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第4章 古代遺跡探索行
14. もう一人の
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部屋をあらかた整え終えた兄上は、ソファに座っているルクスの隣に腰を下ろした。
「オレンジジュースでいいか、ルクス」
「ありがとう、兄さま!」
「お菓子もあるぞ」
「やったー!」
ジュースとお菓子に無邪気に喜ぶ俺と、微笑む兄上。
ルクスがジュースを飲み、お菓子を食べる。甘い……。よくこんなものを一気に大量に口にできるな。
喉の渇きと空腹が満たされると、ルクスは兄上の方にからだを傾けてもたれかかる。
「えへへへ」
ルクスの鼓動が早くなるのが、俺にもわかった。
「……ルクス、さっき転んで打ち付けたところをもう一度見せてくれないか」
「えー。またぁ?ぼくは大丈夫。なんともないよぅ」
ルクスの頭を虱検査をする保険医のように髪をかき分けあらためる兄上。
冷静なようにも見えるが、どこか余裕のがないようだった。
あんな甘え方、ここ十年していないのだから、戸惑って当然だよなぁ……たぶん、頭を打っておかしくなったと思われてそう……
「にいさまー。くすぐったいよぅ」
「どこにも傷はないようなのだが……おかしいな。ルクス、ここに横になってくれるか?」
「ひざまくら!」
喜んで飛びつくルクス。ルクスの精神年齢は、十歳のときのままなのだろうか……
「兄さま…」
「ん?」
「おひざが固いです…」
うん…それは俺も思ってる。甲冑膝枕は固いばかりか、身動きすれば留め具がどこかに刺さりはしないかと、危機感を感じずにはいられない。
「っ……!すまない!すぐに脱ぐから」
「兄さまのひざまくらっ!ひさしぶりー」
ご機嫌なルクスと、かける箇所を少しずつずらして、ルクスの頭に回復魔法を何度もかける兄上。
『ルクス……ちょっと、話し合わないか?』
俺の声が、ルクスに届く気配はない……
「ルクス、どうだ?治ったか?」
「なぁにぃ~?ぼくはぼくだよ!兄さま♪」
「ダメか……」
「……こんなぼくじゃダメ?にいさま……」
「ルクス……すまない、私のせいだ」
「兄さま?泣いてるの?」
「私がおまえから目を離さなければ、こんなことにはっ……!」
「泣かないで兄さま……兄さまは何にも悪くないよ。悪いのは……」
ちゅっ……
唇にやわらかい感触――。ルクスが、兄上の頬に口付けた。ちょっと待って、俺、十九歳……
「……ルクス?」
「元気になるおまじないだよ!前に兄さまがぼくにしてくれたでしょ。そしたら、お風邪治ったの!だから、兄さまもすぐ元気になるよ!」
「ルクス……っ!これは、幼児退行の症状か、どこかで精神錯乱魔法をかけられたか!?だが、魔法の気配は感じられなかった…いや、ここは古代人の遺跡だ。私の知らない未知の魔法か技術で……」
「にいさまっ!難しいお話しないで!ルクスと遊んでよぅ……」
目に涙を溜めるルクス……悲しみで胸があふれて、自然と涙がにじみ出していた。
「ああ…すまない。何して遊ぼうか」
どんなときでも俺にやさしい兄上……いつも心配ばかりかけて、ごめんなさい。
「にいさま…ぼく…知りたいことがあるんだ……」
ルクスは兄上の膝の上に乗り上げると、首筋に顔を埋め、そこで思いきり深呼吸をした。
「…兄さま、とってもいい匂い」
「ル、ルクス??」
兄上、尋常じゃなく顔が真っ赤だけど……大丈夫?
「……ぼくじゃ、ダメ?」
『ルクス、そこまでだ――』
これ以上ないくらいの強さで念じると、視界がフェードアウトし、辺りは闇に包まれた。
「オレンジジュースでいいか、ルクス」
「ありがとう、兄さま!」
「お菓子もあるぞ」
「やったー!」
ジュースとお菓子に無邪気に喜ぶ俺と、微笑む兄上。
ルクスがジュースを飲み、お菓子を食べる。甘い……。よくこんなものを一気に大量に口にできるな。
喉の渇きと空腹が満たされると、ルクスは兄上の方にからだを傾けてもたれかかる。
「えへへへ」
ルクスの鼓動が早くなるのが、俺にもわかった。
「……ルクス、さっき転んで打ち付けたところをもう一度見せてくれないか」
「えー。またぁ?ぼくは大丈夫。なんともないよぅ」
ルクスの頭を虱検査をする保険医のように髪をかき分けあらためる兄上。
冷静なようにも見えるが、どこか余裕のがないようだった。
あんな甘え方、ここ十年していないのだから、戸惑って当然だよなぁ……たぶん、頭を打っておかしくなったと思われてそう……
「にいさまー。くすぐったいよぅ」
「どこにも傷はないようなのだが……おかしいな。ルクス、ここに横になってくれるか?」
「ひざまくら!」
喜んで飛びつくルクス。ルクスの精神年齢は、十歳のときのままなのだろうか……
「兄さま…」
「ん?」
「おひざが固いです…」
うん…それは俺も思ってる。甲冑膝枕は固いばかりか、身動きすれば留め具がどこかに刺さりはしないかと、危機感を感じずにはいられない。
「っ……!すまない!すぐに脱ぐから」
「兄さまのひざまくらっ!ひさしぶりー」
ご機嫌なルクスと、かける箇所を少しずつずらして、ルクスの頭に回復魔法を何度もかける兄上。
『ルクス……ちょっと、話し合わないか?』
俺の声が、ルクスに届く気配はない……
「ルクス、どうだ?治ったか?」
「なぁにぃ~?ぼくはぼくだよ!兄さま♪」
「ダメか……」
「……こんなぼくじゃダメ?にいさま……」
「ルクス……すまない、私のせいだ」
「兄さま?泣いてるの?」
「私がおまえから目を離さなければ、こんなことにはっ……!」
「泣かないで兄さま……兄さまは何にも悪くないよ。悪いのは……」
ちゅっ……
唇にやわらかい感触――。ルクスが、兄上の頬に口付けた。ちょっと待って、俺、十九歳……
「……ルクス?」
「元気になるおまじないだよ!前に兄さまがぼくにしてくれたでしょ。そしたら、お風邪治ったの!だから、兄さまもすぐ元気になるよ!」
「ルクス……っ!これは、幼児退行の症状か、どこかで精神錯乱魔法をかけられたか!?だが、魔法の気配は感じられなかった…いや、ここは古代人の遺跡だ。私の知らない未知の魔法か技術で……」
「にいさまっ!難しいお話しないで!ルクスと遊んでよぅ……」
目に涙を溜めるルクス……悲しみで胸があふれて、自然と涙がにじみ出していた。
「ああ…すまない。何して遊ぼうか」
どんなときでも俺にやさしい兄上……いつも心配ばかりかけて、ごめんなさい。
「にいさま…ぼく…知りたいことがあるんだ……」
ルクスは兄上の膝の上に乗り上げると、首筋に顔を埋め、そこで思いきり深呼吸をした。
「…兄さま、とってもいい匂い」
「ル、ルクス??」
兄上、尋常じゃなく顔が真っ赤だけど……大丈夫?
「……ぼくじゃ、ダメ?」
『ルクス、そこまでだ――』
これ以上ないくらいの強さで念じると、視界がフェードアウトし、辺りは闇に包まれた。
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