした。
黙されてはいたが、私は察していました。
王には青年期を全うするのが精一杯の、余力しか残されて無かったろう。
しかし、リリィの恩恵が彼を壮年に導いたのです!
Ωの愛とその御身は、αにとって最強の強精剤である。
…実は、セバスティアンとマクシミリアンもリリィの遺体の恩恵を受けているのでした。
この事を二人は知らぬ。
それは、彼らが未だ母体の内に宿って間もない頃の処置であった。
クラウディアも、妹も…
大変に苦しい御産を、余儀なくされておりました。
あの子らは母の胎内で一度は死にかけたのだ!
さらに敢えなく、母体も瀕死となりました。
これらは皆、ルイス公国の中枢に纏わる人命である。
国力の大きな損失となる、危機でもあった。
故に、ルイスが国宝を彼らを救う為に利用した。
…遺されていたリリィの欠片を、母体に摂取させたのだ。
それは、紅き百合の花でした。
私の恋したリリィは薄桃色の愛液を、一雫も垂れる事なく逝ってしまった!
だから…
死んだリリィの赤い血を…
百合の飾り器に込めた物しか、残っておらなんだ。
リリィの遺したその愛が、私の大切な親友をお救いになった。
元々に深刻な損傷を得ていた我が妹は、産後に力尽きました。
けれど我が子を抱き、初乳を与える機会を与えてくださったわ。
そして何より、二人の愛し子をお救いくださいました。
彼らが成長するうちにも、リリィの恩恵は優しく柔な泡ぶくのように…
ずっと、細やかにも残ってくれた。
αの子は幼年において、虚弱に陥りがちなものだ。
だが優秀であるにも関わらず、二人の若君は非常に健康だった。
リリィの優しい恩恵は、虚な魂を珠の様に健やかなる赤子に育んでさえくれたのでした。
そして今、可愛い視作生は可憐なピンクの百合の飾りを既にたっぷりとあげている。
君は西欧の救世主と言えましょう!
愛のままに、君は恩恵を垂れなさる♡
私が知らずにおった事は、他にもございます。
この私は、ルイスで最強のαであったのですって!
何という、事でしょう。
なんと、私は主たるクラウディアですら及ばぬ力持ち得ていたのでした!
道理で、私が除け者になった筈ですわね。
「貴女と言う人は…ほんに思い込みの激しい、そそっかしい方ですわよ!」
私は、親友に叱られました…
暴れ馬の如き気性の私です。
私は長き間、心に澱を溜め込んで聞き分けの出来ない様子であった。
それを友は、辛抱強く待っていてくれた。
私が自身を取り戻す事を信じてくれたのだ。
面目のう、御座います。
しかし、私が最強であったのは…
それは、私が…
死に瀕したリリィの、あの鮮やかな赤い血をたっぷりと浴びた所為でしょう。
「リリィちゃんが、貴女を守っているんだね♡」
なのに、視作生はそんなふうに仰るの。
「リリィちゃんの愛のおかげだよ♡」
そんなっ、勿体のうございます。
「リリィちゃんの愛♡ちゃんと受け止めてあげて!」
約束だよ♡と視作生は小指を立てました。
けれども私、意味が分かりません。
すると彼は私の手をとり、小指を絡めていらした。
「指切り♡」
指、を…
何でしょう?
ま、何でもよろしいわ。
承知致しました!
私、何もかも、受け止めてご覧にいれます。
では、誰か!
小剣をもて!
視作生に私の、この小指を切って…
差し上げましょうほどに♡
・:*+.\(( °ω° ))/.:+
私は間違えていたのです!
『リリィ』という器に『視作生』が居るのでは無いのだ。
『視作生』という慈愛に満ちた器に、私の愛しい『リリィ』が招かれおいでのだったの…
視作生が仰いました。
「リリィちゃんは、貴女が好きだったんだね」
…リリィは、男性型のΩでした。
可愛い視作生と、同じでいらしたわ。
けれど、そんな事!
私は考えもしなかった。
視作生は、さらに仰いました。
「ただの好きじゃない。貴女に恋をしていたんだ」
だから、私を守ったの!
