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1章 転生編
15話
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あれから数日が経った。この数日の内にも襲撃されており、その度にアテナ達ゴーレムに返り討ちに合い、襲撃者は牢獄送りにされていた。
被害こそポーション数本位で済んでいるからこそいいが、このままだと子供達に被害が及びそうで心配だ。
と、言う事でスレインの所へ来ていた。
「私も何とかしたいが、商会ギルドと争うと面倒な事しかないからな。こちらに被害が出ない限りは手の出しようが・・・」
スレインはそう言いながらエミリーを見てニヤッとした。その様子を見ていたエミリーは嫌そうな顔をしていた。
「カオル、いい事を思い付いたぞ。カディスにエミリーを貸し出そう」
「やっぱりですか~」
スレインはニコニコとエミリーはため息をついていた。
「エミリーさんはそれでいいのですか?」
「嫌よ。でも、私が行かないとギルドが動いてくれないなら行くしかないでしょ。はぁ~」
再びため息をついているエミリーは既に疲れているように思える。なら、せめてものお返しを、もといやる気を出してもらう為に僕は、
「スレインさん、唐突ですみませんが、ギルド職員の月給は幾らですか?」
「ん?あ、えーと、確か大金貨4枚、金貨5枚っと言った所だな」
「そうですか・・・。エミリーさん、僕の店で働いてもらうからには給料を払わないといけません」
「きゅ、給料・・・」
「おい、カオル、給料なんて払わなくても・・・
給料と言う言葉に反応するエミリー。何かを察したのか阻止しようとするスレイン。
「いつまで働いてもらえるか分かりませんが、月の給料を大金貨8枚、問題解決後には白金貨2枚お渡ししましょう」
「やったー!!」
「あ!ズルいぞエミリー!」
「ズルくありませんー。正当な報酬ですからー」
「ここぞとばかりにお前は・・・」
二人の普段の行動からは想像も出来ない程、幼稚な争いを始めた。その争いは数分の末、終了した。
「では、明後日からエミリーを君の店に派遣するよ」
「よろしくお願いします。エミリーさんも明後日からお願いします」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
去り際に見たエミリーの顔には満面の笑みが浮かんでいた。
__________________
家に帰り、今後の為にゴーレムの製作する為に自分の部屋に向かっていた。フィル達、傭兵組みはクエストに、商店組みは店で働いている。
普段賑わっている部屋に入り静かだと違和感を感じた。
(みんなとの生活が日常的になったんだな)
そんな風な事を思い、自分の部屋に行きゴーレム製作をした。製作を始めてから1時間程経った頃、下の方がやけに騒がしく感じた。
ゆっくりと階段を降り、店の方に顔を出すとナナとアテナが騒ぐ男達と言い争いをしていた。
「どうした、ナナ」
「カ、カオル様!!」
「お前がこの店の責任者か?ここの店は客を邪魔者扱いするのか?」
男達はやけに高圧的な態度で言い放って来た。
「ナナ、説明を頼む」
僕がそう言うとナナは頷き説明してくれた。
「横入りした、他のお客の、邪魔した、ポーション、持ち逃げ、やろうとした」
要約すると、男達が横入りして他のお客に迷惑をかけた挙句に窃盗をしようとしたと、言う事だ。
「お客様、この店員の言った通りで間違いないですか?」
僕が丁寧な対応、優しい口調で言うと男達は何を思ったのか態度の悪さが増した。
「はぁ?お前、何言ってんの、コイツの言っている事はデタラメだ。俺らはただ買い物に来ただけなのに難癖付けられたんだよ」
周りを見回すと他のお客は男の発言に首を横に振っていた。
「周りの方達は違うと言っていますが」
「あぁん?お前は客である俺の言葉よりもコイツらの事を信じるのか?」
「最早、意味不明ですね。周りの方達もお客様ですし、この店員の事は信頼しておりますから」
僕の発言にナナは頬を染め、アテナはイライラした態度で男達を見ていた。
「そうかい、そうかい。それならこっちだって考えがあるんだ。ちとお前らの噂が流れるかもな」
