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1.拘束・焦らし・言葉責め・潮吹き
しおりを挟む「先にシャワーどうぞ。私は準備があるので、ごゆっくり」
つ、ついに来てしまった。
ラブホテルの大きな浴室でシャワーを浴びながら、伊藤和馬は何度も深呼吸する。
(初めてのゲイ風俗で、SMって・・・)
そう、和馬は今日初めてゲイ向けの風俗を利用した。というのも、これまではそういうバーで相手を見繕っていて、相手には特に困っていなかったのだ。
和馬はいわゆるタチ専である。こだわっているわけではないが、それなりの体格とそれなりの巨根を持っていたため、結果的にそうなった。実際特に抱かれたいとは思わないし、自分を抱きたいと思う男もいないだろうし、と、現状に不満を持っているわけではない。不満を持っているとしたら、セックスに、だろうか。
真面目な和馬は、相手に気持ちよくなってもらえるようにとことん尽くして抱いてきた。アナルが好きな子にはぐずぐずになるまで指や道具で前戯したり、すぐ射精してしまうのが悩みだと言う子には泣くまで寸止めしてあげたり。とにかく相手の子が求めることをできるだけ叶えながら、丁寧なセックスを心がけたつもりだ。
お世辞かもしれないが、「こんなに気持ちよかったのは初めて」と言われたことは何度かあるし、恋人やセフレになりたいと言われることも少なくない。平凡な顔立ちながら、ゲイバーではなぜか「快楽責めのカズ」と呼ばれて、比較的モテていたと思う。通り名は恥ずかしいからやめてほしいが。
とにかく、そういうセックスをしてきた和馬としては、相手に喜んでもらえて嬉しい気持ちはあるものの、同時にどこか満たされないものを感じていた。
「あんた、本当はMなんじゃない?相手にサービスするより、してほしいのかもね」
ある日ゲイバーのママからそう言われ、ハッとした。たしかに、相手の気持ちよさそうな顔を見て昂ることはあれど、相手を責めることで興奮するわけではなかった。
「一回サービスを受ける側に回ってみたら?ほら、駅裏にできたでしょ、ゲイ風俗。あそこSM中心らしいわよ」
そうして和馬は、ママから教えてもらったゲイ向けSM風俗、"Silver Lash"に電話をかけ、今日初めてソフトSM体験をすることになったのだった。
「緊張してます?」
「まぁ、ちょっと」
風呂から上がった和馬は、全裸でベッドの上に座らされていた。秋月と名乗ったボーイが後ろから優しく抱き留めている。耳元で話されるとくすぐったい。
秋月さん、綺麗だし、優しそうな人でよかった。
和馬はほっと肩の力を抜いた。
「えーと、お名前、和馬さんとお呼びしてもいいですか?」
「あ、うん」
「少し触れますね」
秋月が和馬の体を撫でていく。触れるか触れないかの絶妙な力加減は、気持ち良さとくすぐったさが混ざり合って、和馬の息を乱れさせた。
「は、っふ」
「今日はソフトなのがいいんでしたよね」
「ん、うん」
「あとで、両手と両足、拘束しましょうか」
「っ、はい・・・っ」
「目隠しはどうします?」
「や、それは、ちょっと、怖い」
「うん、じゃあ今日は目隠しはやめましょう」
背筋を指でなぞられ、全身が総毛立つ。脇腹をくすぐられ、じっとしていられない。
「んん、は、は」
「逃げないで。脚を開いて」
「あ・・・」
「ふふ、ちゃんと勃ってますね」
ゆるく脚を広げると、秋月の指が内股をなぞった。しっかりと屹立した赤黒いそれが、二人の視線を受けてぷるぷると揺れる。和馬は恥ずかしさにぎゅっと目を閉じた。
「恥ずかしい?顔が真っ赤」
「う、ぁ」
「SMは初めてなんですよね?」
「う、ん」
「じゃあしっかり気持ちよくなってもらえるよう、私もがんばります」
「ふ、はぁっ」
「プレイ中、本当にやめて欲しい時は"レッド"って言ってください。すぐにやめますから。わかりましたか?」
