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3巻
3-2
しおりを挟む「へえ~こいつはおもしれえな! それにすっげ~柔らかいぞ!」
「本当にそこでいいのですか。後ろで三人でも大丈夫ですよ?」
「おう、俺はこっちでいいぜ。むしろこっちが気に入った!」
今話しているのは、今晩カルラがどこで寝るかについてだ。これまではジーナとコレットちゃんが後ろのスペースで寝ていて、俺とフー太が前のソファと簡易ベッドで寝ていた。
コレットちゃんはまだ小さいし、後ろのスペースでも十分に三人で寝られるのだが、どうやらカルラは寝室の手前かつシャワーの前にある組み立て式のベッドがいいそうだ。
最近は組み立て式ベッドでも十分過ぎるほど寝心地はいい。それに組み立て式のベッドってなんだか秘密基地感があってワクワクする。
「どちらも試してみて、カルラの好きな方で寝るのがいいと思うよ」
「おう、そうするぜ」
さすがに乗車人数が五人になると少し手狭になってきた。
バスコンタイプのキャンピングカーじゃなかったら、かなり厳しいところだった。高かったけれど、このキャンピングカーを購入して本当によかったな。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「ふあ~あ……」
「ホホー」
「おはよう、フー太」
今日はフー太の方が早く起きていたらしい。相変わらずもふもふしていて癒されるなあ。
「すぴ~すぴ~」
「……カルラもよく眠れているみたいだな」
組み立て式のベッドの上からはカルラの寝息が聞こえてくる。
初めてのキャンピングカーのベッドだが、よく眠れているようで何よりだ。組み立て式とはいえ、寝心地はこの世界のベッドよりもいい。
「それじゃあ、静かに朝食の準備をしようか」
「ホー!」
さて、今日はノクターラの街へ向かう予定だ。朝食を食べたら早速移動するとしよう。
「……よし、ちょっと早いけれど、今日はここまでかな」
「ホーホー!」
「シゲト、お疲れさまです」
「シゲトお兄ちゃん、お疲れさま」
「お疲れだぜ」
「みんなもお疲れさま」
朝からキャンピングカーで進み、今日は少し早めに移動を終了した。
ここからノクターラの街まではもう少しなので、明日は朝から街へ入るとしよう。
「今日はちょっと早く着いたし、以前に仕込んでおいたいろいろなものを試してみよう」
「んっ、なんか面白いことでもあんのか?」
「実はカルラと出会う前にいろいろと準備していたものがあるんだ」
「へえ~、朝や昼みたいな、旨い飯を期待しているぜ!」
ちなみに今日の朝ご飯は昨日解体したドラゴンの肉を使った生姜焼きで、昼ご飯はドラゴンの肉を野菜に巻いたものだ。やはりドラゴンの肉は本当に旨かった。
「片方はみんなにも手伝ってもらうからよろしくね」
事前に仕込んでいたものは二つある。
一つは以前狩りをした時に手に入れた肉で作った、ワイルドディアとダナマベアのベーコンだ。二種類の肉を使用してソミュール液に漬けたものと塩に漬けたものの計四種類を一週間ちょっと冷蔵庫に入れておいた。それを昼食後に少しずつ流した水へ浸しておいた。
これは塩抜きといって、肉に染みこませた塩を抜いていく工程である。なぜ塩漬けにしたあとにいちいち塩抜きをするのか疑問に思うかもしれないが、多めの塩に漬けたあと水へ浸して塩を抜いた方が肉に均一な塩味が付くらしい。
「……うん、そこまでしょっぱくなさそうだから、これでいこう」
きちんと塩抜きされているかを確認するため、肉を少しだけ切って焼いてから食べてみる。
これくらいの塩加減ならちょうどよさそうだ。この塩抜きした肉を燻製にする。
ちなみに今回は燻製をするための燻製チップも自作してみた。実は燻製チップの作り方は単純で、細かく切った木のチップを乾燥させるだけである。
木を細かく刻む作業は結構大変なのだが、そこはジーナがロングソードを使って一瞬で細かく刻んでくれた。
