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ふたつめ【心に残る少年霊のお話】

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 昔、難波しぶ子の家に小学生高学年くらいの少年の霊が居ついた事があった。


 毎日、夢の中でなら色々できるので一緒に遊んだ。
自転車の二人乗りをしたり、兎に角とてもとても沢山一緒に遊んだ。


 その頃、いつもしぶ子は夢の中で、川へ出る事がとてもその時期は多かった。

その川は、こちらから向こう岸に恐ろしい数の人たちがいつも渡っていて、しぶ子が向こう岸へ行こうとしても、いつも行けなかった。


 その少年がある日、『あの場所には行ってはいけないよ。』と、言ってきた。


それから不思議と、その場所へ行けなくなってしまった(恐らくその川は三途の川だった)


 少年はとても優しい子だった。地震の前になると不思議と必ずお知らせをくれた。あまりに当たってドン引きするレベルだった。


 ある日の事、少年は「そろそろお別れだよ。ありがとう」と言ってきた。


するの目の前に、とても素敵なパイプオルガンが現れた。そして彼は演奏をし始めた。

曲はどこかの校歌の様だった。すると、少年が語り始めた。


『音楽が大好きだったんだ。あなたの家は音楽であふれていたし、猫ちゃんもいたから来てしまった。

猫が大好きだった。学校も大好きだった。この数日とても楽しかった。あ、黒猫ちゃんのやんちゃ君な方。

あの子、僕を見ていつもじゃれようとしてジャンプしちゃうんだ。階段でもしちゃうからハラハラしてた。

あの子ケガしない様に気を付けてあげてね。』


すると、しぶ子の事をいつも見守っている守護たちが語りだした。


『この少年は津波で亡くなったんですよ。』


そっか・・・・・


 しぶ子はただただ泣きながら、彼の演奏する、おそらく、彼が通っていた学校の校歌のメロディを聞いていた。

そして、少年は笑顔で消えていった。



 それから暫く時間が流れた。


それは、彼が亡くなったと思われる天災の日のちょうど三回忌になる日の前日の事。

ふと、少年の事をしぶ子は思い出した。


しぶ子はお菓子を買ってきて、テーブルの上に置くと「これはあなたへ」と、気持ちを静かに贈った。


 すると、その日夢をみた―

しぶ子の目の前には、中学生ぐらいのニキビだらけの少年が立っていた。


しぶ子が誰だこれ・・と思っていると、その少年の背中を津波の脅威が、今にも襲い掛かろうとしはじめた。

しぶ子が「危ない!!!!!」と叫ぶも、彼は両手でピースサインなんかしている。

そして映像だけなのか?その脅威が彼に降りかかる事もなかった。


「なんじゃこりゃ・・・。」


しぶ子はとりあえず意味不明なその映像を見続けて・・・そして目覚めた。正直夢なのか現実なのかよくわからない感じだった。


そして、暫くしてやっと気づいた。

あぁ!!!あの子か!!!大きくなっててわからんかった!!!!


三回忌とかって、よくわからないのだけれど、やはり彼方から此方へ帰ってこれるのかもしれない。

その里帰りの途中で、わざわざ私の所まで会いに来てくれたのか、めちゃくちゃ笑ってたなぁ笑っててよかった。本当に良かった。。。


 幽霊は怖いとか普通の方は思うのかもしれない。確かに、私も怖い(ホラー映画は観れない)



でも、怖いだけじゃないから困ってしまう。

それだけじゃないから、本当に困ってしまうのです。

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