なんと愚かな事をなすったのだ。
リリィ、リリィ…
私の愛しいひと。
私はあなた恋しさのあまり、まなこを曇らせてしまっておりました。
セバスティアンが視作生を見つけ、番いとなった事実について…
西欧の見解はこうでした。
『西欧のリリィ』が東洋の島国に現れた。
そして視作生がおいでになると『リリィの帰還』が叶ったと言い切った。
なんとも、身勝手な言い分です。
視作生は最初から、彼でした。
『リリィ』であろう、筈も無い。
セバスティアンはただ偶然に、視作生と出逢うたのだ。
彼は幸運であっただけ。
リリィは、視作生が西欧に渡ってからその身に潜んだのだろう。
視作生はとても開けた器です。
リリィは彼の内が気に入っておられる様だ。
視作生はこうも仰いました。
「何でリリィちゃんと僕が合体しているのかは、分からない。別に良いけどね」
あなたという人は、本当に構わない人ね!
私でしたらば、ちっとも良くないと憤慨しますわ。
視作生、あなたには敢えて申しませんが…
魂のカケラに過ぎないリリィが、力を得たのには理由がある。
リリィは過去に失ったその御身の欠片を、再び集め得たのだ。
それにより、徐々に魂が明確になったものと思われる。
リリィの死後、その亡骸は分配された。
女王が形見の恩恵は、西欧の各国に等しく正しく分けられたのだ。
そして国を揺るがす大事にのみ、利用されてきました。
例えば…
リリィの遺骨の欠片で、ルーランス王ヴィクトール様は命長らえた。
彼の方はルーランス公国が為に、御身を酷使なさっておいででした。
黙されてはいたが、私は察していました。
王には青年期を全うするのが精一杯の、余力しか残されて無かったろう。
しかし、リリィの恩恵が彼を壮年に導いたのです!
Ωの愛とその御身は、αにとって最強の強精剤である。
…実は、セバスティアンとマクシミリアンもリリィの遺体の恩恵を受けているのでした。
この事を二人は知らぬ。
それは、彼らが未だ母体の内に宿って間もない頃の処置であった。
クラウディアも、妹も…
大変に苦しい御産を、余儀なくされておりました。
あの子らは母の胎内で一度は死にかけたのだ!
さらに敢えなく、母体も瀕死となりました。
これらは皆、ルイス公国の中枢に纏わる人命である。
国力の大きな損失となる、危機でもあった。
故に、ルイスが国宝を彼らを救う為に利用した。
…遺されていたリリィの欠片を、母体に摂取させたのだ。
それは、紅き百合の花でした。
私の恋したリリィは薄桃色の愛液を、一雫も垂れる事なく逝ってしまった!
だから…
死んだリリィの赤い血を…
百合の飾り器に込めた物しか、残っておらなんだ。
リリィの遺したその愛が、私の大切な親友をお救いになった。
元々に深刻な損傷を得ていた我が妹は、産後に力尽きました。
けれど我が子を抱き、初乳を与える機会を与えてくださったわ。
そして何より、二人の愛し子をお救いくださいました。
彼らが成長するうちにも、リリィの恩恵は優しく柔な泡ぶくのように…
ずっと、細やかにも残ってくれた。
αの子は幼年において、虚弱に陥りがちなものだ。
だが優秀であるにも関わらず、二人の若君は非常に健康だった。
リリィの優しい恩恵は、虚な魂を珠の様に健やかなる赤子に育んでさえくれたのでした。
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この私は、ルイスで最強のαであったのですって!
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道理で、私が除け者になった筈ですわね。
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私は、親友に叱られました…
暴れ馬の如き気性の私です。
私は長き間、心に澱を溜め込んで聞き分けの出来ない様子であった。
それを友は、辛抱強く待っていてくれた。
私が自身を取り戻す事を信じてくれたのだ。
面目のう、御座います。
しかし、私が最強であったのは…
それは、私が…
死に瀕したリリィの、あの鮮やかな赤い血をたっぷりと浴びた所為でしょう。
「リリィちゃんが、貴女を守っているんだね♡」
なのに、視作生はそんなふうに仰るの。
「リリィちゃんの愛のおかげだよ♡」
そんなっ、勿体のうございます。
「リリィちゃんの愛♡ちゃんと受け止めてあげて!」
約束だよ♡と視作生は小指を立てました。
けれども私、意味が分かりません。
すると彼は私の手をとり、小指を絡めていらした。
「指切り♡」
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何でしょう?
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承知致しました!
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差し上げましょうほどに♡
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