男達は顔をニタニタとさせて僕らを見てきた。さすがの僕も殴りそうだと思った瞬間、目の前の男達の一人が吹き飛んだ。
「ベラベラとデマかせばかり言いやがって、店だけでなく、マスターに余計な時間を取らせるとは貴様らただで帰れると思うなよ」
いつもの白いアテナではなく、赤くなっていた。それに口調も少し変わっていた。
「お前!何しやが、ぐふぇっ!」
「黙れと言っている」
「言ってな、うわぁー、がぁはぁ!」
男を片手で持ち上げ投げ飛ばし、狙いを定めもう一人の男を張り倒す。他にもいた男達も張り倒されたり、殴り飛ばされたりと男達の抵抗も虚しく、一方的な展開になっていた。
「貴様ら!何を騒いでいる!!」
いつものように衛兵が駆けつけて来て、ボコボコにされた男達を連行していった。
連行され男達の姿が見えなくなった辺りで営業を再開した。いつもの光景になったのか、前の時とは違って周りのお客はとても落ち着いていた。動揺しているお客もいるが八割は落ち着いて買い物をしていた。
「アテナ、ご苦労様。営業時間の間、警備を頼むよ」
「ふん、言われるまでもない。我がマスターの店だ、守るのは当然である」
態度はデカイが、頼られているのを喜んでいるのか少し息が荒かった。
「ナナも営業終了まで頑張ってね。怖い思いした中であの対応が出来るなら、今後もナナに留守の間、安心して任せられるよ」
そう言って撫でてやると、また頬を染めていた。他の子達にも声をかけてから僕は自分の部屋に戻った。
今、作っているゴーレムはエンジェル型ゴーレムと言って、ゲームにも登場するものである。このゴーレムはMMORPGと言うジャンルで登場し、主に街の入り口にいてレッドプレイヤーと呼ばれる犯罪者やモンスターの街への侵入を阻止したりする役目を持っている。飛べたりゲームよっては魔法も使う優れたゴーレムなのだ。
それを思い出し、大量に作っている。今後、ガルドの刺客から子供達を守るには必要になるだろう。
他にも防御型ゴーレムとして、タワーシールドと呼ばれる巨大な盾を持つゴーレムや大剣を持つゴーレムなどあらゆる事を想定したゴーレムを作っている。
最初こそは目的を持って作っていたが、大量に作っている間に、別目的のゴーレムが出来上がった。
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======================================
生産ゴーレム
詳細 : 複製の弱体化したスキルを持っているゴーレム。
ゴーレム一体で1日3000のポーションを生産出
来る。サンプルさえあればあらゆる物が複製出来
るが、物によって生産時間が異なる。
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======================================
このゴーレムがあれば僕のいない間に在庫が無くなるのを防ぐ為に作ったのだ。数体、店にあれば便利だろう。それに、子供達にはポーションなどはこれで作っていると言う理由作りにもなるから一石二鳥だ。
本当なら話しておきたいが、この話のせいでどんな事が起きるか分からないから教えられないでいる。そんな中でのこのゴーレムの存在は大きく思えた。
次に新しく作ったゴーレムは、
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偵察ゴーレム
詳細 : 空間認識を持つゴーレム。このゴーレムが通った
場所は所有者の地図に記憶される。
戦闘をあまり得意としていないが、素早い行動が
可能な為、偵察を得意とする。
意思疎通は念話のみで可能。
======================================
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このゴーレムで先に先行させ、地域情報などを収集しておけば危険を少しでも減らせれる。他にもゴーレムゆえに危険地域への偵察も出来るし、例えば倒されたとしても死人は出ない、地域情報は手に入ると良い事尽くしだ。
