蜜月

絵麻

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蜜月

最終話

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 数年後、美苑は三人の子供を持つ、母となっていた。

 あれから、美苑と潤弥の蜜月は今でも続いている。
「潤弥さ・・」
「っ」
 熱い精液が注がれる感触に、美苑は身体を震わせる。

『オレには夢がある。
 妻や子供と、賑わしく生きてゆく夢だ。子育てに追われ、忙しい日々だ』
 初めて結ばれた時、部屋を訪れていた一登に話した。
『平凡な夢だな』
『ああ、それに・・妻より一日、長生きをしたい。最期に「ありがとう」を言いたいからな』
 母が死んだ時、父は来なかった。

「美苑、オレの願いを聞いてくれ」
「はい」
「オレはお前より、一日だけ長生きをしたい」
「!」
 目が熱い。
「お前の最期に、手を握って最期に側にいてやりたい」
「潤弥さん」
「ありがとうを言いたい、愛してくれたこと。出会ってくれたこと、子供を産んでくれたこと」
 涙でぐしゃぐしゃになる、きっと酷い顔だ。

「だが、オレはお前より一回りも上だ。どう考えても、逝くのはオレが先だ。だから、今言っておく。ありがとう、美苑」
「私の方こそ」
 美苑は潤弥を抱きしめる。
「幸せだった、それだけは忘れずにいてくれ。お前や子供達が空の下で生きている、それだけでオレは幸せだ」
「潤弥さん」

 天国は死後にあるんじゃない、愛する人や大切な人の側にある。
「ありがとう、美苑。出会ってくれて、好きになってくれて」
「私の方こそ、ありがとうございます」
 いつまでも、抱きしめ合った。


 
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