異世界で傭兵始めました

ミストレ

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1章 転生編

2話

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【前文】

(修正)
片っぽのオーク→片方のオーク



【本文】

 僕は助けても良いのか迷っていた。世の中には良かれと思ってやった行為が、必ずしも良いとは言えないからだ。

 「《ヘルプ》、この場合、僕が助けに行っても問題ない?」

 『人間の心理的問題な為、正確な事は言えませんが、おそらく問題ないと思います』

 「そっか、ありがとう」

 助けても問題ないと分かり、僕は冒険者を助ける為に向かった。



__________________



 「くそ!オークなのになんでこんなに強いんだ!!」

 「ヒロ!後ろ!!」

 「ぐぅっ!」

 「ヒロ!!」

 男の子二人は後ろにいる女の子二人を守る為にたださえ不利な状況の中で奮闘していた。
 しかし、数的にも不利なのに実力でも不利な状況、ヒロはオークが持っていた錆びている剣に背中を斬り付けられた。剣が錆びていた為か、皮の防具だけが斬られた。

 奇跡的にも助かったと言えるが状況は変わらず悪いままだった。

 「私を置いて、みんなは逃げて・・・」

 「何言ってるの!私達は四人でここまで頑張って来たじゃない!」

 「でも、このままじゃあ全滅する。だから、重荷になる私は置いて。そうすれば少しは時間を稼ぐから」

 「バカ言わないで!ヨミを置いて助かったとしても私は嬉しくない!!どうにかしてみんなで逃げるの。今はその事だけを考えてなさい」

 薄着装備の盗賊の女の子、ヒカリは助かる方法はないかと考え続けていた。
 しかし、助かる方法は一向に思いつかない。頭では理解していても心は諦めたくないと言っている。

 「何か、何か」

 そう言いながら辺りを見回してもただ草原が広がっていた。今にも絶望で心が折られそうになりながらもヨミを支え、自分達が来た道を戻っていた。

 「ぐあぁぁぁー!」

 「ヒロ!!」

 なんとか耐えていた前線組が崩れた。その光景を見たヒカリの顔は死と恐怖の色に染められていた。

 「ヒカリだけでも逃げて」

 「えっ・・・」

 ヨミはそう言うとヒカリを突き飛ばした。持っていた杖を持ち上げ詠唱を始めた。前衛が崩れモンスターが迫ってくる中での詠唱は自殺行為にも等しい。それなのにヨミは詠唱をしている。そんなヨミの後ろ姿を見せられたヒカリは自分に腹が立った。

 「何勝手に諦めているのよ私!!」

 自分に言い聞かせるように言い、ヨミの隣に立った。横目でヒカリを見るヨミは笑っていた。
 その目からはヒカリらしいよと、言われている気がしてヒカリも笑っていた。

 「ヒロ!リオ!後退して、ヨミが魔法を撃つから」

 「行くぞヒロ!」

 「すまねぇ・・・」

 リオが後退するヒロをサポートしながら自分も後退し終えると魔法が放たれた。

 「アイスショット!!」

 ヨミの放った魔法はオークに当たった。
 しかし、当たったオークは少し傷を負った程度であった。

 「ここは俺が時間を稼ぐからお前らは逃げろ」

 「何を言ってる!怪我をしているヒロではダメだ。ここは俺が残る」

 「いや、ここは私の魔法で少しでも気を引けるから私が残る」

 「私が残るわ。貴方達が残ったって逃げれないでしょ。だから、盗賊である私が残るわ」

 四人は逃げながら誰が死ぬかで争っていた。男として残ろうとするヒロとリオに、足を引っ張ってしまった事を悔いてるヨミ、リーダー的ポジションで責任感の強いヒカリ。
 其々が其々の主張を通そうとしていた時、何かが横を過ぎ去った。



__________________



 「あれ?なんか言い争ってるな。助けても文句言われないよね?」

 不安が募る中僕は冒険者達とすれ違った。

 これが異世界初の戦闘だ。そのはずなのに体は慣れているかのように動いた。

 盾を前面に出して突っ込み、そのままの勢いで盾で払い技をして7体のゴブリンを蹴散らした。さらに、その勢いで回転してランクの低いオーク3体の首を飛ばした。

 残りの2体のCランクのオークとは少し睨み合いをした後、片方のオークが襲って来た。襲って来たオークの振り上げた方の腕を斬り飛ばし、そのまま後ろにいたオークを急襲して首を飛ばし、残ったオークの首も飛ばした。