「うん、わかりました・・・」
「いい子」
秋月が頭を撫で、首元にちゅっとキスをしてくれる。
やばい。これはやばい。
恥ずかしいのにめちゃくちゃ興奮するし、くすぐられるのもこんなに気持ちいいとは知らなかった。それに、今みたいに秋月さんに褒められるのもドキドキしてやばい。キスされた首元が燃えるように熱い。
自分はMなのだと、ここでやっと実感した。もっと意地悪されたい。もっと気持ちよくしてほしい。和馬の頭の中が蕩けていく。
全身を撫でていた秋月の手が離れ、和馬を仰向けにし、両手をベッドに拘束した。そのまま両足もベッドの隅に括られる。大の字の状態で身動きが取れなくなったのを感じ、和馬の腰がぶるっと震えた。
「和馬さん、怖くないですか?大丈夫?」
和馬の隣に秋月も横になり、顔を覗き込まれる。大丈夫だと頷くと、秋月の手がまた体中を這い始めた。
「和馬さんの体、引き締まってるから撫でるの楽しい」
「そ、なことない、でしょ」
「いやいや。この胸板も、腹筋も、ちょうどよくて私の好み」
「は、っあ!」
乳首の周りや腹筋の溝を指でなぞられ和馬の背が浮く。
「ここも、すっごい凶悪・・・」
「はああッ」
秋月が和馬の陰毛をくるくると指に巻きながら言う。ふう、と勃起した陰茎に息を吹きかけられると、先端からたらりと先走りが垂れたのがわかった。
「この大きいので、いっぱいネコちゃん泣かせてきたんでしょう」
「や、そんな、ことはッ」
「興奮してる?びくびくして、先っぽから涎止まらないよ?」
「あ、あ・・・」
見て、と言われて自身の陰茎を見ると、見たことがないほど膨張したそれが射精寸前のように脈動し、とめどなく先走りをこぼしていた。陰茎の真近で、秋月が嗜虐的な笑みを浮かべている。
「あ、秋月さんッ、俺、っはぁ!」
「ん、何ですか?」
「さ、触って、触ってッ!」
「触ってますよ、さっきから」
腰をカクカクと突き上げながら秋月に請うが、秋月の手はゆっくりと内股を撫で上げただけだ。たまらず和馬が大きく呻く。
「タマタマもパンパンですね。今日のために溜めてました?」
「ああッ、3日、オナ禁、してたっ」
「ふふ、可愛い。なでなでしてあげますね」
「あああ・・・」
両手で陰嚢を包み、二つの玉を擦り合わせるようにやわやわと揉まれる。鈍い快感に内股が震え、思わず腰を何度も突き上げた。
「こーら、はしたないですよ」
ペチン。
軽く腿を叩かれ、反射的に腰を落とす。そのまままた陰嚢を軽く揉まれ、和馬の口から噛み殺しきれない喘ぎ声が上がった。
「んん、っああ!」
「ぷりぷりのタマタマ、可愛い・・・」
足の間に秋月が移動し、そのまま陰嚢の裏をゆっくりと舐め上げられる。ぞわぞわとした快感とくすぐったさに、和馬の口から涎が垂れた。そのまま会陰を指でなぞられ、勝手に腰が浮き上がる。
「うあああ!あああ!!」
「ん、和馬さん、これだけでイッちゃいそう」
先端から漏れ続ける先走りと秋月の涎がアナルまで伝っている。陰嚢を口に含まれ、会陰からアナルの表面までをぬるぬると指でさすられると、和馬の全身がつっぱった。
「あ、俺、もう・・・ッ」
腰を振り上げて力を込めようとした時、秋月の舌と手が離れる。
「ゔーーー!っん゙ん゙!」
「だーめ」
取り上げられた快感を追うように、和馬の腰が何度も空を打つ。耳元に吹き込まれる秋月の声にふるふると首を振った。
「ちんこ、ちんこ触って・・・」
「だーめ」
「ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙!!」
気持ちよくて、辛くて、和馬が必死に腰を振り上げる。それをまた腿を叩かれ宥められた。
「おちんちんは、おあずけ」
「ふ、ふ、んんんッ」
