8 / 19
6 陰の者
しおりを挟む
アークとの模擬戦を終えた俺は次の仲間を探しに向かうことにした。
「それじゃあ、次行くか、テナはどうする?」
「もちろん、ご同行します!」
満面の笑みで即答するテナ。
「こう言うのもなんだが、他の仕事もあるだろうから、無理しなくてもいいんだぞ?」
「いえ、現場の確認、各長の様子を伺うことは私の仕事でもありますので……」(建前)
「ならいいんだが。それと、次、会いに行くのは”カゲロウ”にしようと思う。この世界の身の回りの情報も集めたいし、諜報が得意なあいつを近くに置いておきたい」
「それがいいと思います。カゲロウなら情報収集で右に出る者はおりませんし」
元々やりこんで熟知したゲームの世界とはいえ、やっていない時期のアップデートや、環境の変化があるかもしれない。この世界に俺自身が転移した以上、細心の注意を払いたい。
「じゃあアーク、そろそろ行くわ。いつでも戦えるように鍛えておけよ」
「おう、そのつもりだ! 何かあったらすぐ呼んでくれ! かけつけるぜ!」
「あぁ、期待している」
シュガーはアークと別れ、カゲロウに会いに行くため忍の里に向かう。バイクをアイテムインベントリから取り出し、テナと二人でまたがる。この漆黒のバイク”ナイトブレード”はゲーム時代にガチャから入手したもので、加速や最高速、耐久性など、一般に手に入るものより飛びぬけて秀でており、排出率1%の激レアアイテムである。そして、何回か回したら必ず当たるような天井が設けられていなかった為、何人もの諭吉が犠牲になった。良くも悪くも思い入れのあるアイテムである。
「やっぱ、これかっこいいよな、速いし!」
「はい! とても素敵です!」
バイク以外にも騎乗アイテムは複数所持しているのだが、まあテナもこう言ってるし、2人ならこれでいいだろう。バイクのセルを回し、エンジンをスタートさせる。エンジンの心地いい音が鼓動と共に体に伝わる。
「カゲロウ、元気してるかな」
カゲロウは仕事を淡々とこなす忍びだ。口数こそ少ないが、テナやアークと同じくらいに慕われていた。気がする……。
「私の持っている情報だと、シュガー様が不在の間、忍びたるもの仕える主が居なくなってしまったのが原因か、忍の里に引きこもり音沙汰が途絶えました……」
「おい、大丈夫か、それ……」
カゲロウ、アークやテナと比べても少し暗かったところあるしな……、まあ俺の不在が原因なんだけど。
里まではアークの駐在している陸地第1訓練部隊の訓練場から割と近いところにあるため、ナイトブレードだと一瞬で着いた。割と近いとはいえ、数十キロ離れており、馬車だと3、4時間はかかるのだが。
街につき、正門の入り口から少し歩く。忍の里は名前から連想されるような静かな小さい集落ではなく、小規模ではあるが普通の街である。だが、忍びが多く暮らしている街でもあるため、一歩街の中に入ると、いたるところに隠し通路や仕掛けが施されており、街中を歩く人々はいたって普通の人に見える。
「テナ、カゲロウが居そうなところわかるか?」
カゲロウのような忍びを探すとなると、かなり骨が折れる。ある程度情報を持つテナに聞いた方が早い。
「あ、はい! シュガー様が街に入った時から、少し後ろにずっと控えてます!」
「え? まじ?」
全然気づかなかった……。
俺が後ろを振り返ると、確かに少し後ろの物陰から、半身でこちらの様子を伺ってる怪しい人物がいる。こえーよ。
「……!」
(……あ……主!里に入った瞬間、気配で察することはできたが、でも……、なんて声をかければいいのか……。拙者のことを遠ざけてたりはしないだろうか……)
しばらく目線が交差する時間が続いたが、ずっとこうしておくわけにもいかない。
「えーっと、……久しいな! カゲロウ! 元気だったか? そこに居ないでこっちこいよ!」
「……っ!」
(……主から声をかけていただいた!)