 カオルの戦闘は3分もしないで終わった。初の戦闘のはずなのにあまりに簡単に勝ててしまい物足りなさを感じながら、レベルアップのファンファーレが鳴り響いていた。ステータスを表示させ、確認をしていると背中に視線を感じ気がついた。

 「あっ・・・、えーとー、お怪我は大丈夫ですか?」

 カオルは戸惑い、何を言えばいいのか分からない中で思いついた言葉を出した。

 「ぼ、僕はカオルです。旅をしてます」

 初対面同士ならひとまずは自己紹介と思い名前と何をしているのかを言ってみたものの空気は相変わらず、微妙であった。



__________________



 「今回は助けてくださりありがとうございます。私は傭兵ギルド"氷の団"のヒカリです。右からヒロ、リオ、ヨミです」

 ヒカリがそう言うと3人は僕に対し頭を下げて来た。突然の事に驚き頭を上げてもらった。
 彼ら氷の団が今回のような危険なクエストを受けていた理由を聞いたところ、彼ら四人は親を戦争で亡くした孤児で孤児院に引き取られ育てられたとの事。そんな孤児院が借金をしている事を知った彼らは借金返済の手助けをしようと報酬が安定している冒険者ギルドではなく、危険だが報酬が良い傭兵ギルドを選び、中々討伐されず報酬が増えたのを見てこのクエストを受けたとの事だった。

 「まぁー、気持ちは分からなくもないけど、今回のような事を続ければ確実に死ぬよ」

 話を聞いたからこその発言である。命あっての人生だ。金の為と急げばよく見れば分かることも分からなくなってしまう。そんな事にも気付けずにクエストを受けた四人に取って大事な事だと思ったから言ったのだ。
 
 「助けてもらった事には感謝している。だけど、見ず知らずのお前に俺らの覚悟の何を知ってるって言うんだよ!!」

 興奮しながら発言をするヒロに僕は鋭い目線を送った。
 
 「なら、その覚悟があれば生きられるの?その覚悟でいればクエストをこなせるの?」

 僕の指摘にヒロは黙り込んだ。

 「助けたい、恩返ししたいと思うなら生きて帰らないと意味がないよ。孤児院の為にヒカリ達が死んだと知ったら育ててくれた人達が悲しむんだよ。それは、孤児院が無くなるよりも悲しい事だと僕は思うよ」

 親に何かする前に死んでしまった僕が言える事ではないけど、死んでしまったからこそその事を理解しているつもりだった。

 ヨミは泣き出し、ヒロは不貞腐れ、リオとヒカリは悔しがっていた。



 それからしばらくすると四人は落ち着きを取り戻した。

 「やっと落ち着いたようだね。では、僕から提案なんだけど、今回倒したこのオークとかはヒカリ達に譲るから僕をヒカリ達に同行させてもらえないかな?」

 僕がそう言うとヒカリ達は今度は固まってしまった。突然の物言いにどう対応したらいいのか分からないのだろうか?ヒロなんかはバカにしたような顔をして見てきている。

 「か、カオル、私の聞き間違いじゃないなら討伐したオークとかを譲ると聞こえたのだけど」

 「うん、そう言ったよ」

 「そう言ったよって、コイツ強いのにバカだろ」

 「ひ、ヒロ!失礼でしょ!!」

 クエストクリアの為に貢献してやろうと言うのにヒロは失礼だな。

 「実は僕は文無しでね、今日は野宿でもしようかと思っていたのだけど、クエスト達成させてあげるかわりに一晩だけでいいから、孤児院に泊めてもらえないかな?」

 「も、文無し・・・」

 「あんなに強いのに・・・」

 「もしかして、流され者?」


 ん?流され者?へ、ヘルプ!"流され者とは"

 『流され者とは、異世界からこの世界に迷い込んだ者の事を呼びます。通常は巫女などにより国規模で召喚されますが、偶に歪みの狭間から流された者がこの世界に迷い込む事からそのように呼ばれてます』

 ほうほう。つまりは僕の状況は流され者に属するって事だね。

 「ちょっと、急に黙り込んでいるけど大丈夫?」

 「あ、うん。大丈夫。どうやら僕はその流され者のようだね」

 笑って誤魔化そうとしたそうはいかなかった。それからは質問攻めにあった。だけど、そのおかげでヒカリ達と仲良くなれた。ヒロだけはあまり仲良くはなれなかったけど・・・。



【後文】

あまり長く書けなかったですが、出来ているところまで公開しました。慣れていないと書くだけでも大変です。
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