キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ

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第187話 求めていた情報

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「おおっ、ようやく大きな街が見えてきたな」

「ええ、とっても大きい壁ですね」

「ホー!」

 ハーキム村を出てから3日が過ぎた昼過ぎ。ようやく大きな街の壁が見えてきた。

 次の目的地まで直線距離だとそこまでないのだが、この辺りは森が多く、だいぶ迂回してきたから、結構な距離を走ってきた。

 時間が多少かかっても安全第一だ。それに距離を走ればキャンピングカーのレベルアップにも繋がるからな。

「ふう~ここまでなかなか面倒だったぜ」

「魔物がいっぱいいたね」

「森が多くて自然が多いから魔物が多いかもしれないな。無事に辿り着けてよかったよ」

 大きい森が多いからか、道で遭遇した魔物の数がこれまでよりも多かった気がする。

 昨日の夜には鼻の利くオオカミ型の魔物が透明化したキャンピングカーの存在に気付いて取り囲まれた。幸いコレットちゃんが魔物の存在に気付いてくれ、ジーナとカルラとフー太が追っ払ってくれた。無事に街まで到着できたことに感謝だ。



「……うむ。問題ないようだな。通っていいぞ」

「はい、ありがとうございます」

 いつも通り街の入り口で通行税を払い、門番の人のチェックを受ける。

 外套を脱ぐといつものように龍人族であるカルラは驚かれた。コレットちゃんの方はそこまで驚かれていなかったから、黒狼族はこの辺りだとそこまで変に思われていないのかもしれない。

「ようこそアルカンの街へ。ああ~ひとつ忠告しておくと、この街は他の街よりも冒険者が多い。そっちの龍人族の娘とエルフの女性を連れていると絡まれるかもしれないから、あまり人気のない通りへは行かない方がいいと思うぞ。なにかあったら冒険者ギルドへ相談に行くといい」

「なるほど。忠告ありがとうございます」

 門番の人から忠告を受け、アルカンの街へと入る。

「おおっ、結構大きな街みたいだ。やっぱり街並みはどこも違うから、新しい街を見て回るのは新鮮だな」

「シゲトお兄ちゃん、あっちからいい匂いがするよ!」

「ホー!」

「本当だ。あっちは屋台街か。宿をとったら行ってみようね」

 やはり新しい街を訪れるのは楽しいものだ。

 コレットちゃんの言う通り、いい匂いに惹かれてしまうが、まずは宿を確保するのが先決だ。俺もだいぶ異世界を旅することに慣れてきたな。



「よし、とりあえず宿は確保できた。晩ご飯は宿で食べるから、その前にちょっとだけ市場と屋台街へ行ってみよう」

「うん!」

「ええ、いいですね」

「ホー」

 問題なく宿を確保することができたので、少し宿でくつろいでいる。

「それにしても、本当に冒険者が多い街だな」

「確かに。もしかすると、近くに魔物が多いから冒険者たちが集まってくるのかもしれないな。市場で情報を集めてみよう」

 門番の人の言う通り、街中には他の街以上に冒険者の格好をした人を多く見かけた。

 この街の付近は大きな森が多く、俺たちがここまで来る間に魔物と遭遇する頻度が今までで一番高かった。次の目的地も含めて、買い物をしながら情報を集めるとしよう。



「ええ、この辺りには魔物が多いから、近くの街の冒険者の方がよく集まってくるのよ」

「なるほど」

 野菜を売っているお店で買い物をしながら、40代の女性から話を聞く。

 俺たちの予想通り、森の魔物が多いため、付近から冒険者が集まってくるようだ。やはり地元の人の情報量は多くてとても助かる。買い物もできて一石二鳥だ。

「昔に比べると人が増えたし、物が売れて街が栄えていいことね。冒険者の人には感謝しているわ」

 なるほど、魔物が多いと不便なのかとも思ったけれど、魔物の素材を求めて冒険者が集まり、人が集まって街は栄えていくわけか。

「ありがとうございます。あと、この地域で有名な観光地や珍しい食べ物なんかあったりしませんか?」

「そうねえ。観光地だとここから少し距離があるけれど、ロンデル遺跡が有名かしらね」

「へえ~遺跡ですか!」

「シゲト、遺跡とはなんなのでしょうか?」

「ホー?」

 みんなが首を傾げている。そうか遺跡といっても伝わらないか。

「遺跡は昔の街や文明の跡地だよ。当時の人たちが生活をしていた家や生活様式なんかを見ることができるんだ」

 元の世界でも貝塚や古墳などといった遥か昔の遺跡が残っている。戦国時代の城跡とかも遺跡に含まれるらしい。

「あら、お兄さんはよく知っているわね。なんでも100年以上昔の集落の跡が残っているらしいわよ。街の規模も大きくて、神殿なんかも残っているようね」

「それはすごい! ぜひ行ってみたいな」

 異世界の遺跡とかテンションが上がる。魔法のある世界だし、古代の魔法文明とかだったら面白いぞ!

「ただロンデル遺跡はここからしばらく南にあって、ここよりも魔物が多く生息しているから、気を付けないといけないわね」

「そっか、この辺りは魔物が多いのかあ……」

「魔物なら私にお任せください!」

「おう、俺もいるぜ!」

 ジーナとカルラがそういってくれるのは嬉しいけれど、あんまり魔物が多い場所へ行くのは少しためらわれるな……。もう少し情報を集めて、どれくらい強い魔物がいるのかを確認しないといけない。

「あとはロンデル遺跡の手前にある村で育てているという穀物が有名ね」
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