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『上野裕樹』編 【完結】
【9月】様子がおかしい琉生
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夏休みが明け、二学期になった。
8月まで入院していた、月人と俺も退院し学校に通いだした。
まだ、残暑がある中暑さと眠気と戦う俺は病院にいる琉生のことを考えていた。
(あとで、病院いこうかな…)
俺はそんなことを考えながら6時間の苦痛を耐えた。
学校が終わると全速力で病院へ向かった。
ドアを開けると琉生が窓の方へ顔を向け、ぼーっとしていた。
可愛い。
その横顔はいつもと違って見えた。
「今日は顔色が悪いな…大丈夫か?」
ビクッと肩を動かす琉生。
「す、少し貧血気味でね…祐は心配しないで?」
「あんまむりすんなよ?」
そう言いながら俺は琉生の頭を優しく撫でた。
すると琉生は、撫でている手を取って、自分の頬にくっ付けたりスリスリしたり、手の甲にキスを落とした。
「る、琉生?」
俺は少し困惑した。
すると琉生はそのまま俺の手を引っ張った。俺は変な声を出しながら琉生の方へ倒れた。
そして、優しく抱きしめた。
俺はふと、いつもと違うことに気がついた。
俺は僕の顎をくいっと上げ、キスをした。
「んっ…ちょ…ゆ…ぅ…./////」
「いいから、黙ってろ」
しばらく、舌を絡ませ深く、深くキスをした。
「…////」
(血の味がする……)
俺の疑問は確信へと導かれた。
「琉生、本当に隠し事してないか?」
「むぅ…してないよ!!」
ほっぺを膨らませながら怒っている琉生。
そんな顔を見ると、つい笑ってしまう。
俺は半信半疑ながらも、この話を終わらすことにした。
「わかった。お前のこと信じるよ」
そして、琉生の頭を優しく撫でてあげた。
琉生が眠りに着くのを待っていると、何やら手に握りしめているのがあった。
琉生は安心しきっているのか、起きる気配はない。
琉生の手を開いて、握りしめているものを取るとそれは、血のついたティッシュだった。
(これを隠していたのか…)
俺は悔しかった。
琉生はこんなにも苦しんでいるのに、俺には言ってくれない。いや、言えないんだ。
きっと、琉生のことだから心配させまいと看護師にも黙っていて欲しいとねだったのだろう。
「琉生ごめんな。」
俺は琉生の頭をそっと撫でて、病室を後にした。
そして、担当医の元へ向かった。
琉生の担当医である、浅沼 潤先生はとても優しくて、幼い頃からお世話になっている先生だ。
きっと、反対されると思うがこれも琉生のため。俺は勇気を振り絞って先生に言った。
「先生、お願いします。来月琉生に外出許可をください。」
「上野くん…」
先生は神妙な顔をしている。
「気持ちはわかるが、君も知っているだろう?彼はもう長くない。もしかしたら病院に居たほうが彼の寿命が伸びるかもしれない。」
「わかっています。でも、俺は琉生に楽しかった思い出をあげたいんです。通いたい学校にも通えず、ずっと病院生活を送っている琉生に……」
先生と俺のあいだに沈黙が流れる。
「…1回だけだからな。」
「!!」
「ただし、彼の状態によってだ。悪かったら上げられない。来月、体調が良かったら1回だけ許可をやろう。」
「ありがとうございます!!」
やった…許可をもらえた!!
これで琉生と旅行にいけるんだ…!!
俺は先生の一言のおかげで、ラストスパート頑張ってバイトをしようと心に誓った。
琉生のために。
8月まで入院していた、月人と俺も退院し学校に通いだした。
まだ、残暑がある中暑さと眠気と戦う俺は病院にいる琉生のことを考えていた。
(あとで、病院いこうかな…)
俺はそんなことを考えながら6時間の苦痛を耐えた。
学校が終わると全速力で病院へ向かった。
ドアを開けると琉生が窓の方へ顔を向け、ぼーっとしていた。
可愛い。
その横顔はいつもと違って見えた。
「今日は顔色が悪いな…大丈夫か?」
ビクッと肩を動かす琉生。
「す、少し貧血気味でね…祐は心配しないで?」
「あんまむりすんなよ?」
そう言いながら俺は琉生の頭を優しく撫でた。
すると琉生は、撫でている手を取って、自分の頬にくっ付けたりスリスリしたり、手の甲にキスを落とした。
「る、琉生?」
俺は少し困惑した。
すると琉生はそのまま俺の手を引っ張った。俺は変な声を出しながら琉生の方へ倒れた。
そして、優しく抱きしめた。
俺はふと、いつもと違うことに気がついた。
俺は僕の顎をくいっと上げ、キスをした。
「んっ…ちょ…ゆ…ぅ…./////」
「いいから、黙ってろ」
しばらく、舌を絡ませ深く、深くキスをした。
「…////」
(血の味がする……)
俺の疑問は確信へと導かれた。
「琉生、本当に隠し事してないか?」
「むぅ…してないよ!!」
ほっぺを膨らませながら怒っている琉生。
そんな顔を見ると、つい笑ってしまう。
俺は半信半疑ながらも、この話を終わらすことにした。
「わかった。お前のこと信じるよ」
そして、琉生の頭を優しく撫でてあげた。
琉生が眠りに着くのを待っていると、何やら手に握りしめているのがあった。
琉生は安心しきっているのか、起きる気配はない。
琉生の手を開いて、握りしめているものを取るとそれは、血のついたティッシュだった。
(これを隠していたのか…)
俺は悔しかった。
琉生はこんなにも苦しんでいるのに、俺には言ってくれない。いや、言えないんだ。
きっと、琉生のことだから心配させまいと看護師にも黙っていて欲しいとねだったのだろう。
「琉生ごめんな。」
俺は琉生の頭をそっと撫でて、病室を後にした。
そして、担当医の元へ向かった。
琉生の担当医である、浅沼 潤先生はとても優しくて、幼い頃からお世話になっている先生だ。
きっと、反対されると思うがこれも琉生のため。俺は勇気を振り絞って先生に言った。
「先生、お願いします。来月琉生に外出許可をください。」
「上野くん…」
先生は神妙な顔をしている。
「気持ちはわかるが、君も知っているだろう?彼はもう長くない。もしかしたら病院に居たほうが彼の寿命が伸びるかもしれない。」
「わかっています。でも、俺は琉生に楽しかった思い出をあげたいんです。通いたい学校にも通えず、ずっと病院生活を送っている琉生に……」
先生と俺のあいだに沈黙が流れる。
「…1回だけだからな。」
「!!」
「ただし、彼の状態によってだ。悪かったら上げられない。来月、体調が良かったら1回だけ許可をやろう。」
「ありがとうございます!!」
やった…許可をもらえた!!
これで琉生と旅行にいけるんだ…!!
俺は先生の一言のおかげで、ラストスパート頑張ってバイトをしようと心に誓った。
琉生のために。
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