軍服の慕情

絵麻

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軍服の慕情

季世編 第一話『初めての・・・』

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 季世が藤岡智志と出会ったのは、特攻兵達が通う『ふじ田屋食堂』で働く友人・高里柚子を訪ねた時だった。
「じゃあ、学校が終わると働くの?」
「うん、家賃と食事代の分ね」
 瑞江は親のいない柚子にとって、母のような存在だった。
「学費は雪杜さんが出してくれてるの」
「そっかあ、偉いね」
「何なら、季世ちゃんも働くかい?少しなら、駄賃を出すよ」
 少し考え、季世は頷く。
「はい。お願いします」
「じゃ、明日からね」

 翌日から、季世の賄いが始まり、智志や雪杜が食堂を訪れる。
「あれ、新顔さんだ!」
 智志が言った。
「ホントだ、美少女が増えてる」

 美少女?

 若い兵士の言葉に、季世は戸惑う。柚子はともかく、自分はと疑問に思うのだ。
「新顔ちゃん、名前は?」
「中本季世です」
「季世ちゃんかぁ、綺麗な名前だな」
 智志の笑顔に、季世はドキリとする。精悍な顔立ちをした智志だが、笑うと優しく目が細まる。
「オレは藤岡智志、よろしく」
「はい!」
 季世も笑顔で頷いた。

(藤岡さんを意識し始めたのは、なでしこ隊として兵舎の掃除が決まった事から。昼間の時間に、藤岡さんに会いに行ける事が純粋に嬉しかった)
 まだ、恋と言うには遠い感覚だったが、二人は互いを意識し始めていた。

「グッ」
 智志は、ふと自分の中に季世に対して、獣のような欲望があることを確信する。
 それはリネン水の香りの中に、季世の若い匂いを感じたことがきっかけだった。
「クソ、ガチガチじゃね」
 痛いほどに硬くなったソレは、先走りで濡れていた。

 うぁ・・・っ

 指で先端を撫でるだけで、痺れるような快感が生まれる。自慰行為など中学生の頃、興味本位で性器を弄って以来、実に数年振りのことだった。
「くっ・・はぁ、ハァッ」
 射精は頭を突き抜けるような快楽とともに、長く断続的に続いた。
「まだ、硬いまんまか」
 どれだけ溜まってんだよと、智志は再び指を絡める。ハンカチを噛み、呻き声を我慢する。
 
 く・・うぁ・・・っ!

 十代の少年ならまだしも、と智志は食いしばる。三回目の吐精で、ようやく萎えた自身に息を吐いた。
「たく、匂いだけでこれか」
 まいったな、と智志は思う。

「私、藤岡さんが好き」
 兵舎に向かう道、柚子と結花に自身の恋心を打ち明けながら、季世は智志に会える喜びだけを噛み締めていた。

「おはようございます!」
 明るい笑顔の季世が、愛おしくてならなかった。だが、それ以上に彼女を抱きたいという、獣のような欲求が智志の中に芽生えていた。
「あ、おはよう」
「お掃除、しますね」
「いや、いい」
 バン!と、戸を閉める。
「え」
「季世ちゃん、掃除はしなくていい。他に行ってくれ!」
「何で?私、何か」
 冷たい人を、演じたつもりだった。

「いいから!部屋に入らないでくれ」
 言い残し、立ち去る。
 季世の大きな瞳から、涙がポタポタと落ちる。

「嫌わ・・ないでぇ」
 ヘタリ込み、泣きじゃくる。
「藤岡さん、きらわないで!」
 悲しい声が、朝の兵舎に響いた。
 
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