カゲロウに声をかけた瞬間、物陰から様子を伺っていた人物は、その場所から音を置き去りに、一瞬で俺の前に控えた。忍びの低姿勢で前に控える彼は、紺色のマスクをしており、黒髪を一本で後ろに縛っている。表情こそ判別できないものの、目は爛々と輝いており、そこには喜びと興奮が満ちていた。
「悪いな、しばらく留守にしていて」
「……っと、とんでもない……!」
(やばい、急に大声出ちゃったし、少し声が裏返っちゃったかも。)
「カゲロウ、いきなりで悪いが、しばらく俺を手伝って欲しいんだ。一緒に来れるか?」
「……承知……」
(また拙者を頼ってくれる、感激で泣きそうだ。もう拙者はいらない子かと思ってた……)
「テナ、カゲロウに会えたし、来て早々だが一度帰る。ここからだと最初にいた別荘のログハウスより、ゼクスの街、西側の家に帰ろうと思う、問題ないか?」
「はい! 別荘は街はずれですし、そちらの方がいいと思います! シュガー様の邸宅に勤める執事、メイド達も会いたいはずです!」
「じゃあ決まりだな。カゲロウは俺の陰に入って移動してくれ。」
(……コクっ)
カゲロウはシュガーの言葉に頷き、影と消えた。
「それじゃあ、次行くか、テナはどうする?」
「もちろん、ご同行します!」
満面の笑みで即答するテナ。
「こう言うのもなんだが、他の仕事もあるだろうから、無理しなくてもいいんだぞ?」
「いえ、現場の確認、各長の様子を伺うことは私の仕事でもありますので……」(建前)
「ならいいんだが。それと、次、会いに行くのは”カゲロウ”にしようと思う。この世界の身の回りの情報も集めたいし、諜報が得意なあいつを近くに置いておきたい」
「それがいいと思います。カゲロウなら情報収集で右に出る者はおりませんし」
元々やりこんで熟知したゲームの世界とはいえ、やっていない時期のアップデートや、環境の変化があるかもしれない。この世界に俺自身が転移した以上、細心の注意を払いたい。
「じゃあアーク、そろそろ行くわ。いつでも戦えるように鍛えておけよ」
「おう、そのつもりだ! 何かあったらすぐ呼んでくれ! かけつけるぜ!」
「あぁ、期待している」
シュガーはアークと別れ、カゲロウに会いに行くため忍の里に向かう。バイクをアイテムインベントリから取り出し、テナと二人でまたがる。この漆黒のバイク”ナイトブレード”はゲーム時代にガチャから入手したもので、加速や最高速、耐久性など、一般に手に入るものより飛びぬけて秀でており、排出率1%の激レアアイテムである。そして、何回か回したら必ず当たるような天井が設けられていなかった為、何人もの諭吉が犠牲になった。良くも悪くも思い入れのあるアイテムである。
「やっぱ、これかっこいいよな、速いし!」
「はい! とても素敵です!」
バイク以外にも騎乗アイテムは複数所持しているのだが、まあテナもこう言ってるし、2人ならこれでいいだろう。バイクのセルを回し、エンジンをスタートさせる。エンジンの心地いい音が鼓動と共に体に伝わる。
「カゲロウ、元気してるかな」
カゲロウは仕事を淡々とこなす忍びだ。口数こそ少ないが、テナやアークと同じくらいに慕われていた。気がする……。
「私の持っている情報だと、シュガー様が不在の間、忍びたるもの仕える主が居なくなってしまったのが原因か、忍の里に引きこもり音沙汰が途絶えました……」
「おい、大丈夫か、それ……」
カゲロウ、アークやテナと比べても少し暗かったところあるしな……、まあ俺の不在が原因なんだけど。
里まではアークの駐在している陸地第1訓練部隊の訓練場から割と近いところにあるため、ナイトブレードだと一瞬で着いた。割と近いとはいえ、数十キロ離れており、馬車だと3、4時間はかかるのだが。
