後宮物語〜 秋桜 〜

絵麻

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後宮物語〜 秋桜 〜

一話

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「宮の外では、どんな暮らしをしていた?」
「私は両親を流行り病で亡くして、おばさんに育てられました」
「近いのか?」
 蒼河の言葉に、結真は頷いた。

「この宮なら、歩いて」
「ならば、いずれ挨拶に行こう。お前を娶ったと報告せねば」
「はい」

 何度も抱かれた。
「硬い・・蒼河様」
 湯船のふちを掴み、快楽に耐える。
「結真、私の子を産んでくれるか?」
「え」
「父上に、結真を正妃にしたいと申し上げた。ならば、四ヶ月いないに懐妊し、男子が生まれれば正妃にするコトを許すと」
「正妃に」
 涙があふれる。
「女の子なら、側室だと」
「いいんですか?私で、蒼河様の隣で」
「当たり前だ、書庫で会うとき。いつも楽しかった、なんと賢い娘かと。好きな書で、こんなに意見し合える人間は、そうはいない」
 様々な解釈の人間に出会ったが、結真は別格の娘だった。

「嬉しいです。私も、こんなに理解出来る方、いませんでした」
 気づけば、結真は蒼河を恋した。
「大好きだったんです。許されない恋でしたけど、武官様だった蒼河様が」
「そうか」
 蒼河は破顔した。

「気に入った女人に大好きと言われ、これほど嬉しいことはない。金尚宮を、そなたの側仕えに任命した」
「尚宮様を?」
「喜んで、仕度していると返事があった。今日の午後には来るそうだ。あと、お前の友人の」
「美京と銀今ですか」
「そう、二人を侍女に任命した。あとから来るそうだ」
 結真は涙があふれる。

「ありがとうございます、蒼河様。私、ホントに幸せです」
 苦労の多い下っ端の官女の仕事から、二人を解放してやれる。
「大好きな本を、存分に読めばよい」

〈後宮を出たら、三人で部屋を借りて。貸本屋でたくさん、本を借りるんです。好きな小説を、飽きるまで読もうって〉

 いつか話した夢を、蒼河は覚えていた。
「願うことは言えばいい、可能ならば叶えよう」
「はい」
「では、私は政務に向かう」
「いってらっしゃいませ」
 深々と、結真は頭を下げた。

 三人が宮に来たのは、昼過ぎだった。
「もう、結真とは呼ばぬ。これからは承恩尚宮様と呼ぶ、仕来たりだから慣れよ」
「そうよ、結真。私達には上の人間らしく」
「ま、慣れないだろうけど。心はずっと、友達だから」
 三人がいれば、これほど心強いことはない。

「すごい!」
「これ、泯の本じゃない!」
「私達も、読んでいいの?」
 結真は頷いた。
「好きな本を、存分に楽しめって」
「噂通りの方だな、第三王子は。優しく、使用人も少数しか置かない。信頼できる人材というのもあるが、人件費を減らす為だ」 
「王妃様を見ればわかるよね?」
「あんなに贅沢で・・・元敬王妃様が植えていた花を、全て違う花に変えた」

 かつての中宮殿の面影は、半月で消えてしまった逸話は有名だ。
「家具や調度品も、一式変えたらしいわ。そのお金があれば、何人・・何百人の薬が用意出来たって」
「結真、王妃になってくれぬか?今のままでは、また内乱が起きる。そうすれば、また血が流れる」
「私達、一生ついてくから」

 だめぇ・・・こんなっ
 
 四つん這いにされ、深く身体を繋げる。
「大っきい・・・また、イッく」
「結真」
 最奥まで突き上げ、蒼河が吐精する。シーツにへたり、結真は息を乱している。
「も、無理で・・やだぁ」
 仰向けにされ、脚を開かされる。
「硬いの、深ぁ・・・」

 淫らな言葉で、結真は快楽を訴えた。恥ずかしいとか、考えることが出来ないほど、結真は快楽に溺れていた。 

「結真、ずいぶん感じやすくなったな」
「言わないで」
 いやいやと、首を振る。
「こんなに吸い付いて・・糸をひいて」
 にちゃ・・・と剛直に、愛液が絡む。
「あ・・やだ、ごめんなさ」
「もっと乱れろ、もっと」
 激しく律動する。ジュプジュプと水音を響かせ、抜けるぎりぎりまで腰を引く。

「ぁ、抜かな」
 さきほどまで、抜いてと懇願した結真が泣きそうに顔を歪める。
「んぅ、あーーー」
「大丈夫、まだ抜きはしない。結真は天邪鬼だからな」
「やぁ」

 聞きたいことが、確かめたいことがあった筈なのに。もはや、何も考えられなかった。

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