和馬を見下ろし、秋月が蕩けたような顔で笑う。そのまま首元をちゅ、ちゅ、と吸われ、両手で上半身を撫で始めた。肌を軽く吸われ、舌で舐められ、指でくすぐられると、あまりの快感に和馬の全身に鳥肌が立つ。
「は、は、は」
「和馬さん、気持ちい?」
「気持ち、い、いッ、はあっ、はあっ」
「可愛い。もっと意地悪したくなっちゃうな」
「ゔ~~~~~」
耳の中を舐めながらそんなことを言われ、和馬の腰が震えた。どぷ、と先走りがあふれ下腹部にぬかるみが広がる。
「は、は、は、はあっ、ああっ」
「ねえ和馬さん。和馬さんはおっぱい感じる?」
「ふ、あ、あんまり・・・っ」
「触ってみてもいい?」
秋月の指が乳首の周りをくるくると撫でた。ゆっくりと指が中心に寄っていく。
「は、は、は・・・っ」
「ふふ、期待して胸が反ってきてる」
「あ、あ、はぁっ」
「ほら、届いちゃう、届いちゃうよ」
「あああッッ!!」
両方の突起に秋月の人差し指が触れると、全身にびりびりと電撃が走った。そのままくりくりと先っぽを擦られ、思わずのけぞって体を痙攣させる。
「あれー?あんまりじゃなかったんですか?」
「はああーー!っあああ!んーー!!」
「腹筋ビクビクしてる。ほら、足に力入れないの」
「は、は、あああッ」
胸を弄る手を離して、ペチペチと脚を叩かれた。一生懸命力を抜くと、褒めるように片方の乳首を舐め上げられる。舌先で先端を捏ねながら、もう片方は爪でカリカリ引っ掻かれた。緩く曲げた足がぶるぶると震え、溜まった先走りが脇腹を伝ってこぼれていくのがわかる。
「ん゙ん゙ッ、んああああっ」
「おっぱい、気持ちいいんじゃないですか」
「は、は、気持ち、い、やばい、やばいッ」
「どこが気持ちいいって?」
「んッ、やぁ・・・!」
「和馬さん、今どこが気持ちいい?」
「ぁ・・・おっぱい、気持ち、い・・・」
「ふふ、よく言えました」
じゅっと強く乳首を吸い上げられ、もう一方もくにくにとつまんで揉まれた。思わずガクンと腰を突き上げ、そのまま硬直する。
「あ゙ーーー!!!」
「気持ちいいねえ、和馬さん」
「あ゙、あ゙、やばい、秋月、さん、なんか、っあ、イ゙き、そぉ・・・ッ」
「だめだめ。腰落として」
「や、やっ!んああ!」
「本当に和馬さんって、こんなんでネコちゃん達を抱けてたんですか?おっぱいだけでイクイクしちゃって」
「ゔ~~~~」
先走りでぬるぬるの下腹部を揉み込まれ、耳元で恥ずかしいことを言われ、真っ赤になった目元から一筋の涙がこぼれる。
「泣いちゃった?つらい?やめる?」
「やめ、ない・・・っ」
「ふふ、えらい。和馬さん、恥ずかしくて泣いちゃったのかな?でも気持ちいいよね?ちんちん大きいままだもんね?ほら、私が耳元で話すたびに先っぽからお汁が漏れてる。お腹、びちゃびちゃ」
「ゔ~~~~!!」
あまりの羞恥にブンブンと顔を振る。もう腹をさすられるだけでイきそうだった。近くにある秋月の顔を、潤んだ瞳で見つめる。
「どうしたの、そんな可愛い顔して」
「ん、あ、秋月さん、キス、して」
「あらら。ちんちんより私とのキスがいいの?」
「ちんちんも、触ってほしいッ」
「どっちか一つだけ、お願い聞いてあげようかな」
「ゔ~~~!!・・・キス、して、くださいッ」
秋月が少しだけ目を見開き、にっこりと笑った。
「私、本当はキスNGなんですけど、和馬さん可愛いから、特別です」
「は、は、は・・・ッ」
ぺろ、と唇を舐める舌から目が離せない。口を開けたまま、秋月の美しい顔が近づいてくる。奥に見える舌が艶かしい。和馬は待てずに一生懸命舌を伸ばした。
ちゅぷ。
和馬の舌が秋月の唇に吸い付かれ、そのまま絡めとられる。まるで口淫をするように、舌が舐め上げられ、吸われ、扱かれた。上あごや歯列もなぞられ、和馬の腰が震え始める。
「ん、ん、っふ、んんんっ」
和馬が腰を突き上げるのに合わせて、ギシ、ギシとベッドが鳴る。音の間隔が狭くなり、一際大きく腰を突き上げた瞬間、秋月の指が和馬の陰茎の根元を強く絞った。