今回は燃やしてみて香りが強かった木を選んでみた。
「よし、こっちの方はこれでしばらく燻製しておけばオッケーだ。燻製の煙がちょっと目立つから、周囲には今まで以上に気を付けよう。それじゃあ次はみんなでパンを作るよ」
次に、もう一つ仕込んでいたものを使ってパンを焼く。
「シゲトお兄ちゃん、前は秘密って言っていたけれど、これはなあに?」
「それは天然酵母といって、パンをよりおいしく焼くためのものなんだ」
この世界のパンは大麦やライ麦のような、小麦粉以外の穀物を使って作られた黒いパンが主流だ。多少は生地を寝かせて発酵をさせているようだが、パンを柔らかく膨らませるための酵母は使っていなかった。
酵母を使って焼いたパンは消費期限が近いから、あえて硬いパンを作っている可能性はある。
とはいえ俺達にはアイテムボックス機能があり、いつでも焼き立てのパンが食べられるので、その辺りは気にしなくていい。
「いろいろな果物を水に浸けただけのようですが、本当にこれでパンの味がおいしくなるのですか?」
「えーっと、パンの味を変えるんじゃなくて、発酵の際に炭酸ガスを発生させてパンを膨らませて柔らかく……うん、できるかわからないし実際にやってみよう」
ジーナの疑問に答えたものの、仕組みを理解するのは難しいようで、少し説明しただけですでにみんな頭にハテナマークを浮かべている。
というか、俺も詳しい仕組みまではわからないし、実際に天然酵母を作ってパンを焼くのは初めてだ。元の世界で天然酵母を作ってパンを焼いてみようと思って調べていたけれど、手間と時間がかかるため、実行しなかったんだよな。
おいしいパンが焼けることを祈るとしよう。
天然酵母液を作っていた複数のビンを開けてみると、いくつかは腐ってしまっていた。
本当は温度を三十度前後で一定にすると酵母菌が活発になるらしいのだが、キャンピングカーで旅をしながらだとそれは難しかった。とはいえ、白い泡が出て発泡したものもあるから、うまくいってくれているといいのだが。
「まずは小麦粉に塩と砂糖を加えて、そこに水とこの天然酵母の液を混ぜたものを入れてこねるんだ」
「面白そうですね、私がやりましょう」
「僕もお手伝いする」
「俺もやるぜ」
「うん、いろんな種類で天然酵母の量を調整していっぱい作るからよろしくね」
レシピなんてないから、どの天然酵母がパンに合うのかや、適切な分量を確認する必要がある。そのためにそれぞれの生地は少なめに作って、とにかくいろんな種類を試していこう。
「シゲトお兄ちゃん、こんな感じ?」
「うん、そんな感じで生地をこねていってね」
「うん!」
コレットちゃんがその小さな両手でパン生地をこねていく。やはりこういうのはみんなでやると楽しいものだ。
「よし、さらにバターを加えたら生地をもう少し混ぜてね」
「うん!」
こねた生地に、ジーナがホワイトブルの乳から作ってくれたバターを加えてさらに混ぜていく。
「面白そうだな、早く俺もやってみたいぜ」
「私もパンをこねるのは久しぶりですね」
さすがにキャンピングカーのテーブルは全員でできるほど大きくはないから、二人ずつ交代で生地をこねてもらっている。
ジーナはハーキム村でパンを作る手伝いをしたことがあるらしいので、いろいろとアドバイスをもらった。やはり経験者は頼りになる。
「――よし、生地はこんな感じでオッケーかな。それじゃあ、今度は別の生地をカルラとジーナでやってくれるかな」
「おう、任せてくれ!」
「了解です!」
次の生地は天然酵母の種類と量を変えたものだ。おっと、忘れないようにレシピをメモしておかないとな。
「シゲトお兄ちゃん、このあとはどうするの?」
「このあとは発酵といって少し生地を休ませるんだよ。今回はキャンピングカーのオーブンレンジに付いている発酵モードを使うよ」
「おーぶんれんじ?」
「ホー?」
そう、このキャンピングカーには最新式のオーブンレンジが付いている。もちろんパンを焼き上げることもできるが、その前段階である発酵の時間もこれを使うことによって短縮することができるらしい。
