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第4章 古代遺跡探索行
15. 居場所
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ここは――
見覚えのある部屋に、俺はいた。
城の俺の自室だ。どうして……
辺りを見回すと、使い慣れたテーブルセットのソファに三角座りのルクスがいた。
さしずめここは俺たちの精神世界ということだろうか。
「いいところだったのに……よくも邪魔してくれたね、ノア」
「いいところってなんだよ……兄上を困らすな!ルクス!」
「兄さまはおまえの兄上じゃない!このどろぼう!」
「どろぼう…?」
「ぼくのからだに、ぼくの兄さま…おまえはどれだけぼくから奪うんだ!?」
「……っ!俺は……」
「もうぼくは外に出れるよ。ぼくのからだ、返してよ、ノア」
「なんで、おまえはいるんだ?……ほんとうに、おまえは本物のルクスなのか?」
「しょうしんしょうめい、ぼくはルクスだよ!ルクス・ベルムデウス!」
「おまえが魔物じゃないって、どうして証明できる……?」
「……そうやって、ぼくのからだを奪う理由をつくる気か……なんて邪悪なんだろう。ノア、おまえはクズだよ」
「うるさい……っ!眠れ!」
睡眠誘発魔法をルクスに向けて放つ。ルクスはかくり、と眠りに落ちた。
「こんなの…どうしたらいいんだよ……っ」
問題を先送りにすることになってしまうが、他にいい方法がみつからなかったのだ……
「…ス……ルクス……」
兄上の声がきこえる。目を開けなきゃ……
「ルクス…っ!目を覚ましてくれ…お願いだ、私が悪かった、なんとしてもおまえを守ると誓ったのに……どんなおまえでもかまわない、おまえさえいてくれれば……母上も、父上も、私にはもういない。……おまえまで、私を置いていくのか?」
兄上の青い瞳からこぼれた涙が顔にあたった。
「兄上……泣かないで」
「ルクス……っ!」
「俺の名前はノアです、兄上……」
「ノア……っ!戻ったのだな!よかった……っ!よかった、ほんとうに……」
「ご心配、おかけしました……」
「よくぞかえってきてくれた……っ!おかえりっ……ノア!」
兄上の腕の中に包まれると安心する。俺たちは、唯一無二の家族なのだから……
兄上の背に腕を回して抱きしめ返すと、込められる力がより強くなった。
ここは、俺の場所だ。ルクス、おまえには渡さない――
「兄上…落ち着きましたか?」
「ああ…すまない。みっともないところを見せてしまった」
「……お互いさまなので、大丈夫です……」
「はははは……」
気まずい空気を漂わせながらも、俺たちふたりは歩みを進めた。
そこにはまた、仕掛けが置かれていた。バラバラに置かれた色とりどりの宝玉を正しい窪みにあてはめると、閉ざされていた扉が開いた。
「すごいな…」
「…ん?」
「兄上は謎解きが得意なのですね。なにか、コツとかあるのですか?」
「……コツか…どうだろうな……私は正解があるものを求めるのが得意なだけだ。その代わり、ないものはそうでもない」
「ええっと……?」
「おまえは正解のないものを求めるのが得意だろう、ノア。帝国の皇子でありながら、冒険者になったように。未知数の可能性を実現させる力がおまえにはある。だから私たちは、ふたりで力を合わせてちょうどなのだ」
「兄上……」
「これからも私を助けてくれるか、ノア……」
「もちろんです、兄上!」
兄上に褒められて嬉しいのは、ルクスの感情が混じっているからじゃない。100パーセント俺自身の感情だ。
閉ざされていた扉の先には明かりがなく、奥は暗闇が広がるばかりだった。
「この先――いるな」
「ですね……」
「おまえはここで……いや、援護を頼む」
「はい!」
「私は前に出て戦う。おまえは後方より敵に魔法攻撃を浴びせてやれ」
「了解です!」
かけれるだけの強化魔法をかけ、俺たちは闇の中へと足を踏み入れた。
見覚えのある部屋に、俺はいた。
城の俺の自室だ。どうして……
辺りを見回すと、使い慣れたテーブルセットのソファに三角座りのルクスがいた。
さしずめここは俺たちの精神世界ということだろうか。
「いいところだったのに……よくも邪魔してくれたね、ノア」
「いいところってなんだよ……兄上を困らすな!ルクス!」
「兄さまはおまえの兄上じゃない!このどろぼう!」
「どろぼう…?」
「ぼくのからだに、ぼくの兄さま…おまえはどれだけぼくから奪うんだ!?」
「……っ!俺は……」
「もうぼくは外に出れるよ。ぼくのからだ、返してよ、ノア」
「なんで、おまえはいるんだ?……ほんとうに、おまえは本物のルクスなのか?」
「しょうしんしょうめい、ぼくはルクスだよ!ルクス・ベルムデウス!」
「おまえが魔物じゃないって、どうして証明できる……?」
「……そうやって、ぼくのからだを奪う理由をつくる気か……なんて邪悪なんだろう。ノア、おまえはクズだよ」
「うるさい……っ!眠れ!」
睡眠誘発魔法をルクスに向けて放つ。ルクスはかくり、と眠りに落ちた。
「こんなの…どうしたらいいんだよ……っ」
問題を先送りにすることになってしまうが、他にいい方法がみつからなかったのだ……
「…ス……ルクス……」
兄上の声がきこえる。目を開けなきゃ……
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兄上の青い瞳からこぼれた涙が顔にあたった。
「兄上……泣かないで」
「ルクス……っ!」
「俺の名前はノアです、兄上……」
「ノア……っ!戻ったのだな!よかった……っ!よかった、ほんとうに……」
「ご心配、おかけしました……」
「よくぞかえってきてくれた……っ!おかえりっ……ノア!」
兄上の腕の中に包まれると安心する。俺たちは、唯一無二の家族なのだから……
兄上の背に腕を回して抱きしめ返すと、込められる力がより強くなった。
ここは、俺の場所だ。ルクス、おまえには渡さない――
「兄上…落ち着きましたか?」
「ああ…すまない。みっともないところを見せてしまった」
「……お互いさまなので、大丈夫です……」
「はははは……」
気まずい空気を漂わせながらも、俺たちふたりは歩みを進めた。
そこにはまた、仕掛けが置かれていた。バラバラに置かれた色とりどりの宝玉を正しい窪みにあてはめると、閉ざされていた扉が開いた。
「すごいな…」
「…ん?」
「兄上は謎解きが得意なのですね。なにか、コツとかあるのですか?」
「……コツか…どうだろうな……私は正解があるものを求めるのが得意なだけだ。その代わり、ないものはそうでもない」
「ええっと……?」
「おまえは正解のないものを求めるのが得意だろう、ノア。帝国の皇子でありながら、冒険者になったように。未知数の可能性を実現させる力がおまえにはある。だから私たちは、ふたりで力を合わせてちょうどなのだ」
「兄上……」
「これからも私を助けてくれるか、ノア……」
「もちろんです、兄上!」
兄上に褒められて嬉しいのは、ルクスの感情が混じっているからじゃない。100パーセント俺自身の感情だ。
閉ざされていた扉の先には明かりがなく、奥は暗闇が広がるばかりだった。
「この先――いるな」
「ですね……」
「おまえはここで……いや、援護を頼む」
「はい!」
「私は前に出て戦う。おまえは後方より敵に魔法攻撃を浴びせてやれ」
「了解です!」
かけれるだけの強化魔法をかけ、俺たちは闇の中へと足を踏み入れた。
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