街につき、正門の入り口から少し歩く。忍の里は名前から連想されるような静かな小さい集落ではなく、小規模ではあるが普通の街である。だが、忍びが多く暮らしている街でもあるため、一歩街の中に入ると、いたるところに隠し通路や仕掛けが施されており、街中を歩く人々はいたって普通の人に見える。
「テナ、カゲロウが居そうなところわかるか?」
カゲロウのような忍びを探すとなると、かなり骨が折れる。ある程度情報を持つテナに聞いた方が早い。
「あ、はい! シュガー様が街に入った時から、少し後ろにずっと控えてます!」
「え? まじ?」
全然気づかなかった……。
俺が後ろを振り返ると、確かに少し後ろの物陰から、半身でこちらの様子を伺ってる怪しい人物がいる。こえーよ。
「……!」
(……あ……主!里に入った瞬間、気配で察することはできたが、でも……、なんて声をかければいいのか……。拙者のことを遠ざけてたりはしないだろうか……)
しばらく目線が交差する時間が続いたが、ずっとこうしておくわけにもいかない。
「えーっと、……久しいな! カゲロウ! 元気だったか? そこに居ないでこっちこいよ!」
「……っ!」
(……主から声をかけていただいた!)
カゲロウに声をかけた瞬間、物陰から様子を伺っていた人物は、その場所から音を置き去りに、一瞬で俺の前に控えた。忍びの低姿勢で前に控える彼は、紺色のマスクをしており、黒髪を一本で後ろに縛っている。表情こそ判別できないものの、目は爛々と輝いており、そこには喜びと興奮が満ちていた。
「悪いな、しばらく留守にしていて」
「……っと、とんでもない……!」
(やばい、急に大声出ちゃったし、少し声が裏返っちゃったかも。)
「カゲロウ、いきなりで悪いが、しばらく俺を手伝って欲しいんだ。一緒に来れるか?」
「……承知……」
(また拙者を頼ってくれる、感激で泣きそうだ。もう拙者はいらない子かと思ってた……)
「テナ、カゲロウに会えたし、来て早々だが一度帰る。ここからだと最初にいた別荘のログハウスより、ゼクスの街、西側の家に帰ろうと思う、問題ないか?」
「はい! 別荘は街はずれですし、そちらの方がいいと思います! シュガー様の邸宅に勤める執事、メイド達も会いたいはずです!」
「じゃあ決まりだな。カゲロウは俺の陰に入って移動してくれ。」
(……コクっ)
カゲロウはシュガーの言葉に頷き、影と消えた。
0
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
最弱弓術士、全距離支配で最強へ
Y.
ファンタジー
「弓術士? ああ、あの器用貧乏な最弱職のことか」
剣と魔法が全てを決める世界において、弓は「射程は魔法に及ばず、威力は剣に劣る」不遇の武器と蔑まれていた。
若き冒険者リアンは、亡き叔父から譲り受けた一振りの弓「ストーム・ウィスパー」を手に、冒険者の門を叩く。周囲の嘲笑を余所に、彼が秘めていたのは、世界をナノ単位で解析する「化け物じみた集中力」だった。
リアンの放つ一矢は、もはや単なる遠距離攻撃ではない。
風を読み、空間を計算し、敵の急所をミリ単位で射抜く精密射撃。
弓本体に仕込まれたブレードを操り、剣士を圧倒する近接弓術。
そして、魔力の波長を読み取り、呪文そのものを撃ち落とす対魔法技術。
「近距離、中距離、遠距離……俺の射程に逃げ場はない」
孤独な修行の末に辿り着いた「全距離対応型弓術」は、次第に王道パーティやエリート冒険者たちの常識を塗り替えていく。
しかし、その弓には叔父が命を懸けて守り抜いた**「世界の理(ことわり)」を揺るがす秘密**が隠されていた――。
最弱と笑われた少年が、一張の弓で最強へと駆け上がる、至高の異世界アクションファンタジー、開幕!
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる