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勇者と魔王
女神の祈り
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振り返りたい。まだ君と一緒にいたい。
本当は、記憶を失ってなんかいない、って叫びたい。
もう一度世界を旅したい。
どこにも行かないでほしい。ずっとそばにいてほしい。
私を一人にしないでほしい。
でも、分かっているから。私がそれを望んだら、君を困らせてしまうから。
魔力で分かってしまう。ずっとそばで感じ取れていた優しくて心強い魔力が、次第にその存在を失わせていくのが。
不意に声が、魔力に乗せられて伝ってくる。
――僕も君が応援してくれたように君の幸せを心から応援している。さよなら瀬奈――
限界だった。思わず振り返ってしまった。だいぶ距離が離れているはずなのに、その光景は鮮明に瞳に映りこむ。煌めく“時の魔法の残滓”。
その天に届くほどの……しかしどこか儚い奇跡の光は、瀬奈の瞳を焦がし、瀬奈はそこで気を失ってしまう。
それから、気が遠くなるほどの年月が経ち、次第に魔法と呼ばれる概念もなくなった地球。
そこには悩み多き一人の女子高生の姿があった。
昔から瑠奈だけ周りの人には言えない秘密があった。といってもそんな大げさなものではない。他人とじゃんけんをするとなんとなく相手がだしそうなものが分かり常に勝ってしまったり、突発的な雨が降るとき、事前になんとなく降りそうだなって思ったりと、他人に話すと偶然で片づけられることの多いものばかり。
考えても無駄だから、このことに関してはどうでもいい。重要なのは今日で学校が休みに入り、明日がクリスマス・イヴであるということだ。
今日は12月23日。瑠奈が通う私立茱葉高校では終業式が行われる日だ。
女子高生であるなら誰しも一度くらいは思うのではないだろうか、クリスマスを好きな人と一緒に過ごしたい、と。
高校1年生の瑠奈も例外ではなく、クリスマスを一人寂しく過ごすのは嫌だった。かといって、誰でもいいというわけではなかった。実は一年間で告白されたことも数回あったのだ。そのたびに自分の直感みたいな力がささやいてくるのだ。相手の考えがなんとなくわかってしまう。何が目的で自分に関わろうとしているのかわかってしまう。
今まで下心しか持ち合わせていない男子からしか告白されていない。
かといって自分から告白するのはとても恥ずかしい。贅沢だと思うが恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
それに相談できるような女友達ができないのも問題だった。その原因は、至極単純なのだが一言いうなら、女の嫉妬は怖い、ということだろうか。
「はぁ」
瑠奈は窓際の席で思わずため息をついてしまった。というのも考えているうちにもう帰りのホームルームの時間が終わってしまったのだ。ぼーっと外を眺めながら帰りの支度をしていると自分含めて5人しかいないことに気づく。
「瑠奈。一緒に帰らないか?瑠奈さえ良ければ明日、明後日、俺の家に来ないか?クリスマスパーティーを開こうと思っているんだ」
遠い席からわざわざ瑠奈の席まで来て、誘おうとする美男子。有無を言わさない、というか断られることを考えていないかのように、まるで瑠奈が参加するのは決定しているかのような調子で話しかけてくる。
名前は岡本裕也。イケメンで運動神経抜群、頭も良く、男女ともに人気が高くファンクラブまで存在している。
そして、瑠奈の女友達ができない理由でもある。特に裕也の後ろにいる二人の女子からの視線には、殺気が籠っているんじゃない!?ってぐらいの圧力を感じる。
瑠奈が返事できずに固まっていると、見かねたのか前の席に座っていた男子が会話に加わってくる。彼は裕也の友達であり、ストッパー役のイケメン。しかし、裕也の意見は基本的に全肯定である。
「裕也、瑠奈さんが困っているだろ?」
「そうだよ、裕也。瑠奈は忙しいみたいだから早く帰ろう?」
「瑠奈ってさ、なんか暗いんだよね。時々変なこと言うし」
苦笑いしながら、裕也を止めに入る鈴木悟。加えて嫌悪感丸出しで話しかけてくる、柏木加奈と本田恵理。後は―
「お兄ちゃん!迎えに来ちゃったー。早く帰って明日の準備しよー!」
そう言って教室に元気よく飛び込んでくる中学3年生。
岡本千崎。裕也の妹であり、驚くことに裕也に惚れているらしい。
これでいつものメンバーが全員集合。
正直、鬱陶しいのだ。瑠奈としては放っておいてほしいのに毎日このグループに巻き込まれる。イケメンに誘われれば本来ならうらやましいことなのだろうけど、瑠奈にとっては苦痛でしかない。例の直感に頼ることなくわかる。
「あの、私用事があるので、先帰りますね……」
元々他人と話すのが苦手な瑠奈は一応小さな声で言ってはみるが、
「あんた、裕也の誘いを断るつもり?」
「瑠奈先輩。お兄ちゃんに恥をかかせるつもりですか?」
私がいたら鬱陶しがるのに帰ろうとしたらにらまれる。どうしろというのか。
当然ながら解放されることはない。
ことあるごとに裕也が誘ってくるので普通の人からは敬遠される。
残った勇気ある人は大体下心満載なため、一向に恋愛ができない。
余談だが瑠奈はモデルに間違えられそうなほど容姿端麗であり、小柄な身長と無口さが相まって話しかけづらい雰囲気が出ているのだ。よって本人が望んでいる普通の恋愛はできない運命だったりする。
とにかく瑠奈からしてみれば女たらしに恋はしたくない。
どうにかこの場を乗り切りたい瑠奈だったが、何も思い浮かばずあきらめかけてふと地面を見た。
瞬間、瑠奈は目を見開いた。意味の分からない模様みたいなものが床に浮かんでいる。
私の視線を追ったのか、全員が床をみて驚きの声を上げかけるが、体が金縛りにあったかのように動かない。そして――気を失った。
♦♦♦
目が覚めたら真っ白な空間が広がっている。
「目が覚めたようですね。初めまして、私は地球を管理している時の女神、セフィロス・ナターシャと申します」
びっくりした。いきなり目の前に自分のことを女神だという女性が姿を現せばだれでも驚くだろう。つやのある黒い髪を腰まで垂らして、眼は赤と青のオッドアイ。女性である瑠奈から見ても思わず見とれてしまうほど綺麗なヒトだった。
「驚かせてしまい、申し訳ありません。ですが、時間があまりないので説明しても良いでしょうか?あなたの身に何が起きたのかを」
「えっと、その前に私のほかにあと5人くらい一緒にいたはずなんですけど」
「ごめんなさい。女神といっても万能ではないの。この空間に強制的に転移させることができたのはあなた一人だけなの」
「そうですか」
瑠奈にとっては他の人がどうなっても別に良かった。気にしてはいなかったが、取り巻きの女性、ファンクラブの方からは陰湿ないじめも受けていた時期もあったのだから。
「いえ、気にしてはいません。それよりここはどこですか?」
「ここは、私が存在している場所です。普段はここから下界、あなたたちが暮らす世界を見守っているのです。本日は異世界から強い干渉を受けたので、慌てて防ごうとしたのですが、間に合いませんでした。ですからあなただけでも異世界に召喚される前にここに呼んだのです」
「どうして、私だけだったのでしょうか?」
私がそう尋ねた瞬間、一瞬だけ女神さまは口元に笑みを浮かべたような気がしたが、すぐに元に戻ってしまったため気のせいだと思い、女神さまの言葉を待った。
「…………ただの偶然なのです。あなた方は異世界に召喚されました。異世界はとても厳しい場所です。おそらく魔物とよばれる存在と戦うこともあるでしょう。命を懸ける必要
もあるでしょう。こんなことになってしまい、申し訳ございません」
瑠奈は女神さまに頭を下げられることに驚いたと同時に、心が軽くなったような感じになる。どこか母のような印象を持ったのだ。特に瑠奈は両親ともに小さなときに他界しておりずっと一人暮らしだったので、心配してくれる女神様を、失礼だと思いつつも母みたいだと思ってしまった。
ちょっと暗い雰囲気になってしまい気まずい空気を換えようと考え、ふと思い出した。中学生のころよく読んだ、異世界召喚の物語に似ていることに。勇気を出して女神様にできるだけ明るい声音で話しかけた。
「あの、異世界ってことは魔法とかあるんですか?」
「ふふ。ええ、ありますよ。それも召喚された者は現地の方より莫大の魔力を持っています。いわゆるチート、と呼ばれるヤツです。他の5人の方にもいろいろとつくと思いますが、あなたの場合は―――いえ、これ以上はやめましょう。私からお詫びとして、二つだけ能力をあげましょう」
一息ついて女神様は再び話し出した。
「“隠蔽”と、“時の女神の加護”です。隠蔽はあなた自身の能力を周囲の方にばれないようにするためのものです。加護のほうは、秘密です」
「どうして能力を隠す必要があるんですか?」
「あなた方を召喚した王国の者はおそらくあなた方を魔物と戦う道具にするでしょう。ですからあまり強い能力を持っているとばれたら目を付けられます。あまり王国を信用しないようにしてください」
女神様は少し怖い顔をしながらそう言うと元の笑顔に戻り、そっと瑠奈を抱きしめてきた。
驚いて硬直している瑠奈の耳元で女神さまはそっとささやいてきた。
「心配しないで。私の加護があればきっとあの方があなたを見つけてくれる。どんな状況でもあなたを助けてくれる」
「あの方?」
「これも内緒。……もう時間みたいですね。気を付けてください」
少しいたずらめいた表情で女神様が言い終わった後に、瑠奈の足元に穴が空き再び意識を手放した。
白い空間に静寂が訪れる。
女神は祈るように消えていった瑠奈に言えなかった言葉の続きをそっとつぶやく。誰にも届くことはないが、その言葉は空間を小さく震わした。
――あなたのことは私が愛した、本物の時使いがきっと守ってくれるでしょう。神よりも強い方なので私も安心できますね。いってらっしゃい、私のかわいい子孫、至同瑠奈――
時の女神、セフィロス・ナターシャ。旧名、至同瀬奈は両手を祈るように胸の前で手を組み、女性が愛しいヒトにだけ見せるような笑顔で瑠奈の幸運を願った。
本当は、記憶を失ってなんかいない、って叫びたい。
もう一度世界を旅したい。
どこにも行かないでほしい。ずっとそばにいてほしい。
私を一人にしないでほしい。
でも、分かっているから。私がそれを望んだら、君を困らせてしまうから。
魔力で分かってしまう。ずっとそばで感じ取れていた優しくて心強い魔力が、次第にその存在を失わせていくのが。
不意に声が、魔力に乗せられて伝ってくる。
――僕も君が応援してくれたように君の幸せを心から応援している。さよなら瀬奈――
限界だった。思わず振り返ってしまった。だいぶ距離が離れているはずなのに、その光景は鮮明に瞳に映りこむ。煌めく“時の魔法の残滓”。
その天に届くほどの……しかしどこか儚い奇跡の光は、瀬奈の瞳を焦がし、瀬奈はそこで気を失ってしまう。
それから、気が遠くなるほどの年月が経ち、次第に魔法と呼ばれる概念もなくなった地球。
そこには悩み多き一人の女子高生の姿があった。
昔から瑠奈だけ周りの人には言えない秘密があった。といってもそんな大げさなものではない。他人とじゃんけんをするとなんとなく相手がだしそうなものが分かり常に勝ってしまったり、突発的な雨が降るとき、事前になんとなく降りそうだなって思ったりと、他人に話すと偶然で片づけられることの多いものばかり。
考えても無駄だから、このことに関してはどうでもいい。重要なのは今日で学校が休みに入り、明日がクリスマス・イヴであるということだ。
今日は12月23日。瑠奈が通う私立茱葉高校では終業式が行われる日だ。
女子高生であるなら誰しも一度くらいは思うのではないだろうか、クリスマスを好きな人と一緒に過ごしたい、と。
高校1年生の瑠奈も例外ではなく、クリスマスを一人寂しく過ごすのは嫌だった。かといって、誰でもいいというわけではなかった。実は一年間で告白されたことも数回あったのだ。そのたびに自分の直感みたいな力がささやいてくるのだ。相手の考えがなんとなくわかってしまう。何が目的で自分に関わろうとしているのかわかってしまう。
今まで下心しか持ち合わせていない男子からしか告白されていない。
かといって自分から告白するのはとても恥ずかしい。贅沢だと思うが恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
それに相談できるような女友達ができないのも問題だった。その原因は、至極単純なのだが一言いうなら、女の嫉妬は怖い、ということだろうか。
「はぁ」
瑠奈は窓際の席で思わずため息をついてしまった。というのも考えているうちにもう帰りのホームルームの時間が終わってしまったのだ。ぼーっと外を眺めながら帰りの支度をしていると自分含めて5人しかいないことに気づく。
「瑠奈。一緒に帰らないか?瑠奈さえ良ければ明日、明後日、俺の家に来ないか?クリスマスパーティーを開こうと思っているんだ」
遠い席からわざわざ瑠奈の席まで来て、誘おうとする美男子。有無を言わさない、というか断られることを考えていないかのように、まるで瑠奈が参加するのは決定しているかのような調子で話しかけてくる。
名前は岡本裕也。イケメンで運動神経抜群、頭も良く、男女ともに人気が高くファンクラブまで存在している。
そして、瑠奈の女友達ができない理由でもある。特に裕也の後ろにいる二人の女子からの視線には、殺気が籠っているんじゃない!?ってぐらいの圧力を感じる。
瑠奈が返事できずに固まっていると、見かねたのか前の席に座っていた男子が会話に加わってくる。彼は裕也の友達であり、ストッパー役のイケメン。しかし、裕也の意見は基本的に全肯定である。
「裕也、瑠奈さんが困っているだろ?」
「そうだよ、裕也。瑠奈は忙しいみたいだから早く帰ろう?」
「瑠奈ってさ、なんか暗いんだよね。時々変なこと言うし」
苦笑いしながら、裕也を止めに入る鈴木悟。加えて嫌悪感丸出しで話しかけてくる、柏木加奈と本田恵理。後は―
「お兄ちゃん!迎えに来ちゃったー。早く帰って明日の準備しよー!」
そう言って教室に元気よく飛び込んでくる中学3年生。
岡本千崎。裕也の妹であり、驚くことに裕也に惚れているらしい。
これでいつものメンバーが全員集合。
正直、鬱陶しいのだ。瑠奈としては放っておいてほしいのに毎日このグループに巻き込まれる。イケメンに誘われれば本来ならうらやましいことなのだろうけど、瑠奈にとっては苦痛でしかない。例の直感に頼ることなくわかる。
「あの、私用事があるので、先帰りますね……」
元々他人と話すのが苦手な瑠奈は一応小さな声で言ってはみるが、
「あんた、裕也の誘いを断るつもり?」
「瑠奈先輩。お兄ちゃんに恥をかかせるつもりですか?」
私がいたら鬱陶しがるのに帰ろうとしたらにらまれる。どうしろというのか。
当然ながら解放されることはない。
ことあるごとに裕也が誘ってくるので普通の人からは敬遠される。
残った勇気ある人は大体下心満載なため、一向に恋愛ができない。
余談だが瑠奈はモデルに間違えられそうなほど容姿端麗であり、小柄な身長と無口さが相まって話しかけづらい雰囲気が出ているのだ。よって本人が望んでいる普通の恋愛はできない運命だったりする。
とにかく瑠奈からしてみれば女たらしに恋はしたくない。
どうにかこの場を乗り切りたい瑠奈だったが、何も思い浮かばずあきらめかけてふと地面を見た。
瞬間、瑠奈は目を見開いた。意味の分からない模様みたいなものが床に浮かんでいる。
私の視線を追ったのか、全員が床をみて驚きの声を上げかけるが、体が金縛りにあったかのように動かない。そして――気を失った。
♦♦♦
目が覚めたら真っ白な空間が広がっている。
「目が覚めたようですね。初めまして、私は地球を管理している時の女神、セフィロス・ナターシャと申します」
びっくりした。いきなり目の前に自分のことを女神だという女性が姿を現せばだれでも驚くだろう。つやのある黒い髪を腰まで垂らして、眼は赤と青のオッドアイ。女性である瑠奈から見ても思わず見とれてしまうほど綺麗なヒトだった。
「驚かせてしまい、申し訳ありません。ですが、時間があまりないので説明しても良いでしょうか?あなたの身に何が起きたのかを」
「えっと、その前に私のほかにあと5人くらい一緒にいたはずなんですけど」
「ごめんなさい。女神といっても万能ではないの。この空間に強制的に転移させることができたのはあなた一人だけなの」
「そうですか」
瑠奈にとっては他の人がどうなっても別に良かった。気にしてはいなかったが、取り巻きの女性、ファンクラブの方からは陰湿ないじめも受けていた時期もあったのだから。
「いえ、気にしてはいません。それよりここはどこですか?」
「ここは、私が存在している場所です。普段はここから下界、あなたたちが暮らす世界を見守っているのです。本日は異世界から強い干渉を受けたので、慌てて防ごうとしたのですが、間に合いませんでした。ですからあなただけでも異世界に召喚される前にここに呼んだのです」
「どうして、私だけだったのでしょうか?」
私がそう尋ねた瞬間、一瞬だけ女神さまは口元に笑みを浮かべたような気がしたが、すぐに元に戻ってしまったため気のせいだと思い、女神さまの言葉を待った。
「…………ただの偶然なのです。あなた方は異世界に召喚されました。異世界はとても厳しい場所です。おそらく魔物とよばれる存在と戦うこともあるでしょう。命を懸ける必要
もあるでしょう。こんなことになってしまい、申し訳ございません」
瑠奈は女神さまに頭を下げられることに驚いたと同時に、心が軽くなったような感じになる。どこか母のような印象を持ったのだ。特に瑠奈は両親ともに小さなときに他界しておりずっと一人暮らしだったので、心配してくれる女神様を、失礼だと思いつつも母みたいだと思ってしまった。
ちょっと暗い雰囲気になってしまい気まずい空気を換えようと考え、ふと思い出した。中学生のころよく読んだ、異世界召喚の物語に似ていることに。勇気を出して女神様にできるだけ明るい声音で話しかけた。
「あの、異世界ってことは魔法とかあるんですか?」
「ふふ。ええ、ありますよ。それも召喚された者は現地の方より莫大の魔力を持っています。いわゆるチート、と呼ばれるヤツです。他の5人の方にもいろいろとつくと思いますが、あなたの場合は―――いえ、これ以上はやめましょう。私からお詫びとして、二つだけ能力をあげましょう」
一息ついて女神様は再び話し出した。
「“隠蔽”と、“時の女神の加護”です。隠蔽はあなた自身の能力を周囲の方にばれないようにするためのものです。加護のほうは、秘密です」
「どうして能力を隠す必要があるんですか?」
「あなた方を召喚した王国の者はおそらくあなた方を魔物と戦う道具にするでしょう。ですからあまり強い能力を持っているとばれたら目を付けられます。あまり王国を信用しないようにしてください」
女神様は少し怖い顔をしながらそう言うと元の笑顔に戻り、そっと瑠奈を抱きしめてきた。
驚いて硬直している瑠奈の耳元で女神さまはそっとささやいてきた。
「心配しないで。私の加護があればきっとあの方があなたを見つけてくれる。どんな状況でもあなたを助けてくれる」
「あの方?」
「これも内緒。……もう時間みたいですね。気を付けてください」
少しいたずらめいた表情で女神様が言い終わった後に、瑠奈の足元に穴が空き再び意識を手放した。
白い空間に静寂が訪れる。
女神は祈るように消えていった瑠奈に言えなかった言葉の続きをそっとつぶやく。誰にも届くことはないが、その言葉は空間を小さく震わした。
――あなたのことは私が愛した、本物の時使いがきっと守ってくれるでしょう。神よりも強い方なので私も安心できますね。いってらっしゃい、私のかわいい子孫、至同瑠奈――
時の女神、セフィロス・ナターシャ。旧名、至同瀬奈は両手を祈るように胸の前で手を組み、女性が愛しいヒトにだけ見せるような笑顔で瑠奈の幸運を願った。
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