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第12話 ポイントの増加

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「……さて、問題はどう寝るかだな」

「私は外で寝るからシゲトは気にしないでくれ」

「………………」

 一応このキャンピングカーには4~5人が寝られるスペースが十分にある。しかし、今日出会ったばかりのジーナと一緒にキャンピングカーの中で寝るというのは少しためらわれる。

 ……というか、フー太がいるとはいえ、こんな綺麗な女性とひとつ屋根の下ならぬ、ひとつキャンピングカーの下で寝るというのは年齢イコール彼女いない歴の俺には難しい。

 かといって外にジーナひとりをほっぽり出すのも男としてどうかとも思う。

「ジーナさえ良ければ、キャンピングカーの中で寝るか? 中は結構広いから、離れた場所で寝られるぞ」

「いえ、気にしないでください! ……それに正直に言って、まだ魔物のお腹の中で眠るのは少し怖いです。も、もちろんシゲトやフー太様と一緒に寝るのが嫌というわけではないですよ!」

「……そうか、分かったよ。せめて寝具はこっちの良いやつを使ってくれ。それと何かあったらすぐに起こしてくれよ」

「ありがとう、シゲト。感謝します」

 結局ジーナだけキャンピングカーの外で寝ることになった。基本的に寝る時は地べたにそのまま寝るというので、マットと寝袋を貸してあげた。テントも貸してあげようと思ったのだが、どうやら夜に魔物が襲撃してくる可能性もあるので、すぐに対応ができるようテントは不要なようだ。

 どうやらこの世界ではテントを張ってのんびりキャンプをするというのが難しい世界らしい。う~ん、キャンプと野営はだいぶ違うようだな。

 ……それとジーナが俺とフー太と一緒に寝るのが嫌ではないということは嘘ではないと信じたい。





 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「うう~ん、温かい……」

 ゆっくりと目を開けると、目の前には白くてモフモフとして温かい感触をしたものがあった。

 思わず抱きしめると、これまたモフモフしてとても気持ちがいい。このまま夢の世界にもう一度入ってしまいそうだ……

「……はっ! そうだ、ジーナは大丈夫か?」

 もう一度夢の世界に入りそうなところを何とか堪え、目を覚ました。横を見ると大きなサイズになったフー太がとても気持ちよさそうに眠っている。隣のベッドで寝ていたはずだが、いつの間にか俺の布団の方に潜り込んでいたらしい。

 眠っている姿もとても可愛らしい。カーテンを少しだけ開けると、すでに日が昇っていた。ジーナの方はまだ眠っているようだが、魔物が近付いて殺気を放てば自然と目が覚めるらしい。

「今のうちに朝食を作るか」



「シゲト、このパンはとっても美味しいです! 焼いたパンの外側はザックリとして、中からは温かい茹でた卵や甘い果実の味がします! それにこっちの甘いスープも優しい味ですね!」

「ホーホー!」

「気に入ってくれたようで良かったよ」

 今日の朝食は昨日と同じホットサンドとコーンスープだ。

 ホットサンドの方は残りの卵を茹でたゆで卵にマヨネーズと塩コショウを加えてあえたものとイチゴのジャムを挟んで焼いたものだ。これで多めに買っていた食パンの方もなくなった。

 スープの方はインスタントのコーンスープを使った。こっちはケトルで沸かしたお湯にコーンスープの素を入れただけだが、身体が温まって美味しいんだよな。

「それに昨日シゲトに借りた寝具はとても寝心地が良かったです。危うく外なのに完全に熟睡してしまうところでしたよ。本当にありがとうございました」

「俺の故郷だと寝やすさをかなり追求した寝具があるからな。よく寝られたんなら何よりだよ」

 俺が持っているマットや寝袋などはそこまで高価なものじゃないけれど、それでもこの世界の寝具よりは柔らかくて寝心地がいいのだろう。マットを地面に敷くだけでもだいぶ寝やすくなるものだ。

 さあ、朝食を食べ終わったようだし、ジーナの村へ向けて出発するとしよう。



「……んん? あれっ、これはどういうことだ?」

「ホー?」

 朝食を食べたあとの食器を片付け、ジーナの村へ歩いていくため、必要そうな荷物をリュックに詰めた。そして最後にジーナの村までの道のりをカーナビで確認したところだが、おかしなことに気が付いた。

 なんとなく★マークを押して、残りのポイント数を見てみると、なぜか4ポイントに増えていた。これまでに取得した拡張機能はナビゲーション1ポイント、ガソリン補給機能1ポイント、水補給機能1ポイント、キャンピングカー収納機能2ポイント、車体強化機能2ポイントで合計7ポイントのはずであった。

 元々が10ポイントあったので、残りは3ポイントだったはずなのだが、1ポイント増加している。これは一体どういうことだ?

「……考えられるのは走った距離、時間、あるいはフー太やジーナと出会ったからか?」

「ホーホー?」

「ああ、ごめん。よく分からないけれど、このキャンピングカーの機能をもっと強化できるっぽいんだ」

「ホー!」

「うん、それはとてもいいことなんだけれど、どうしてポイントが増えたのかは確認しておきたいところだな」

 フー太嬉しそうに両方の翼を広げて喜んでいる。確かにポイントが増えたことは非常に嬉しいが、どうして増えたのかは今後のためにも知っておきたい。どうやらまだ色々なことを検証する必要がありそうだ。
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