某国の皇子、冒険者となる

くー

文字の大きさ
60 / 142
第4章 古代遺跡探索行

12. 遺跡の罠

しおりを挟む
「ルクス……!ケガはないか!?」

ああ、またやってしまった。
「兄上!申し訳ありません……っ!私の不注意で!」
ラウルスとエトワールとはぐれてしまった。
「気にするな。おまえのせいではない。おかしな場所に仕掛けをほどこした古代人に罪がある。ルク…ノアを罠に嵌めた罪を償わせてやることができないのが残念だ。すでに死んでしまっているからな」
「ごめんなさい、兄上」
「元気を出せ!ノア!大丈夫!すぐにみなと合流できるさ。私にすべて任せておくがいい!大船に乗ったつもりで安心していなさい」

『兄さま……』

「え……?」
今、誰かの声がきこえた。
「どうかしたか?ノア?」
振り返って辺りを見回すが、誰もいないし、何もいない。

気のせいか――

「なんでもありません。先へ進みましょう。失敗を取り戻せるよう、がんばりますので!」
「よしよし!元気になってくれたな。ノアは私が必ず守る。だれにも、指一本触れさせないよう動くが、万が一のこともある。おまえは自分の身を守ることに専念しなさい」


俺と兄上がふたりで地下遺跡の最奥を目指し進み始めた直後――

「前方と後方から敵が迫っている…そこを動くなよ」
「はい!」
兄上の詠唱は一瞬だった。魔法を前方に向かって打った後、すぐに振り返って後方にも同じように放つ。
どういう仕組みなんだ……

「ノア!上だ!」
蜘蛛のようなモンスターが、牙を剥き出しにして襲い掛かってきた。
兄上はとっさに剣をモンスターへ投げ付ける。剣は空中でモンスターを串刺しにし、壁に突き刺さった。
「ノア、ケガはないか?」
兄上の背後に何かが不自然に蠢くのを感じ、俺は魔法を唱えた。
「アイシクルブレード!」
氷の刃が何かをかすめ、血が吹き出す。そこに兄上が魔法で追撃を加える。木っ端微塵となったモンスターの肉塊だけがそこに残った。

「ノアに助けられたな、ありがとう」
「いえ……私なんてまだまだです」
「詠唱破棄ができているではないか。上達したな」
「まだほんの少しの呪文でしかできませんが……」
「こういうことは着実に一歩ずつ、が正解だ。さすがは私の弟だよ」
兄上に魔法の腕を褒められた。嬉しいな……

「っ……!」
そのとき突然に、それまで感じたことのないような激しい頭痛が走った。我慢できずうずくまる。
「どうした!ノア!」

『ノアばっかり兄さまに褒められて、ずるい……少しくらい、ぼくと代わってくれてもいいじゃないか…』

頭の中に、声が直接きこえてきた。聞き覚えのある声音。この声は――


俺の声だ……


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】だから俺は主人公じゃない!

美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。 しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!? でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。 そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。 主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱! だから、…俺は主人公じゃないんだってば!

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

a life of mine ~この道を歩む~

野々乃ぞみ
BL
 ≪腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者≫  第二王子:ブライトル・モルダー・ヴァルマ  主人公の転生者:エドマンド・フィッツパトリック 【第一部】この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~  エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。  転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。  エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。  死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。 「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」 「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」 【第二部】この道を歩む~異文化と感情と、逃げられない運命のようなものと~  必死に手繰り寄せた運命の糸によって、愛や友愛を知り、友人たちなどとの共闘により、見事死亡フラグを折ったエドマンドは、原作とは違いブライトルの母国であるトーカシア国へ行く。  異文化に触れ、余り歓迎されない中、ブライトルの婚約者として過ごす毎日。そして、また新たな敵の陰が現れる。  二部は戦争描写なし。戦闘描写少な目(当社比)です。 全体的にかなりシリアスです。二部以降は、死亡表現やキャラの退場が予想されます。グロではないですが、お気を付け下さい。 闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったりします。 本編ド健全です。すみません。 ※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。 ※ 閑話休題以外は主人公視点です。 ※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。

うちの前に落ちてたかわいい男の子を拾ってみました。 【完結】

まつも☆きらら
BL
ある日、弟の海斗とマンションの前にダンボールに入れられ放置されていた傷だらけの美少年『瑞希』を拾った優斗。『1ヵ月だけ置いて』と言われ一緒に暮らし始めるが、どこか危うい雰囲気を漂わせた瑞希に翻弄される海斗と優斗。自分のことは何も聞かないでと言われるが、瑞希のことが気になって仕方ない2人は休みの日に瑞希の後を尾けることに。そこで見たのは、中年の男から金を受け取る瑞希の姿だった・・・・。

動物アレルギーのSS級治療師は、竜神と恋をする

葉空
BL
SS級治療師、ルカ。それが今世の俺だ。 前世では、野犬に噛まれたことで狂犬病に感染し、死んでしまった。次に目が覚めると、異世界に転生していた。しかも、森に住んでるのは獣人で人間は俺1人?!しかも、俺は動物アレルギー持ち… でも、彼らの怪我を治療出来る力を持つのは治癒魔法が使える自分だけ… 優しい彼が、唯一触れられる竜神に溺愛されて生活するお話。

天使の声と魔女の呪い

狼蝶
BL
 長年王家を支えてきたホワイトローズ公爵家の三男、リリー=ホワイトローズは社交界で“氷のプリンセス”と呼ばれており、悪役令息的存在とされていた。それは誰が相手でも口を開かず冷たい視線を向けるだけで、側にはいつも二人の兄が護るように寄り添っていることから付けられた名だった。  ある日、ホワイトローズ家とライバル関係にあるブロッサム家の令嬢、フラウリーゼ=ブロッサムに心寄せる青年、アランがリリーに対し苛立ちながら学園内を歩いていると、偶然リリーが喋る場に遭遇してしまう。 『も、もぉやら・・・・・・』 『っ!!?』  果たして、リリーが隠していた彼の秘密とは――!?

最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。 2023.04.03 閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m お待たせしています。 お待ちくださると幸いです。 2023.04.15 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m 更新頻度が遅く、申し訳ないです。 今月中には完結できたらと思っています。 2023.04.17 完結しました。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます! すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。

聖女の兄で、すみません!

たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。 三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。 そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。 BL。ラブコメ異世界ファンタジー。

処理中です...