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第200話 シルバーウルフ
しおりを挟む「ホホー!」
「シゲト、止まってください!」
「むっ!」
隣にいるフー太とジーナの声が重なり、すぐにブレーキを踏む。
いつも通りそれほど速度は出していなかったので、すぐにキャンピングカーが停止した。
「ホー、ホホー!」
「少し先に魔物が数体おります」
「了解。俺にもなにかが動いていることは見えたよ」
ブレーキを踏んでいる間に俺でも見える範囲に何やら動くものがいることを確認できた。
「俺の出番か?」
「いや、まだ相手には気付かれていないからゆっくりと走って避けて進む。ただ、魔物が襲ってくる可能性もあるから警戒はしておいて」
「おう、了解だ」
俺たちは何度も経験してきたが、ガレンは初めてなので改めて伝えた。
道先に魔物がいる場合、そこから逸れた場所を走ってしばらくしてから元のルートへ戻る。
「……よし、問題なさそうだな」
進んできた方向を変え、スピードを落としながらゆっくりと進む。
「あれは銀色のオオカミですね」
「ああ。あいつはシルバーウルフのようだ。単体でもそこそこつええが、4体もいると経験の浅い冒険者じゃ厳しい相手だな」
ジーナとガレンはよくあんなに遠くにいる魔物姿が見えるな。草原で視界がいいとはいえ、数まで分かるとはすごい。
俺には緑色の草原に銀色の小さな塊が動いているくらいにしか見えないのに。
「ん? なんだかこっちに近付いてきてねえか?」
「本当だ、こっちに向かって来ているみたいだよ!」
「まさか。さすがにこんな離れていて透明化したキャンピングカーに気付くなんてことは――」
「いや。カルラとコレットの言う通り、確かにこっちの方へ向かってきているみたいだぜ」
「ホホー!」
「っ!?」
みんなの言う通り、確かに銀色の塊はこっちの方に近付いてくる。
「スピードを上げるよ!」
ハンドルを切ってシルバーウルフから離れるように進行方向を変え、スピードをさらに上げる。
「まずいですね、少しずつ追いつかれています」
稀に音や匂いに気付いて見えないキャンピングカーを追ってくる魔物もいた。だが、それはキャンピングカーで走り去ってだいぶあとに気付いたし、スピードを上げればちぎることができた。
だが、今回の魔物は足も速い。さらにスピードを上げることは可能だが、これ以上は事故を起こしてしまう可能性が高くなる。
「シゲト、こいつを止めてくれ。こういう時こそ俺の出番だろ?」
「私も出ます!」
「俺も行くぜ!」
「……分かった、気を付けて!」
ブレーキを踏みキャンピングカーを停車する。バックモニターを見ると、すでにシルバーウルフはこのキャンピングカーのすぐそこまで迫っていた。
「行きます!」
「ホホー!」
ジーナとフー太が助手席から外に出る。
「さて、もらったぶんの仕事はしっかりしねえとな」
「よっしゃあ、いくぜ!」
後ろの席からはガレンとカルラが飛び出す。
俺はアイテムボックスから大きな盾を出し、クマ撃退スプレーを持ったコレットちゃんと一緒に少し遅れてキャンピングカーの外に出た。
「グルルル……」
外に出るとすでにシルバーウルフたちはここまで追いついていた。キャンピングカーに追いついてくるくらいの速度だし、足がかなり速い魔物らしい。
「食べられる魔物でもないし、さっさと引いてくれるとありがてえんだがな」
シルバーウルフたちは先頭にいるガレンを前にして唸るだけで攻めてこない。ガレンの強さを感じ取っているのだろうか?
ガレンの後ろにはジーナとカルラが剣と爪を構え、フー太はその上空に待機して戦闘態勢だ。事前に相談をして、戦闘の際はガレンが先頭に出て、俺たちが後ろで援護をするように決めている。
ただ、相手のシルバーウルフは以前に見た同じオオカミ型の魔物であるブラウンウルフよりも身体が一回り大きい。しかも数が4体もいるし、元Aランク冒険者のガレンといえ、大丈夫なのだろうか?
「ガルルル!」
「ガレン!」
先頭にいた一番小さな個体のシルバーウルフがいきなりガレンに迫り、思わず声が出る。
ザンッ。
「……は?」
だが、次の瞬間には先ほどまでそこにいたはずのガレンの姿が消え、襲いかかってきたシルバーウルフの首が宙に舞っていた。
剣に手を添えてはいたが、まともに構えという構えも取らずに立っていたガレンがすでに剣を抜いている。斬った瞬間はまったく見えなかったが、ガレンが斬ったのは間違いないだろう。
「グルッ!?」
「キャンッ!」
「よしよし、賢いな。まっ、無理に後を追う必要はないだろう」
そして残りの3体は圧倒的な力の差を感じたようで、一目散に草原をかけて逃げていった。
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いつも拙作をお読みいただき、誠にありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾
当作品の第3巻が発売中です!
また、コミカライズも連載開始しておりますので、どちらも応援よろしくお願いしますm(_ _)m
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その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
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