初めて使う機能なので、オーブンレンジの説明書を引っ張り出して読むとしよう。
この発酵モードは、オーブン内部をパン生地の発酵が活発となる三十五~四十五度ほどの温度に保ってくれる機能らしい。
ただ、一次発酵からこの発酵モードを使用すると、酵母菌が疲れてしまうと書いてある。一次発酵は常温だと五~七時間くらいだから、今後は寝る前に生地をこねておいて、朝起きたら二次発酵をして焼成という手順がよさそうだな。
今回はお試しということと、天然酵母の種類と分量を見極めるのが一番の目的なので、この発酵モードを使って時間を短縮するとしよう。
一次発酵が終わったら、少し生地を休ませてから二次発酵、そして、二百~二百五十度くらいに温めたオーブンで十~二十分くらいパンを焼く。当然この温度や焼成時間も生地やパンの大きさによるので、いろいろと試していかないとな。
「うおおお! こりゃ旨そうな香りだぜ!」
「とってもおいしそうだね!」
「ええ、パンもベーコンも本当においしそうです!」
「ホーホー♪」
ベーコンの燻製とパンの焼成が終わり、食卓にはたくさんのベーコンとパンが並ぶ。パンの方は順次焼き上げているから、少しずつ味をみていくとしよう。
それにしても焼き立てのパンの香りは本当においしそうだ。元の世界では焼き立てのパンを食べる機会なんてほとんどなかったから、本当に楽しみだな。
「それじゃあ、まずはこっちのパンから食べてみようか。とりあえず見た目はいい感じで焼けているね」
「こんなにふわふわしていて柔らかいパンは初めて見ました。これが酵母というものの力なのですね」
ジーナは実際に作ったことがあるからか、みんなよりもパンの出来に驚いている。
このパンはレーズンのような果物を材料にした天然酵母液を使用して焼いたパンだ。いくつか作ってみた天然酵母液の中で、こいつが一番泡を出していたから期待できる。
もちろん、単純に泡がたくさん出てればいいというものでもないとは思うけれど、こねた生地はちゃんと膨らんでいたし、焼き上げたパンはこの世界のものより遥かに柔らかかった。
「うわあ~すっごくいい香りだね!」
「おう、すっげ~旨そうだぜ!」
コレットちゃんとカルラが、目を閉じて香りを堪能している。
パンを半分に割ると、中からは白い湯気と共に小麦の香りが漂ってくる。この世界の小麦粉は元の世界のように完全に真っ白というわけではないけれど、それでもめちゃくちゃおいしそうである。
「食感が変わるだけでこんなに味が変わるのは驚きだ!」
「っ!? いつも食べているパンよりも遥かにおいしいです!」
「うん! 柔らかくって、とってもおいしいよ!」
俺自身とても驚いたけど、ジーナとコレットちゃんのテンションの上がり方は俺の比じゃない。
外側はパリッとしていて、中はもっちりと柔らかい。細かい味でいえば元の世界のパンには敵わないかもしれないが、少なくともこちらの世界の硬いパンよりも明らかに旨い。
噛むたびに小麦の味が口の中へ広がっていく。
「こりゃうめえな!」
「ホホーホー♪」
俺以外のみんなの反応もいい。パンとはいえこれだけ味が違うとみんなが驚くのもわかる。
「少し面倒かもしれないけれど、いつものパンよりもこっちの方がおいしいから、パンはこれから自分達で作ろうか」
「ええ、賛成です」
「うん」
よしよし。パンはほぼ毎日食べるし、味の改良ができて何よりだ。時間は少しかかるが、天然酵母液は果物一つでできるからお金もほとんどかからない。これで食卓が豊かになるのは嬉しいところだ。
「……こっちのパンはあまり膨らんでいないみたいだし、そっちのパンは天然酵母液の元になった果物の味がパンに移っちゃっているな」
「全然味が違っておもしれえな。俺はこっちのパンの味が好きだぜ」
「ホホー」
天然酵母液の種類やパンに入れた分量によって微妙に味や柔らかさが違っている。カルラとフー太が選んだのはそれぞれ違うパンだし、好みによって一番好きなパンは分かれそうだ。
もしかしたらオーブンレンジの発酵モードを使わずに発酵させたら、また味が変わるかもしれない。このパンでも十分においしいけれど、他の焼いたパンも試してみて、それぞれが一番おいしいと思ったパンのレシピを覚えておくことにしよう。
あと、今は基本的で失敗が少ない丸パンだけれど、他にもいろんな形のパンがあるからな。旅をしながらおいしいパンを焼く方法を模索していくとしよう。
「次はベーコンだね。こっちは時間がかかったぶん、うまくできているといいなあ」
ベーコンは一週間以上前から仕込んできたものだ。この世界では塩やコショウなどが高価なこともあって、ベーコン自体が少し高級品だ。
「うおっ、すげえ量があるじゃねえか」
「二種類の肉を、それぞれ二種類の方法で作ってみたからね。どれがおいしかったかあとで教えてね」
ワイルドディアとダナマベアの肉を、塩漬けにしたものとソミュール液に漬けたものの計四種類を用意してある。
おかげでキャンピングカーの冷蔵庫は肉でいっぱいになったが、肉以外はアイテムボックスに避難できたから助かった。
「少し厚く切ったベーコンの両面を軽く焼いてと……」
四種類のベーコンを皿へ載せる。こいつにアウトドアスパイスを掛ければ最高の酒のツマミになるのだが、まずは味をみるためにそのまま食べてみる。これがうまくいけば、今回手に入れたドラゴンの肉でもベーコンを作ってみるつもりだ。
「うわあ、すごい。どれもとってもおいしいよ」
「ええ、これはいいですね! 普通に肉を焼いて食べるよりもおいしいかもしれません」
コレットちゃんとジーナの言う通り、どれもなかなかいける。
元の世界では何度か作ったことのある手作りベーコンだが、この世界の肉で試すのは初めてだったので、うまくできてよかった。
「うおっ、どれもめちゃくちゃうめえ。俺はこっちの肉の方がいいな。漬け方についてはどっちか選べねえぞ……」
「僕もダナマベアのお肉の方が好きかな」
「私もそちらの方が好きですね。漬け方はどちらも同じくらいおいしいです」
「ホホ~!」
カルラ、コレットちゃん、ジーナ、フー太の順にそれぞれ感想を教えてくれる。
「やっぱりダナマベアの肉の方がベーコンに適しているみたいだな」
ワイルドディアの方も悪くないけれど、ダナマベアのベーコンの方が旨いのはみんな同じ意見のようだ。ダナマベアの方が高級肉というのもあるが、ベーコンには適度に脂身のある肉の方が適している。ワイルドディアは赤身部分がだいぶ多かったから、それも関係しているのだろう。
漬け方は、個人的には塩漬けにした方がベーコンの塩気にムラがあって逆に好きだったりする。人間の舌は味にムラのある方がより差を感じられると聞いたことがある。
ふむ、手作りベーコンもいい感じだったな。それじゃあ焼き立てのパンとベーコンを使ってもう一品くらい作ってみるとするか。
「よし、できた」
「うわあ~おいしそうだね!」
「ホホ~♪」
パンを半分に切って、焼いた厚切りベーコンの上に卵を落として作った目玉焼きを挟んだものだ。
シンプルだが、絶対に間違いがないやつだな。丸パンを半分に切っているから、見た目はハンバーガーみたいに見えるかも。
「っ! これはおいしいです! ふわふわのパンに、塩気のあるベーコンに、半熟の目玉焼きが抜群に合いますね!」
ジーナが興奮した様子で教えてくれる。
「このままでもおいしいけれど、塩コショウ、醤油、ソースなんかを掛けてもおいしいよ」
すごい勢いで一気に食べ切ってしまいそうなので、ここは味変の提案を早めにしておこう。
「そんじゃあ、俺はこっちのソースってやつを掛けてみるか……ドロッとしていて真っ黒でなんだか微妙だな。うおっ、味はうめえ!」
カルラはソースを見るのは初めてだった。やっぱりみんなと同じで最初はソースの見た目を微妙に思うらしい。確かにこっちの世界だと、ここまでトロミのついたソースや真っ黒な調味料なんかを見ない。
しかしソースは濃厚な味でいろんな食材に合う。
「お醤油を掛けてもおいしいね!」
「塩コショウも風味や香りが加わっていけますね!」
「ホー♪」
ここでもすでに割れているが、目玉焼きに何を掛けるか問題は、日本でもシビアな問題だ。他にもケチャップやマヨネーズなどの派閥も存在する。
個人的には醤油派だが、今回は焼き立てのパンと塩気のある分厚いベーコンと一緒なので、シンプルにコショウを掛けて食べるのがいいかもしれないな。
焼き立てのパンとベーコンが食卓に加わるのは大きい。これで今後の旅がより楽しくなるだろう。
第二章 ノクターラの街
今日はいよいよノクターラの街へ入る。次の目的地の情報を集めつつ、ドラゴンの素材が売れるかの確認、食材の確保などやることは山積みだ。
「どうだ、これで大丈夫そうか?」
「ああ、大丈夫だよ。翼は外に出ちゃっているけれど、鳥人もいるし、隠しているよりもこっちの方がよさそうだ」
カルラにはアステラル村で購入した大きめの外套を着てもらう。背中の部分には穴をあけているため、カルラの赤い翼は外に出ている。最初は翼も外套の中に入れてもらっていたけれど、背中がもっこりとしていて、余計不審に見えてしまった。
この世界には背中に翼の生えた種族もいるし、それなら堂々と翼は出してもらうことにした。まあ、俺達が目立っているのは今更だしな。
入場税の銀貨二枚を納めて簡単なチェックを受けてから街の中へ入る。
チェックの際はカルラの外套も取らなければならず、衛兵の人達にはだいぶ驚かれた。他にも森フクロウのフー太や黒狼族のコレットちゃんがいたことにも驚いていたな。
どうやら、この街ではそこそこ森フクロウや黒狼族について知られているようだ。それよりもカルラが驚かれていたから、やっぱり龍人族はかなり有名らしい。カルラには悪いが、街の中では外套を着てもらい、真っ赤な髪や白い角を隠しておいてもらうとしよう。
「オドリオの街と似たような雰囲気ですね」
「確かにね。これくらいの規模の街が普通なのかもしれないな」
ジーナの言う通り、この街はオドリオの街の雰囲気に似ている。ロッテルガの街ほど大きくてにぎわっているわけでもなく、マイセンの街のように湖と接している特徴的な街でもない。こういった街がこの異世界ではベーシックなのではないだろうか。
「いや、村なんかと比べると、ここだってとんでもなくすげえぞ! 街へ入るのは久しぶりだぜ」
「カルラはあんまり街へ入ったことはないの?」
「ああ、人が多い街だとたまに襲われるから、ほとんど入ってこなかったな。入るとしても小さな村くらいだ」
「なるほど……」
龍人族というのは生まれつき持った力は強いらしいけれど、いろいろと大変そうだ。
「それじゃあ、冒険者ギルドへは俺とジーナで行ってくるから、少しの間だけ待っていてね」
「おう、了解だぜ!」
「うん、わかった!」
「ホーホー!」
この街の冒険者ギルドの場所を確認し、建物から少し離れた目立たない場所でカルラ、コレットちゃん、フー太といったん分かれる。さすがにこの全員で冒険者ギルドへ入るのは目立ちすぎてしまうから、この中では比較的目立たないジーナと一緒に行くことにした。
さすがにコレットちゃんとフー太の二人と別行動をするのは少し不安だったから、カルラがいてくれてとても助かった。尾行なんかにも気を付けて、できるだけ目立たないように行動するとしよう。
無事にドラゴンの素材を換金できればいいのだが……
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<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
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最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
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