しかし、ゴーレムゆえに柔軟な対応を苦手とする為、予想外な事態が発生した時に対応出来ない場合があるのだ。そうだとしても、メリットの方が上の為、僕は黙認している。
他にもゴーレムを作っていたが、日が落ち始めた頃には子供達は皆戻って来ており、夕食の支度していた。僕もそこに混ざり夕食の支度をした。
次の日、僕の所にスレインが来ていた。応接室に通して僕とスレインのみでの話し合いを始めた。
「それで、スレインから来るって事はよっぽどなんですね」
「あぁ、そう言う事だ。この話はまだ一部の奴しか知らないから洩らすなよ」
スレインの言葉に僕が無言で頷くとスレインは続きを話し始めた。
「ディグル領から西に200キロ離れた所にセグネルって言う領地があるだが、そこの通り道に山賊が出没している。ただの山賊なら問題にはならい。傭兵か冒険者が向かえばいいだけだからな。
だが、問題は数だ。確認されているだけでも50以上はいるとの事だ。そして、そのリーダーを率いている奴が更に問題で、そいつは昔傭兵でA級だった奴がむこうの傭兵ギルドの調べで解った。こうなると冒険者に任せるわけにはいかなくなった。ここまで話せば何が言いたいか分かるだろ?」
「僕に行けと」
「君だけには行かせない。私も行く」
「なっ!それではこの領のギルドのまとめ役がいなくなるではないですか!!」
僕がそう言うとスレインはニヤニヤしていた。
「そこで、エミリーの派遣を延期してもらいたい。そう言うことも含めて話すために来たんだよ」
こないだ言い争っていたし、そう言う事でさっきニヤニヤしていたのか。僕は思わずため息をついた。
「分かりました。派遣の延期に承認します。ですが、スレインさんもギルドに残って下さい」
僕がそう言うとスレインは先程までのニヤついた顔から無表情になった。
「それはどういう事かな。まさかだけど、私を甘くみている訳ではないだろうな。それに、数があまりに多すぎる。君が強かろうと数が多ければ押されてしまう」
スレインの意見は適切だ。ただ、僕の本当の姿を知っていれば、スレインの発言は変わっていただろう。
「スレインさんが、強いのは知っています。ですが、あなたがここを離れれば信頼をおける知り合いがエミリーさんだけになります。そうなった時に商会ギルドから僕の子供達を守れますか?」
僕がそう言うとスレインは言葉を詰まらせた。その事はスレインも理解していたからだろう。
「山賊騒ぎも商会ギルドが仕組んだ可能性もあります。僕やスレインさんをこの街から離せば、傭兵関係の事は好き勝手にやれると思って。冒険者ギルドは傭兵ギルドの勢力を弱められるなら黙認するでしょう。
そうなった時、僕らが帰る場所を失いますし、子供達を失いたくありません。最悪、アテナがいますので、逃げれるとは思いますが」
そう言って僕は苦笑いをした。スレインは冷静に何かを考えていた。
「それに、僕には数に対抗する手段があります」
そう言ってゴーレムを複数召喚した。その事にスレインは驚いていた。
「僕はこの他にも100体近くのゴーレムを保持しています。これだけいれば数で押されてもある程度は対抗出来ます」
笑顔でそう言うと、スレインは顔を引きつらせていた。
「たっくよ~、そんな秘密があるなら、先に教えてくれよ。わかった。私はここに残りギルドと君の家や子供達を権力から守ろう。私もそれなりに権力があるからね」
そう言ってまたニヤニヤしていた。僕とスレインは静かに手を交わし、話し合いを終えた。
その日の夜、僕は秘密兵器作成に取り掛かり、完成したのはそれから5日後だった。
フィル達には僕がいない間のクエストを受ける事を禁止し、その代わりに、生産ゴーレムの護衛を任せた。ナナには今まで通りにするようにと、アテナには場合によって人を殺めたとしても構わないと告げた。
それから、2日後、僕はセグネル領に向けてディグル領を後にした。
【後文】
投稿が遅くなりすみません。リアルが忙しかったので中々書けていませんでした。
今回のようにもしくは今回よりも長期投稿されない場合がありますが、ご了承下さい。
今回も読んでくださりありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。
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