「ん゙ーーーー!!!」
「だーめ」
「ん゙ん゙ッ!あ゙ー!もう、出る、出る!!」
「だめだめ。我慢」
「あ゙あ゙っ!嫌だぁッ」
「キスでイッちゃう和馬さんも可愛いけど、私、こんなにがんばったおちんちん、ちゃーんと扱いてあげたいな?」
「はあっ、はあっ、あああッ」
「ぬるぬるのおちんちん、両手で包んで、ゆっくりごしごししてあげたい。射精した後もそのまま扱いてあげる。和馬さん、して欲しくない?」
「っぐ、ぅ・・・し、してほし、い」
「ん、我慢できたね。えらい」
ちゅ、ちゅ、と口や頬、首元にキスを落とされ、和馬の思考がぼうっと霞む。秋月が腿の上に跨り、両手にローションを少し垂らした。くちゅくちゅと手を擦り合わせる音が聞こえ、ゴクリと唾を飲み込む。
「和馬さん、ゆっくりしますから、私がいいって言うまで射精は我慢してくださいね」
「へ?いや、そんな、無理・・・ッああああああああッ!!!!!」
「ほら、がんばって」
先走りでぐちゃぐちゃの陰茎をローションまみれの両手で包まれ、和馬が絶叫する。腰が勝手に上下に振りたくられた。
「まだ我慢ですよ、我慢ー」
「あ゙あ゙ッ!お゙お゙お゙お゙お゙!!」
幸か不幸か、許容量を超えた快感に、逆に射精ができなかった。和馬は狂ったように腰を振りながら獣のような雄叫びをあげ続ける。
「その調子。このまま30秒間我慢しましょう」
「ゔがああああ!!無理、死ぬ、死ぬッッ!!」
「大丈夫、ゆっくりしてあげますからね」
「あ゙あ゙あ゙あ゙んんん!!あ゙ーーー!!!」
両手を組み、祈りを捧げるような形で和馬の陰茎を包んだ秋月が、ゆっくりと手を上下に動かし始めた。親指と人差し指の間からパンパンの亀頭がゆっくり出たり入ったりする。
「あ゙あ゙!それ、だめ!!あ゙ーー!!無理、出るッ!!」
「我慢ですよ、あと20秒」
「ん゙ーーーー!!!ぐあああああ!!!」
「先っぽ、ぱくぱくして可愛い。出したいですよね、がんばれ、がんばれ」
「ん゙ーー!!ん゙ーー!!あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」
「すっごい痙攣・・・ふふ、タマタマも上がりっぱなし。気持ちいいね、和馬さん。あと10秒」
和馬の両目から涙が止まらない。裏筋が秋月の親指で擦られ、カリ首を手の輪っかで扱かれる。本当にもう我慢できない。もうそこまで上がってきている。和馬の瞼の裏が白く染まった。
「はい、30秒。和馬さん、射精して」
「はっ、あ゙ーーー・・・ッ!!!お゙ッ、お゙お゙ッ!ん゙!」
掛け声とともに和馬の全身が硬直し、すぐに激しく痙攣する。秋月の指の間から、凄まじい量の精液が噴き上がった。秋月の顔どころか、和馬自身の口元にまで飛んでいく。噴き上げるたびに足や腰が跳ね、上に乗っている秋月がガクンガクンと突き上げられた。
「あ゙ー!もう、離してッ!あ゙あ゙あ゙!!」
「我慢できたご褒美です。もっともっと気持ちよくなってくださいね」
「ぎゃああああ!んぉ゙ーーー!!!」
秋月の手は止まらない。どれだけ和馬が身を捩っても、ゆっくりと手を上下し搾り続ける。指の間からくりゅん、くりゅん、と亀頭を飛び出させ、先端の割れ目に指をあてて磨いた。
「ぉ゙・・・ぉ゙・・・ッ」
絶叫していた和馬が一瞬静かになる。ぐーっと腰が持ち上がり、そのままびゅっと精液が噴き上がった。そのまま何度か腰を突き上げ、射精を続けている。
秋月の手はそれでも止まらない。虚な目で静かに射精していた和馬が大きく痙攣し、また低く唸り始めた。
「ぉ゙ーー・・・ッ!ん゙、お゙お゙お゙お゙ぉ゙ッ!」
「ちんちん、もっと気持ちよくなって、んう」
秋月がぴょこんと指の間から飛び出した亀頭を咥え、じゅる、と精液を吸い上げた。先を口に咥えたまま、手を上下に動かす。
「あ゙ーーーッ!!!あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」
亀頭を舌全体で磨かれ、鈴口を抉られた。秋月の手のスピードが上がる。
「あ゙!あ゙!あ゙!あ゙!あ゙!」
和馬が腰の奥から湧き出ようとする何かに怯え、秋月から腰を引こうともがいた。しかし秋月の口も手も離れない。仰け反りながらジタバタと足を暴れさせる。
「や゙!もれ、る!あ゙あ゙!あ゙ーー!!無理ッ!!」
「出して」
「あ゙ーーー!!!」
秋月の手のひらが亀頭を包み、全力で揉みしだいた。和馬の全身が引き攣り、大きく痙攣する。
ぷしっ。ぷしゃっ。
「ん゙ん゙ッ!!お゙ッ!!あ゙あ゙ッ!!」
高く掲げられた和馬の陰茎から透明の潮がしぶいた。ポンプのように腰が跳ね上がり、潮を何度も押し出していく。秋月はきゅっきゅっと亀頭を捻るように擦り続け、和馬の脳裏に火花が散った。
「わ、すごい、まだ出てます」
「・・・ッ!・・・ッ!ぁ゙ーーー・・・」
陰茎から何も出なくなって、やっと秋月の手が離れる。気を失った和馬の腰だけが、びくびくと細かく痙攣していた。
「ソフトって言われてたのに、激しくしちゃったな。ごめんね和馬さん」
未だ意識を失ったままの和馬の体を清めながら、秋月が独りごちる。そっと脇腹を撫でるとぴくぴくとそこが引き攣り、陰茎からとぷりと残滓が漏れ出た。
「ふふ、可愛い。これがあの快楽責めのカズさんだなんて」
和馬は気付いていないかもしれないが、実はこの地域のゲイ界隈で和馬は有名人であった。もちろん秋月も知っている。和馬といえば、とにかくセックスが気持ちいい、前戯で腰が砕ける、一度抱かれると忘れられない、巨根でネコ泣かせ、真面目で優しくてエチケットもちゃんとしている、と、大人気である。ただ誰とも付き合わないし、セフレになるのも断られるらしいと聞いた。それほどの人気者が、秋月の手でこんなに乱れてくれるとは。
和馬が相手に快楽責めをしていたのは、自分がされたいことを相手にしてあげてたのか、それとも単にサービス精神旺盛だったのか。どちらにせよ、和馬ほどのMなら確かに普通のセックスじゃ物足りなかっただろうと思う。
和馬の口の端から垂れている涎を舐め取り、無垢な寝顔を眺める。先ほどまでの彼の痴態を思い出すと、秋月の腰がぞくりと疼いた。まだ和馬は起きそうにない。秋月は手早く履いていたズボンを下ろし、我慢汁でどろどろの陰茎を扱き始めた。
「は、和馬さん、可愛い・・・」
間近で寝顔を眺めながら、キスを求めてきた表情を思い出す。あれはたまらなかった。その後キスだけで射精しそうになっていたのにもゾクゾクした。
「は・・・出るっ、んん」
びゅる、と手の中に精液を吐き出し、秋月は荒く息を吐く。客相手にここまで昂ったのは初めてだ。いけない、仕事なのに。秋月は手と性器を清め、和馬を起こそうと身をかがめた。
「秋月誠一さん、か」
和馬は秋月と別れる前にもらった名刺を眺める。また指名してくれると嬉しいです、と笑顔で言われたのを思い出して頬が緩んだ。
(綺麗な人だった・・・優しかったし、めちゃくちゃ意地悪だったし・・・)
あの激しい快感を思い出すだけで、また下腹部が熱くなってくる。間違いなく、人生で一番気持ちよかった。恥ずかしながら、潮吹きまでしてしまったくらいに。
(俺、こういうのを求めてたんだ)
和馬はこれまでにないほど満たされていた。もう普通のセックスで満足できる気がしない。財布の中身と給料日までの日数をカウントしながら、和馬の頭は秋月のことでいっぱいになった。
その日から「快楽責めのカズに本命ができて、誰も抱かなくなった」との噂が広まることとなる。
1、終わり。
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